日本が誇る軽トラ!スズキ・キャリイは一度ハマると抜け出せなくなる?

あまりにも身近にありすぎて、そのすごさや面白さに気がつきにくいのがスズキ・キャリイを始めとした軽トラックです。ミニサーキットを走らせて楽しむ走り屋から本格的なオフロード走行、さらにはキャンプを楽しむアウトドア派まで、使い方は自由自在。国内専用でありながら、なぜか海外でも人気が高い意外な一面も。「最近のクルマはいいんだけど、どれもおなじようでなんだか飽きちゃって…」という方にぜひおすすめしたいスズキ・キャリイ。今回はそんなキャリイの魅力について解説していきます。

キャリイは現代のハチロク?

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

軽トラのスズキ・キャリイをカスタムしてサーキット走行を楽しんでいる方がいる、と聞くと意外に思われる方もいらっしゃるでしょう。

しかしキャリイはフロントにエンジンを搭載し後輪を駆動するFR方式(実は現行スズキ車で唯一のFR車)を採用しています。エンジンのパワーは660㏄の自然吸気なのでさほど特筆すべきものではないのですが、何しろ車重が690kgから(KC)と軽いので5速のマニュアルを駆使すれば意外なほど軽快な走りを見せます。さらに最近ではカスタムパーツも豊富に市販されていることから、物足らなくなってきたらカスタマイズして自分好みのクルマに仕上げていく楽しみもあります。

車体は頑丈で剛性は高く、何よりコンパクトなボディはミニサーキットでも持て余すことなく振り回せるというメリットがあります。FRを採用している他のスポーツカーのパワーはキャリイよりもはるかに上ですが、ハイパワーすぎて公道で一般のドライバーがアクセルを全開にするようなシチュエーションはほぼないと言って良いでしょう。いくらパワーがあってもそれを引き出せないのであってはストレスがたまる一方です。さらに現代のクルマは例えスポーツカーであっても誰もが高性能を引き出せるように、電子制御の塊になっているので免許取りたての初心者でも、簡単に走らせることができるクルマが少なくありません。シフトミスをして失速する、アンダーステアに悩まされる、コーナーやブレーキングでふらつく…もし、キャリイを初めて運転してみたら、「ひょっとして、自分は運転が下手だったのか?」と思ってしまうかもしれません。しかし、それはそれぞれの動作に対するキャリイの反応がダイレクトなことの証であり、運転する面白さなのです。

コンパクトな車体、軽量で安価な上にカスタムパーツも豊富なFR、というと思い起こされるのがトヨタのAE86型スプリンタートレノ及びカローラレビン、いわゆるハチロクです。一般的にはトヨタ86、スバルBRZ及びマツダ・ロードスターが現代のハチロクと称されることが多いようですが、それらはいずれも高価で車体も大きいので、むしろキャリイのほうがポジション的には近いのではないでしょうか。かつて多くのレーサーがアマチュア時代に中古のハチロクを駆って峠道やレースで腕を磨いたように、キャリイを起点にプロにステップアップしていくケースもこれから増えていくかもしれませんね。

軽量+4WDで最強のクロスカントリービークル

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サーキットだけでなく、4WD仕様のキャリイならオフロード走行も得意です。軽量で小回りの効く車体はオフロードを走る際に大きな武器になります。大型のクロスカントリービークルが重さのために雪の中にスタックしたり、狭いコーナーを曲がり切れずにハンドルの切り替えで苦心したりしているのを横目に、キャリイならなんの苦労もなくクリアしていくでしょう。

段差を越えるためには車体先端から前輪接地面と地面の角度、いわゆるアプローチアングルが重要になってきますがキャリイ4WDは23度を確保しているので、よほどの段差でない限り問題ないでしょう。ジムニーの41度にはさすがにかないませんが、新型ハスラーの29度に次ぐ数値で、バンパー地上高も320㎜と余裕があるのでオフロード用の大径タイヤに交換すればさらに走破性は高くなるでしょう。運転席からの見晴らしの良さやフロントの見切りの良さなど、短いながらもフロントノーズのあるジムニーやハスラーにむしろ勝る部分もあります。

近年、クロスカントリービークルとしてのキャリイの素性の良さが再発見されたのか、サードパーティ製のカスタムパーツが数多くリリースされています。定番のカスタムはリフトアップ+フォグランプ+荷台のロールケージですが、軽自動車用ということもあり比較的価格も安く、実物大のプラモデル感覚でカスタムする方も少なくありません。

なお、本格的なオフロードビークルに仕立てるのであれば4WDでもデフロック機構つきのモデルをおすすめします。デフロック機構とはぬかるみなどで後輪の片方が空転した時に、もう片方の後輪に駆動力を伝達する機構で本格的なクロスカントリービークルには伝統的に装備されているものです。グレードでいえばKX 4WD 5MT車、KCエアコン・パワステ農繁仕様、KCパワステ農繁仕様、X 4WD 5MT車が該当し、基本的にAT車にはついていないので購入する際は注意が必要です。

アウトドア好きに軽トラが人気のワケ

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本格的なアウトドア好きの方からキャリイの人気が高いのをご存知でしょうか。何しろボディが小さく、小回りも利くので、とくに4WD仕様であればどんな狭い山道でもちゅうちょせずにすいすい入っていけます。汚れを気にせずなんでも放り込める荷台もアウトドアでは重宝します。

例えばオフロードバイク好きの方の中には、荷台にバイクとキャンプ用品を詰め込んで4輪+2輪の6ホイールツーリングを楽しむ方がいらっしゃいます。

バイクだと持参できるキャンプ道具も限られてきますし、荷物満載のままオフロードを走るのはちょっと気を使います。キャリイ+バイクなら夏の暑さや冬の寒さ、雨の中を我慢してバイクを走らせることなく、エアコンを効かせた室内で快適に移動して現地でバイクを下ろし、存分にオフロード走行を楽しむことができます。

釣りに行く方からは、ロッドをそのまま荷台に置けるのが便利、と評判です。室内に置いてしまうとシートなどにひっかけて破いてしまう恐れがありますし、釣った魚の入ったクーラーボックスを荷台に置けば匂いも気になりません。

ユニークな例として紹介したいのが、荷台をテントサイトにする(!)という使い方です。本格的なアウトドア好きの方は、テントサイトが整備されたキャンプ場よりも人の少ない山奥などでキャンプを行う場合も多いのですが、そんな時にキャリイの荷台が役に立ちます。荷台はちょうど一人用テントを敷けるぐらいの大きさで、でこぼこの地面や石がごろごろしているような場所でも気にせずテントを張ることができるのです。地面からの湿気や冷気もシャットアウトできるので、最初に荷台をテントサイトにしようと思いついた方の着眼点には感心させられますね。

国内専用なのになぜか海外でも人気?

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キャリイは国内専用規格の軽自動車なので、もちろん正式に輸出は行われていません。海外でもキャリイという名前のトラックが販売されていますが、こちらは車体も排気量も大きく、国内のキャリイとは別物です。

一方で海外、とくに東南アジアなどに行くと、かなり年季の入ったキャリイを始めとした軽トラを見かけることがあります。シンプルな造りで丈夫、そして燃費も良い軽トラは人気があり、中古車が海外に輸出されているのです。また日本のように車検制度が整備されていない地域では、とりあえず動く状態であれば引く手あまたで、多少故障しても間に合わせのパーツや修理でなんとかなってしまうので問題はないようです。

さらに驚かれるかもしれませんが、アメリカでもキャリイを始めとする軽トラは人気があるのです。以前、テレビ番組でもアメリカのバイヤーが日本に軽トラの大量買いつけに来ている様子が紹介されたことがありました。もちろん軽自動車はアメリカでは現地の安全基準に合致しないためナンバーが取れず公道を走ることはできません。それではどこで乗るのかといえば、畑などの私有地です。アメリカではご存知のとおり広大な畑や牧場を所有している例も多く、そういった場所での作業用に軽トラが重宝されているのです。もともとアメリカではピックアップトラックが人気で、そのミニチュア版というイメージなのかもしれません。以前、フルサイズのピックアップトラックの荷台に日本の軽トラを乗せている画像を見たことがありますが、アメリカ人の感覚としてはクルマというよりもバイクや農機具などに近いのではないでしょうか。

おすすめはスーパーキャリイ

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もしキャリイの購入を検討しているのなら、中古車ではなく新車をおすすめします。キャリイは軽貨物で税金や維持費も安いことから乗用車のような短いサイクルで買い替える方は少なく、もともと市場に出回る数が限られています。

先に見てきたとおり、海外に流れてしまう中古車も多いので、かなり年季の入ったクルマでもそれなりの価格がつくなど、値段の点でもさほどメリットはありません。もともと新車価格も66万9千円(税抜)からと400㏄のバイク並みで、頑丈で長く使えることを考えれば新車で購入するほうが賢明でしょう。

何より、一部改良で全車に前後方誤発進制御機能が装備されたので安全性の面でも新車を選びたいところです。

新車で購入する場合、おすすめはスーパーキャリイです。スーパーキャリイは2018年の一部改良で追加されたモデルで、キャビンスペースが460mm拡大し、全高も120mm高くなっています。これにより運転席が最大40度リクライニング可能になり、シートスライド量も40mm長い180mmとなり、居住性が大幅に改善されました。運転席後方のスペースはちょっとした手荷物や貴重品を置くのにも重宝します。

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より自然なドライビングポジションを取れるのは長時間運転する時にありがたいですし、シートを倒して仮眠することもできるなど、荷台をフルに使うような方以外はメリットが多いでしょう。

なお、荷台はその分短くなっていますが、実はリアウインドウ下がえぐられたような形状になっているので、荷台フロア長は1,975mmを確保しています。キャリイよりも55mm短い程度なので、サーフボードのように長くても高さのないものであればちゃんと入れられるような工夫がなされています。こういったところは、さすが長年の経験を活かしたパッケージングの巧みさを感じさせます。

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軽トラには興味があったけれど、ドライビングポジションが窮屈で…と思っていた方はぜひ一度、スーパーキャリイを試してみてください。

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