絶滅危惧種のMT?いえ、スズキなら選べます!

運転免許取得の割合ではAT限定免許が6割を超え、また国内で販売される新車のほとんどがAT車と、今やMT車を用意している車種はほとんどないという現状があります。

しかしスズキはそんな中、多くの車種でMT車を用意しています。今、あえてMT車を選ぶメリットや、現在のスズキ車のMTラインナップ、さらにAT限定免許で運転できるMT、AGSについても解説していきます。

MT車の国内販売台数はなんと2%未満!

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日本の乗用車の新車販売台数ではAT車が98%以上を占めており、MT車はわずか2%未満に過ぎません。ここでいうAT車とはクラッチ操作を自分で行う必要がない、いわゆる2ペダルのクルマ全般を指し、ステップ式ATやCVT、ヨーロッパ車に多いDCTなどを含んでいますが、いずれにしても日本においてMT車はマイノリティであることに変わりはありません。

もともと日本では1980年代半ばでもAT車の割合は約半数とAT車の比率は高かったのですが、ヨーロッパでは現在もMT車が主流で、国によって差は若干あるものの約70~80%はMT車と言われているのとは対照的です。

また1991年にAT限定免許が誕生して以降、そもそもMTで運転免許を取得する割合も減少しており、現在は運転免許合格者数の約69%がAT限定免許です。かつては運転の苦手な女性が受けるもの、とまで言われていたAT限定免許ですが、販売されているクルマの主流がAT車になっていったことから、年々AT限定免許を取得する割合は増えています。かつてのように、「男なら絶対マニュアル車(現在だとアウト!な言い方ですが)」といった風潮も現在は薄れています。

また各自動車メーカーでもMT車をラインナップから外している現状があり、このままではMT車が絶滅危惧種に指定されてしまいそうな勢いです。

MT車のメリットは?

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MT車のメリットですが何といってもエンジンのフィーリングがダイレクトに味わえるところでしょう。MTはシンプルな構造で、エンジンからの出力が一対の歯車がかみ合うことで駆動輪に伝達されていくのでトルクコンバーターを使用したステップ式ATやベルト駆動のCVTに比べて伝達ロスを最小限に抑えることができます。シフトレバーを操作して駆動力とスピードを自在にコントロールできるMTには、まさに運転の醍醐味があります。ヨーロッパではまだまだMT車が主流なのは、クルマを操る愉しさを知っているドライバーが多いということなのでしょう。

運転の楽しさだけではなく、ギアを変えたりキープしたりするために油圧の力を借りなければならないステップ式ATやCVTよりも重量や燃費の面でもMTのほうが有利です。ギアが5段または6段までしかないのは、8段や9段まである最近のステップ式ATに比べて不利ですが、伝達ロスの少なさがそれを補います。

カタログデータ上ではステップ式ATやCVTの燃費性能が上でも、実燃費では大きな差はつかず、エンジンがある程度回っている時にはむしろMT車の方が高効率と言われています。実際にスピードレンジが日本よりも高いヨーロッパではMT車を選ぶ理由に省燃費による経済性を挙げるユーザーが少なくないことはその証明ではないでしょうか。

さらにメカニズムがシンプルなのでコストも安くロングライフな上、トラブルがあっても修理が比較的容易な点も見逃せないポイントです。CVTや高性能なヨーロッパ車に搭載されているDCTの場合、基本的には修理ではなく変速機自体の交換になってしまうため、簡単なトラブルだと思っていたら修理の見積もりを見て驚いた、というケースも少なくありません。

また、昨今はアクセルとブレーキの踏み間違いによると思われる痛ましい交通事故がメディアでも大きく取り上げられましたが、その解決策の1つとしてMT車を挙げる方もいました。操作の容易なAT車よりも、ある程度の技術が必要なMT車のほうが注意力の低下やミスが防げるといい、高齢者向けに「MT限定免許」を検討しても良いのではないか、という内容でした。誰でも簡単に運転できることがドライバーの意識を低下させているのだとしたらそれほど極端な意見ではないかもしれません。

スズキはMT車を豊富にラインナップ!おすすめはスイフトスポーツとアルトワークス

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最近ではMT車を始めからラインナップしないメーカーがほとんどですが、スズキでは多くの車種にMTを用意しています。現在、MT車が選択できるスズキ車は次の通りです。

  • アルト/アルトワークス
  • ワゴンR
  • スイフト/スイフトスポーツ
  • ジムニー/ジムニーシエラ
  • ハスラー

この他に、ビジネスユースメインのキャリイ及びエブリイにももちろんMT車が用意されています。ジムニーやアルトワークス、スイフトスポーツはともかく、ワゴンRやハスラーにもMT車が用意されていると聞いて驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみにワゴンRは1993年のデビュー当時から5MT車を欠かさずラインナップしています。

この中でMT車をスポーティに運転したい、という方へのおすすめはやはりアルトワークス(5MT)とスイフトスポーツ(6MT)でしょう。アルトワークスはアルトのデビュー時にラインナップされていたスポーツモデル「RS」にMT車の用意がなかったため、市場からMT仕様に熱い期待が寄せられ、それにこたえる形で登場したという経緯があります。5MT自体は通常のアルトにも設定されていますが、アルトワークスでは1~4速をよりクロスレシオになるようギア比を見直した上、クイックにシフトチェンジできるようシフトストロークも短く設定した5MTを採用しているのが特徴です。

スイフトスポーツの6MTはアルトワークスの5MTとはテイストが異なり、シフトストロークを長めにとるヨーロッパ車的な仕上がりとなっています。1.4Lながら豊かな低速から強力なトルクをしぼりだす直噴ターボエンジンの性格と相まってGTカー的な走りもこなします。

刺激的で痛快なドライビングが楽しめるアルトワークスか、低速域から高速域までエンジンと対話しながらなめらかなシフトフィールが味わえるスイフトスポーツか、MT派にとっては悩ましくも愉しいクルマ選びになりそうです。各社がMTをラインナップからどんどん外している今、スズキがこれだけMT車を充実させているのはMT派には非常にありがたいのではないでしょうか。

AT限定免許で運転できるMT?AGSとは

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2014年に登場した8代目となる現行型アルトに搭載されて話題をよんだのがスズキ独自のAGSという変速機です。AGS(Auto Gear Shift)とはMTを基本にしながら、変速操作を車側で自動的行うというもので、一般的にはAMT(Automatic Manual Transmission)と呼ばれ、クラッチ操作は必要なく、AT限定免許で運転することが可能です。

日本では小型車の変速機といえば、ほぼCVT一色といった状況ですが、もともとMT車が好まれるヨーロッパ市場でAMTのほうが主流となっています。MTをベースにアクチュエーター(油圧機構を追加して人間に代わって変速を行う仕組みなのでシステムもシンプルで小型軽量(スズキのAGSの場合、MTに比べて重量増は約8㎏)なのがメリットとなっています。

しかしAMTを搭載したヨーロッパの小型車が日本市場にも導入されましたが、概して評判は良くありませんでした。自動変速といいながら、通常のATやCVTのようにアクセルを踏みこんだままだとシフトアップしない、変速する時にショックがある、クリープがないので渋滞がつらい、坂道発進でアクセルを離すとずるずる下がってきてしまう…など。

一方、ヨーロッパでは、シフトアップする際に少しアクセルを戻してやる、まるでスイッチのようにオン・オフ繰り返すのではなく、回転数を意識しながらなめらかにアクセルを踏み込む、積極的に手動変速を使うなど、MT車の運転に慣れたドライバーが多く、MT車同様の運転をするためAMTの評判は決して悪くありません。こういった運転の仕方であれば、MT車のダイレクトなフィーリングをそのままにイージードライブが可能となるので、AMTならではのネガティブは気にならないでしょう。

その点、スズキは日本にAGSを導入するにあたり、日本市場ではネガティブとなる部分を徹底的に研究して可能な限りカバーしています。

スズキ独自のAGSでは半クラッチ状態を維持することで、疑似的にクリープに近い状態を作り出しているので一般的なAMT車にありがちな低速走行時のぎくしゃく感は少なくなっています。もちろんMT車に比べてクラッチ操作がないので渋滞が苦にならないことは言うまでもありません。ヒルホールドコントロールを装備しているので坂道では2秒ほどブレーキがかかった状態になり、ずるずると後ろに下がることもありません。

もちろんネガティブがないわけではなく、変速にかかる時間がもう少し早くても、と思わせる時もあります。変速時間を短くすると変速ショックが大きくなるため、快適性とのバランスを考えて現在のセッティングに落ち着いているようですが、制御ソフトの改善やハードウェアの改良も継続して行っており、より人間の感性に近いものに進化していくのでしょう。

現在、AGS搭載車はアルト、アルトワークス、ラパン、スイフト、キャリイ、エブリイ、ソリオ及びソリオバンディット、アルトバンと多くの車種に用意されていることからもスズキのAGSへの力の入れ具合が分かりますね。

MT自体はなくならないが…乗るなら今!

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自動運転が進化すればMT車はいずれ消滅する、という意見もあります。しかし、現在市販されているレベル2を超えた完全な自動運転が実現するのはまだまだ先の話でしょう。

欧州でも今後、MTよりもDCTなど2ペダル車が増えてMT車の販売率は低下するとみられていますが、これからモータリゼーションを迎える新興国ではシンプルで安価なクルマのニーズが高いことからMT車が選ばれるため、世界的に見ればMTの販売数は増加していくと考えられています。もちろん内燃機関からEVへの切り替えが一気に進めば話はまた別ですが、そういった新興国ではまず内燃機関を採用したクルマが増加すると予測する見方が強く、自動車市場全体で見ればまだまだMT車はメーカーにとって無視できない存在です。

しかし、それは世界的な市場で見た場合の話であり、国内市場に限ればMT車の選択肢が大幅に増えることは期待できそうにありません。そう考えればこれほど多くの車種にMT車をラインナップしているスズキは国内市場において稀有な存在と言えるのではないでしょうか。

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