日本とドイツでは差がある?知られていないBMWのお国事情

BMWはドイツ生まれの自動車メーカーであるということは、あまりクルマに興味がない人でも知っていることでしょう。では、「BMWで販売されているクルマは、本国ドイツと日本では差があるでしょうか?」という質問には多くの人が考え込んでしまうのではないでしょうか。

たしかに、BMWのカタログを読んだりインターネットで調べてみたりすると”欧州仕様車”や”日本向けモデル”という言葉が出てきますが、具体的にどこが異なるのかという質問に対しては答えるのが難しくなると思います。実は、日本とドイツにおける違いというのはクルマのスペックだけでなく販売モデルや価格にも表れており、私たちも少なからず国の違いによる影響を受けているのです。そこで、今回はそんな知られざるBMWのお国事情について見ていきたいと思います。

日本人はBMWが好き?

日本人に「憧れのクルマは?」と尋ねている多くのアンケートで、必ずと言ってもいいほど上位に見受けられるのがドイツ車ではないでしょうか。もちろん、日本には世界的な有名メーカーが多くありますが、ドイツ車は高級車でもありながら身近でもあるという特殊な位置づけにあります。中でもBMWは1970年代にモータースポーツで活躍しその雄姿が日本でも放送され、1980年代のハイソカーブームでは若者に支持されるなど日本におけるドイツ車という位置づけを確固たるものにしたパイオニア的存在であり、現在でその価値を高め続けている稀有なメーカーと言えるでしょう。

現在のBMW日本法人が”BMWジャパン”として設立されたのは1981年のことであり、意外と最近の出来事なのです。しかし、1981年よりも前の時代にBMWは存在していましたし、中にはBMW Japan設立以前からBMWを保有しているという人も少なくないのではないでしょうか。実はこのことは全くおかしいことではなく、1981年以前のBMWは輸入代理店が販売を行っていたのです。

終戦後の日本とドイツは敗戦国として自動車産業そのものが不況と言える状態でしたが、高度経済成長期を経てバブル経済へと至るまでにBMWは世界的なメーカーとして確固たる地位を築くことに成功しています。その成功の要因こそハイスペックな高級車路線へと舵を切ったことであり、日本人にとってもBMWは憧れのメーカーとして定着したのです。そして、日本法人を設立したことでバブル崩壊後も日本において地位を確立し続け、現在では幅広い価格帯をラインナップすることで多くの人にとって手の届く憧れのメーカーとして愛され続けているのです。

ドイツと日本ではスペックが違う?

画像引用:https://www.bmw.co.jp

BMWのラインナップを見ていくとドイツで販売されているモデルの多くが日本でも販売されていることが分かりますが、スペックや装備などでは日本モデルと異なることをご存知でしょうか。その背景として日本とドイツの法律や生活環境の違いが大きく関わっています。

例えば、“デイタイムランニングライト”の装備は日本とドイツでは法律が異なるため、その扱いには大きな差がありました。デイタイムランニングライトとは昼間点灯とも呼ばれている機能で、夜間に使用するためのヘッドライトとは別ユニットで装着されることが多い装備のことです。欧州では2011年にデイタイムランニングライトの装着が義務化されたこともあり、BMWでも欧州仕様車では必ず装着されています。

日本においても交通事故の防止に取り組む中で、夕方の時間帯にヘッドライトを点灯することが推奨されるなどデイタイムランニングライトの重要性が再認識され、2017年にはBMWも日本において認可を得ることで標準装備として採用することになりました。

このように欧州モデルでしか採用されていない装備が日本モデルに採用されることもあれば、日本では採用される見込みがない”防弾装甲仕様車”というラインナップもドイツには存在します。

画像引用:https://www.bmw.de

高級車としての位置づけにあるBMWは約40年間にわたって防弾装甲仕様車を製造しており、最近では2019年8月に”プロテクションVR6”という名前で新型「BMW X5」の防弾装甲仕様車を発表しています。

厚さ33mmのフロントガラスを始めとして、各パーツにオリジナルの耐衝撃性を備えた造りになっており、なんと15kgのTNT爆弾の爆発にも耐えうる性能を有しています。もちろん、この性能が発揮される場面は少ないですが、銃火器による襲撃リスクのある欧州や諸外国では防弾装甲仕様車もニーズのあるモデルの1つなのです。

このように、日本とドイツでは法律やニーズに違いがあり、今後はAIや自動運転といった装備においてもドイツと日本では差が出てくることが予想されます。

ドイツで売っているBMWは日本よりも安い?

BMWに関する噂の1つとして昔から言われているものに「ドイツで売っているBMWは安く、日本のように高級車として扱われていない」というものがあります。みなさんも一度は聞いたことのある噂話かもしれませんが、はたして本当のことなのでしょうか?

実は、ドイツにおいてもBMWは高級車として認知されている一方で、輸出によるコスト差や経済事情の違いから、多くの人がBMWを購入しています。このことは、オフィシャルホームページで公開されている値段やグレードを比較してみると非常に分かりやすくなります。

例えば、BMWで最も価格が抑えられている1シリーズで比較してみると、日本では334万円に対しドイツでは約333万円(1ユーロ=118円)と同価格の値段設定がなされていることが分かります。一方で、最新モデルである「BMW Z4」で比較すると日本では577万円に対し、ドイツでは約483万円と価格が抑えられています。これは、欧州仕様車を日本仕様にするためのコストと他シリーズと比較した際の製造台数などが関係しています。つまり、日本に合った形にするためのコストが反映されているということなのです。

こうして比較してみるとドイツでも高級車ということが分かる一方で、本当に多くのドイツ人が乗っているの?という疑問が湧くかと思いますが、そこにはドイツの経済事情も大きく影響しています。

まず、ドイツの平均年収は日本円で約700万円と言われており、日本の平均420万円よりも大幅に上回っているのです。もちろん、税金は日本よりも高く設定されているものが多いなど生活費のコストは高くなりますが、その代わりに無駄遣いをしないという国民性が強く働いています。そのため、購入するクルマは信頼ができ長く使えるドイツ車、中でもトラブルの少ないBMWを好んで購入する人が多いと言われています。

このように、ドイツでは多くの人がBMWを身近に感じ、日常的に愛用しているのです。

ドイツでも日本でも変わらないもの

画像引用:https://www.bmw.co.jp

日本とドイツでは違う部分もあれば、安全性能や環境性能に裏打ちされた確かなクルマづくりが高く評価されているといった共通点も多くあります。そこにはBMWが貫いている環境と人への配慮、何よりも走る楽しさを追求する姿勢が存在するからです。

ドイツ生まれのBMWは環境への配慮に力を入れており、「BMW i3」をいち早く市場へ投入するなど環境性能のリーディングカンパニーとしての役割も果たし続けています。もちろん、環境性能に配慮する中でも”走る楽しさ”にもこだわっており、数多くのモータースポーツに参戦したノウハウを活かし”BMW M”を展開するなど、幅広い層に訴求したクルマづくりを続けています。

ドイツと日本ではクルマを取り巻く環境は異なりますが、BMWは国と地域を問わずに高いクオリティでサービスを提供しています。あなたも、BMWに乗って国を問わないクオリティを体感してみてはいかがでしょうか。

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