あなたのMINIはここで生まれた!MINIの聖地、オックスフォード工場を紹介

MINIはBMWグループのブランドで、エンジンや車台もBMWと共有化されているのでドイツ車、と思っている方はいらっしゃいませんか?MINIはかつてのクラシックMINI同様、現在もイギリスのオックスフォード工場で生産されている正真正銘のイギリス車です。今回は工場ガイドツアーなどもあり、オックスフォードの新たな観光名所ともなっているMINIの聖地、オックスフォード工場の歴史と見どころを紹介します。これを読めば、MINIオーナーのあなたは、きっとオックスフォードに行ってみたくなるはず?

MINIはドイツ車?いえ、正真正銘 Made in Englandです

画像引用:https://www.mini.jp

小型FF車に革命をもたらしたクラシックMINI、BMWがそのブランドを引き継ぎ、2001年から開発と販売を手掛けています。

現在のMINIはクルマの基本となるプラットフォームやエンジンをBMWのFF車と共有化しているので、ドイツ車だと思っている人はいないでしょうか?

確かに開発そのものはドイツで行っていますが、生産については現在もイギリスで行われています。オーストリアで生産されるクロスオーバー系を除いて、MINIの生産が行われているのはイギリスのイングランド東部にあるオックスフォードです。もともとここは、1959年から2000年までクラシックMINIを生産していた工場があった場所です。BMWが新たにMINIの生産を行うにあたり生産子会社としてBMW Manufacturing ltdを立ち上げました。MINIの生産は2001年4月から始まっています。

開発はドイツにあるBMW本社で行うものの、引き続きイギリスでの生産にこだわったのは英国車としてのMINIの伝統にこだわったからとされています。MINIの大ヒット及びバリエーションの増加により、2006年からはボディパネルを生産するスウィンドン工場と、エンジンを受け持つバーミンガム近郊のハムスホール工場も稼働を始めましたが、いずれも所在地はイギリス国内です。

BMWはMINIと同時にイギリスの高級車のロールス・ロイスもブランドに加えていますが、こちらもMINI同様、イングランド南部グッドウッド工場をリニューアルして生産を行っています。BMWがイギリスの伝統に対し多大な敬意を表していることがよく分かるのではないでしょうか。

テールランプのユニオンジャックは伊達じゃない、といったところです。

オックスフォード工場は1913年創業!

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オックスフォードはイギリスのイングランド東部にある都市です。オックスフォードといえば何と言ってもオックスフォード大学を思い出す方が多いでしょう。現存する大学としては世界で三番目、そしてイギリス国内ではもっとも古い大学であるオックスフォード大学は歴代イギリス首相経験者を輩出するなど名門中の名門です。

市内には大学関係の施設も多く、クラシックな建物も多く残されていることからアカデミックで落ち着いた街並みが魅力的で、近年は大ヒット映画のハリーポッターシリーズのロケ地となったことでも人気です。

MINIの工場があるのはオックスフォード市の南東端にあるカウリーという場所で、ここから世界110カ国に向けてMINIを生産しています。オックスフォード工場の歴史は古く、20世紀初頭にこの地に設立されたモーリス(Morris Motors Company)までさかのぼります。オックスフォード工場は1913年に操業を開始したので何と100年以上もこの地で自動車の生産を続けていることになります。モーリスは1952年にオースチンと合併してBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)となり、さらに1968年にはジャガー、レイランドも合併してBLMC(ブリティッシュ・レイランド)へ、そして1986年にはローバーグループへと、当時のイギリスの自動車産業の苦境を反映して目まぐるしく変遷を遂げていきます。この間、MGやオースチン・ヒーレー、ヴァンデンプラやトライアンフといったイギリスの名車がこの工場から生み出されていきました。

長い歴史の中には第二次世界大戦もありました。その時代にはタイガーモス練習機や軍用トラック、はてはジェリカンやパラシュートまでをこの工場で生産していたというから驚かされます。また大戦中にはスピットファイアやハリケーンといったイギリスの主力戦闘機の修理も行っており、その数は80,000機を超えると言われています。

クラシックMINIも1953年に生産を開始し、生産・販売会社の名称は変遷を繰り返していきましたが、2000年まで基本的な部分は変更されず、生産も一貫してこのオックスフォード工場で行われてきました。1994年にBMWがローバーを買収した後に紆余曲折を経てMINIブランドを受け継いで復活させてから、オックスフォード工場にも多額の投資を行って2001年にMINIの生産を開始しました。MINIは世界的な大ヒット車となり、オックスフォード工場操業当時は約2,400人だった従業員も約4,000人に増え、1日あたりの生産台数も300台から1,000台と3倍以上になりました。

周辺にもMINIに関連する事業に従事する方も多く、オックスフォードの住民は学生か大学関係者、あるいはBMW MINIの関係者、と言われるほどまでとなっています。

MINIの聖地巡礼!オックスフォード工場の見学に行ってみよう

画像引用:https://www.visit-mini.com

MINIを愛するオーナーの方で、自分のMINIがどんな場所で生まれたか、興味がある人はいらっしゃいませんか?MINIのオックスフォード工場はそういった声に応えるため、見学ツアーが用意されています。個人であっても参加できるガイドツアーが週に数回開催されています。時間は約2時間半で、料金は19ポンド(約2,500円)、各回15名まで参加可能となっています。

さらに専門家が付き添い、とくに興味のある場所をじっくり見て、細かな質問にも答えてくれる特別なツアーもあり、そちらは月曜から木曜まで開催されています。料金は220ポンド(約28,000円)ですが、じっくり見て回りたい方には決して高価ではないでしょう。旅行代理店でオプショナルツアーとして用意している場合もあるので興味があればアレンジを依頼してみるのもよいでしょう。

それではオックスフォード工場へのガイドツアーに出かけてみましょう。スタートはオックスフォード駅、そこから少し歩いた市内中心部のカーファックスタワー(Carfax tower)にバスセンターがあり、そこから10番のバスに乗車します。ホースパスロード(Horspath Road)という停留所で降りるとMINIのオックスフォード工場は目の前です。広大な敷地ですが、7番ゲートをくぐればすぐに工場見学の受付を行うビジターセンターに到着します。

受付を済ませたらいよいよ工場見学の開始です。この工場ではスウィンドン工場でプレスされた部品やバーミンガム工場で生産されたエンジンなどを最終的に組みつけ、MINIを出荷します。工場は24時間稼働の3交代制で、それぞれの時間帯で働く方のユニフォームの色が分けられています。

見学コースにそって進むと徐々にクルマが完成していく様が見られるので、「自分のMINIもここで、こうして組み立てられてきたんだ」と思うと感慨もひとしおですね。もちろん工場なので、各場所は整然としているのですが、ところどころに遊び心にあふれたポップな意匠が施されており、お洒落なMINIらしさを感じさせます。

ご存知のとおり、MINIはメーカーオプションが豊富で、同じモデルであっても仕様はさまざま、日本の自動車工場のように画一のモデルが金太郎飴のように流れてくることを想像していると、驚かされるに違いありません。MINIによれば、全く同じ仕様のMINIが生産される確率は100万台に一台ということなので、それもけっして誇張ではないことがオックスフォード工場に行けばよく分かるでしょう。

ガイドツアーには残念ながら日本語対応は用意されていないのですが、クルマ好きであれば言葉が分からなくても概要は理解できるのではないでしょうか。

工場内は撮影禁止ですが受付のあるビジターセンターにはミュージアムが併設されていて、自由に撮影が可能です。ここでしか購入できないレアなグッズも販売しているのでお土産探しにもぴったりですね。

実はあの熊本県の人気ゆるキャラ「くまモン」もこのオックスフォード工場を訪れて見学ツアーに参加していたことをご存知でしょうか。それも同じく「熊」つながりということで、イギリスの有名なキャラクター、「パディントンベア」からの招待だったというのも驚きですね。

くまモンはバディントンのエスコートで(!)、オックスフォード工場を見学し、最後にくまモン仕様のMINIも披露されるというサプライズまで用意されていたそうです。

このくまモン仕様のMINIは最終的に70台も制作され、全国のMINIディーラーに展示されたので、ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ブレグジットでオックスフォード工場はどうなる?

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イギリスがEUからの合意無き離脱を行う、いわゆるブレグジットの問題でヨーロッパ全体が揺れています。もし、本当にEUからのブレグジットが実現するとイギリス国内での自動車生産にも大きな影響が出ると考えられています。同じEU域内であれば免除されていた関税が部品の調達や完成車の輸出にかかり、これまで免除されてきた輸出入の手続きも必要になってくるからです。

実際に、ホンダはブレグジットのためではないとは言いつつも2021年までにスウィンドンにある工場の生産中止を決定しましたし、日産はサンダーランド工場での新型SUVの生産を中止、トヨタも合意無き離脱が成立すればバーナストン工場の操業を停止する可能性があることを否定していません。

しかしBMWはイギリス伝統のブランドを引き継いだ責任のある企業として、ブレグジットによりサプライチェーンに短期的な遅延が生じても対応できるよう準備を進めているとアナウンスしています。

イギリスはBMWの3ブランド(BMW、MINI、ロールス・ロイス)すべてを生産する唯一の国であり、そのことに対する誇りと責任を持っているのでしょう。

BMWがオックスフォードでMINIの生産を始めるのにあたり、「MINIは何十年もの間、イギリスと強いつながりを持ってきました。オックスフォードでの生産はブランドアイデンティティへのコミットメントであり、生産は市場に従うというBMWの戦略に沿ったものである」というコメントを出していました。

あらためて今後もBMWはイギリスでクルマの生産を継続していく、というアナウンスもあり、もしブレグジットが実現しても、即MINIがイギリス以外の地で生産される可能性は低いのではないでしょうか。

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