ブリティッシュな雰囲気をまとったデザインから、老若男女問わずに人気が高いMINI。中でも、個性豊かな限定モデルの数々はファンのみならず多くの人を惹きつけています。伝統的なスタイルを踏襲しながらも著名なデザイナーやブランドとコラボレーションをすることで、新たなMINIの可能性と面白さを私たちに提案し続けています。もちろん、多くのブランドが限定モデルを販売していますが、MINIは他メーカーと比較しても高い頻度で新しい限定モデルを発表しており、その数は両手でも収まりきれないほどです。
日本発売の限定モデルも豊富
MINIが世界のなかでも積極的に限定モデルを販売している国が日本です。BMWの傘下に入る前からMINIのファンが多かった日本ですが、ライバルメーカーも多く市場競争が激しいものでした。
そこで、限定モデルを積極的に販売する戦略を採ったところ成功し、現在までその戦略が引き継がれているのです。最近では、ミニ生誕60周年記念の特別仕様車「MINI 60 Years Edition」やMINIクラブマンにしかなかった“ピュアバーガンディーメタリック”という色をMINIの3ドア・5ドアで採用した「MINI Burgundy Edition」などが販売され人気を呼びました。
日本で販売される限定車の多くは、そのコンセプトに基づいてベーシックながらも違いを体感することのできるものが多くなっています。とくに、ボディやインテリアの色を変えたり限定モデルだけの標準装備があったりと、限定モデルだからといって街中で悪目立ちをすることはなく誰もが使いやすいという部分はぶれずに設計されているところが、長きにわたりMINIの限定モデルが支持され続けている理由の1つです。
では、海外で販売されている限定モデルにはどのようなものがあるのでしょうか。
日本へ輸入される限定モデル
例えば、MINIの生誕地であるイギリスでも限定モデルが販売されています。その中で新しくラインナップに加わったものが「MINI Sidewalk Edition」です。ベースは4人乗りオープンカーとして人気の高い「MINI Convertible」で、より“夏を楽しむことのできるクルマ”に仕上がっています。
印象的なボディカラーは“ディープラグナメタリック”と既存のディープブルーよりも、より深い海の青を意識して調色されています。“Sidewalk”という名前に相応しく、ソフトトップやボンネットストライプ、ドアハンドルなど至る所に様々なデザインパターンが施されており、中でもボンネットの矢じり柄(Sidewalk pattern)は他にないため所有欲を刺激されるファンも多いのではないでしょうか。
もちろん、イギリスでの限定モデルとなるために日本では手に入れることが難しいのですが、実は海外で販売される限定モデルも日本で販売されることがあります。例えば、日本でも人気のある限定モデルとして紹介していた「MINI Burgundy Edition」も海外で先行して販売されていたのです。つまり、海外で人気の高い限定モデルは日本市場への供給体制が確保できた場合、日本での規格に適合した仕様で販売されることが多々あるのです。したがって、「MINI Sidewalk Edition」が日本で販売される可能性もあるため、手に入れたいと考えている方はMINIのプレスリリースをチェックしておくと良いでしょう。
個性際立つ海外の限定モデル
とはいえ、これまでに日本での販売が実現しなかったものも多くあります。例えば、フランスで限定販売された「MINI edition Heddon Street」というモデル。ベースとなっているのは「MINI 3 ドア」ですが、日本では販売されていない「ONE D」というONEのディーゼルエンジンタイプもラインナップされています。ボディカラーの“エメラルドグレー”は日本でもラインアップされていますが、特徴的なヘリンボーン柄のストライプは限定モデルのみの仕様になっています。イギリスのイメージが強いMINIですが、フランス限定モデルらしいファブリックライクなMINIは日本にない珍しいデザインとなっています。
他にも「MINI Delaney Edition」という1970年代の「ル・マン24時間レース」で活躍していた当時のカラーリングをまとったモデルも、人気が高いことで知られています。ちなみに、この「MINI Delaney Edition」に使われた”アイスブルー”というカラーが日本で採用されたのは、2017年に販売された「MINI アイスブルー」という限定車のみです。
「MINI Delaney Edition」は「MINI 3ドア クーパーS」をベース車としていることもあり、ボンネットのストライプやミラーなどに差し色としてオレンジ色を使うことでスポーティーさを強調するデザインとなっています。日本では販売されていない上に350台限定販売ということもあって姿を見ることのできる機会は少ないため、海外へ行った際に見かけることができたらラッキーな一台です。
ファン垂涎の海外限定モデル
MINIの限定モデルの中には、さらに手に入れることが難しい希少なものが存在します。中でも有名なのが「MINI Kissed by LULU GUINNESS.」と「MINI INSPIRED BY GOODWOOD」の2モデルです。
どちらも第2世代(2006年〜2013年に製造されていたモデル)のMINIなのですが、いまだにファンの間では希少価値が高いことで知られており中古車市場でも高値がつけられています。とくに、前者の「MINI Kissed by LULU GUINNESS.」は中古車として手に入れることさえ難しく、なんと販売時の数量は限定20台。それも、抽選で選ばれた人にだけ購入権が与えられたため、新車でも購入することが困難なモデルでした。車体のデザインとしては、ルル・ギネスの代名詞でもあるキスマークがボンネットにあしらわれており、ルーフ部分には”I LOVE YOU”の文字とキスマークが一面に配置されているという個性あふれたものになっています。
MINIの生誕50周年とルル・ギネスの生誕20周年という記念の年にコラボレーションして製作されたもので、まさにイギリスを代表するブランドの共演ということもあり現在では台数の少なさに輪をかけてMINIの中でもプレミアムな存在となっています。
一方で、同じプレミアムな存在でも高級路線に特化しているのが「MINI INSPIRED BY GOODWOOD」です。モデル名のグッドウッドって何?と多くの人が考えてしまうと思いますが、これはイギリスのクルマの聖地とも呼ばれている地名のことで、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」というモータースポーツのイベントが開催されていることで有名です。
そして、このモデル最大の特徴がロールスロイスのデザイナーが担当しているという点です。つまり、“ロールス・ロイス流のMINI“としてデザインされているため、随所に最高級品質の装備が使用されているのです。例えば、ボディカラーは“ダイアモンド・ブラック・メタリック”、インテリアは“コーンシルク・ベージュ”というロールス・ロイス専用色が使われています。内装に至ってはすべてを列挙するときりがないほど特別装備が使われており、ラムウールのフロアマットや本革製のトランクマット、ルーフ部分にはカシミアを使用し、インパネ周りもウォルナット材があしらわれているなど、ロールス・ロイス水準の高級装備が採用された“MINI史上、最高の高級車”と呼べる仕上がりになっています。
この「MINI INSPIRED BY GOODWOOD」は全世界で1000台限定販売ということもあり、日本には数十台しか入ってきていないため中古車市場でも目にすることは難しいでしょう。一見すると販売台数が他の限定モデルより多いため手に入れやすいのでは?と考える人もいると思います。しかしながら、将来的な価値の上昇を見据えて多くのオーナーが手放さずに保有していることが多く、「MINI Kissed by LULU GUINNESS.」と同じくプレミア価格となっています。さらに、前述したように海外での販売が主だったため日本には数十台しか入ってきていないこともあり、日本のファンにとっては喉から手が出るほど欲しい一台となっています。
MINIの魅力は無限大
多くの限定モデルをラインナップしてきたMINIですが、その原点はMINIを個人的にカスタムしてきたファンの存在です。つまり、MINIというメーカーはファンに愛され続けており、公式的なカスタムカーとして限定モデルを販売することでファンにも喜んでもらうという狙いもあります。そして、限定モデルを販売する過程で様々なものにインスパイアされたMINIは、ますます魅力あふれるクルマへと進化しています。これから先、まだ見たことのない新しい魅力のあるMINIを楽しみに待つこととしましょう。