2輪アーバン・モビリティの新たな姿 BMW Motorradが追求する利便性

若者のクルマ離れという言葉を聞いたことがある方も多いとは思いますが、その一方で根強い人気を誇っているのがバイクです。一時期は、1980年代のバイクブームと比べると人気が低迷していると言われることもありましたが、最近ではYouTubeでのツーリング動画やキャンプ動画から人気が再燃しています。

もちろん、クルマやバイクは世の中のブームに左右されるものですが、時代を経ても人気が揺るがないものが1つあります。それこそが、スクーターです。学生から高齢者まで幅広い年代の方が気軽に乗ることができ、自転車よりも速くクルマよりも気軽に乗り回せる点が長い間愛されてきた理由の1つです。

そんなスクーターの歴史に新しい1ページが加わろうとしています。その名前は、BMW Motorrad「Definition CE 04(デフィニション・シー・イー・オー・フォー)」です。新たな2輪アーバン・モビリティのスタイルを確立するという一台。はたしてどのようなモデルなのか、詳しく見ていきたいと思います。

プラグ・トゥ・ライフでスクーターのある生活を変える

画像引用:https://www.press.bmwgroup.com

BMWグループが未来のモビリティの姿を描くためのデジタルイベント「#NEXTGen 2020」では、クルマやバイクという領域をまたぎながら様々なコンセプトカーや企業としての在り方が提唱されました。

その中で、BMW Motorradは「Concept Link(コンセプト・リンク)」の量産化を間近に控えた開発段階の製品として、BMW Motorrad「Definition CE 04」を発表しました。この、BMW Motorrad「Concept Link」が発表されたのは2017年のことで、電動スクーターのコンセプトモデルとして位置づけられたものです。

あれから約3年の時を経て量産化前のモデルとして発表されたBMW Motorrad「Definition CE 04」は、「ユーザーのアナログ世界とデジタル世界を結ぶ製品。大都市圏における通勤・通学のための移動手段であり、またコミュニケーション・ツールでもあります。その電気駆動システム、画期的なデザイン、革新的なコネクティビティ・ソリューションにより、スクーター・セグメントの定義を塗り変える存在となります」と定義づけられているように、BMW Motorrad「Concept Link」発表当初のコンセプトからぶれることなく“移動手段+コミュニケーション・ツール”というものを体現した一台へと仕上げていることが分かります。

なんと言っても特徴的なのが電気駆動のスクーターモデルであるという点です。これまでに水冷式のエレクトリックモーターを搭載したBMW Motorrad「C evolution」というモデルを販売しており、力のある加速力と航続距離が約100kmと長距離であったことから話題を呼び、まさにアーバン・モビリティに相応しい一台として人気を博しています。

今回のBMW Motorrad「Definition CE 04」でもエレクトリックモーターの搭載は確実であり、BMW Motorradのデザイン責任者、エドガー・ハインリッヒ氏は、「大都市圏におけるエレクトロモビリティ戦略を追求したモデルで、近未来の市販車の姿について具体的な展望をもたらし、大都市における2輪車のeモビリティを、技術的にも視覚的にも新たなレベルに引き上げます」と述べています。

つまり、BMW Motorrad「C evolution」と同じ電気駆動のスクーターではあるものの、デザインや取り回し、生活との親和性という点において進化しており、まさに次世代のスクーターとしての在り方を示すモデルになると予想されます。

それを表しているのが「プラグド・トゥ・ライフ(生活のための接続)」というモットーです。これは、ただのコンセプトカーとして電気駆動のスクーターをつくるのではなく、顧客が求めているニーズや必要な機能などを拾いながら開発することで、アナログな世界とデジタルを結びつけるような一台として設計しているということです。

コンセプトを忠実に継承したデザインに

それでは、多くの人が気になっているであろうBMW Motorrad「Definition CE 04」のデザインを見ていきましょう。

まず、なんと言っても驚くべきは先進的かつ未来的なデザインだということです。これは、前述したBMW Motorrad「Concept Link」のデザインとほぼ共通となっており、コンセプトカーとほぼ同一デザインで市販化される珍しい一台と言えるでしょう。

これまでのスクーターにはあまり見られない、低く長いボディが基盤となっており、そこから斜めに立ち上がっているフロント・セクションが都会的かつ先進的な雰囲気を醸し出しています。これは、明らかにアーバン・モビリティとしての安定性や小回りを優先した低重心のデザインとなっています。

ちなみにバッテリーはフラットタイプになっているため、ボディ下に収納されています。そのおかげで、サイドカバーを手前に引き出して使うというBMW Motorrad史上初めての試みも見受けられます。

ヘルメットなどを収納できるほどの容量に
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このデザインについてビークル・デザイン責任者を務めるアレクサンダー・ブッカン氏は、「私たちは、コンセプトモデルの多くの革新的な要素やディテールを量産モデルに移植することができました。ボディ下に搭載したフラットなエネルギー・パック(バッテリー)やコンパクトなドライブトレインなど、電気駆動による技術的要件があるため、伝統的なスタイルとは明らかに異なり、新しく都会的な美しさを定義する極めて個性的なデザインを生み出すことができました。実用的な機能性、わかりやすい美しさ、そして今日のライダーのデジタルへの親和性といった基本的なニーズに従ったデザインです。この新しい構造は、視覚的にも画期的で、多くの新しいデザイン・テーマを生み出しました。このデザインには賛否が分かれるかもしれませんが、間違いなく際立っています」と述べています。

つまり、これまでのBMW Motorradが世に送り出してきたモデルとは電気駆動であるという点で大きく異なるため、そもそも技術的な要件をクリアするためのデザインというのが求められているということ。そして、何よりも“デジタルへの親和性”という点をデザインに盛り込んだことにより、見た目に驚くような造形になっていることがBMW Motorrad「Definition CE 04」の最大の特徴と言えるでしょう。

冒頭で述べたとおり、今回のコンセプトの主軸にあるのが“アナログ世界とデジタル世界を結ぶ”バイクであること。これに賛否両論呼ぶことを覚悟したうえでデザインとして視覚的に体現したという点では、これまでのバイクにおけるデザイン史を大きく塗り替える一台と言えます。

また、配色も非常に独特な仕上がりとなっています。ベースとなっているのは、ミネラル・ホワイト・メタリックという乳白色に近いものを採用。これと対比するようにマット・ブラックが骨格とも言える基本構造部分に使われています。

さらに、リア部分を見てみると何故か完全にパネルで覆われていない部分が目立ちます。実はこれ、量産前だから骨組みを見せているというわけではなく、搭載している技術が分かるようなデザインとして、駆動部、冷却リブ、片持ち式スイング・アーム、スプリング・ストラット、歯付ベルトが見えるように側面の一部を覆わなかったのです。

あえてすべてを覆わずに造形を魅せる
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特別な日の一台ではなく、日常の風景に溶け込むための一台

独特なデザインを見てきましたが、実はそれとは正反対に取り回しや実用性という観点では、日常的な使いやすさを追求して設計されています。

例えば、スクーターでは最大となりスマートフォンと接続できる10.25インチのディスプレイは、ライダーをアナログからデジタルへつなぐための一種のインターフェースとしての役割を担っています。もちろん、大きな画面でのナビゲーション機能や外部環境を認識した情報を表示するため、ライダーにとっては頼もしい機能となっています。

従来モデルよりもルート案内の視認性も向上
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また、ライダー向けの装備もカジュアルデザインのパーカーやブラックのライダー用ジーンズ、スタイリッシュなスニーカー、ホワイトのオープン・フェース・ヘルメットなど一見すると、街中で普通に見かけるような恰好と変わらないデザインのものが予定されています。ちなみに、パーカーの内ポケットには非接触型の充電器が搭載されるなど、日常の使い勝手には妥協がありません。

さらに、「スクーターは、天気の良い日に山へツーリングに行くために乗る『楽しみのためのバイク』ではなく、自宅から通勤・通学に使ったり、夜になって友達に会ったりするために日常の足として使う実用的な乗り物に過ぎません」とブッカン氏が説明しているように、あくまでもスクーターは日常の乗り物であるとして、後ろからでも乗れるように、あえてフローティング式のベンチシートを採用しています。

人間工学に基づいた、乗降しやすいベンチシート
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ここで、今回見てきたBMW Motorrad「Definition CE 04」の要点を振り返ってみましょう。1つ目はデジタルとアナログをつなぐ役割を担っていること。2つ目は、どれだけ先進的になってもスクーターとしての役割を忘れず、日常から離れることのないような利便性を兼ね備えている点です。

これら2つを見事に融合し体現させた一台がBMW Motorrad「Definition CE 04」と言えるでしょう。もちろん、まだ量産化前のモデルではありますが、すでに市販車と変わらないほどの設計レベルでお披露目となりました。

販売までは時間がかかるとされていますが、ティザーサイトなどでも徐々に全貌が分かるようになっています。コンセプトカーは未来の話ではなく、すぐそこまで迫っている近未来の話なのです。

ぜひ、あなたもホームページなどで情報を手に入れながら、BMW Motorrad「Definition CE 04」とBMW Motorradの在り方を目に焼きつけてみてくださいね。

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