RJCカー・オブ・ザ・イヤーを3代連続で受賞したスズキスイフトの実力

スズキといえば日本を代表する軽自動車メーカーであり、イメージ的にもまず軽自動車が出てくるのではないでしょうか。しかし、今回は世界各国で生産が行われ、高い評価を得ているコンパクトカーであるスイフトをご紹介したいと思います。

スイフトの名前の由来

スイフトは「軽快・快速」を意味しています。また、「カルタス」というクルマの国外市場での車名として「スイフト」が使用されていたので、海外ではなじみの深いものでした。カルタスは日本で1983年~2002年にかけて販売され、現在日本での販売は終了しています。初代は1983年~1988年にGMとの共同開発によって直列3気筒、前輪駆動、3ドアハッチバックとして発売され、翌年には直列4気筒5ドアが登場し、燃費の良さや軽自動車並みの販売価格で世界各国に輸出されることになりました。日本での販売台数は伸び悩みましたが、アメリカ市場では販売台数を伸ばし大ヒットしました。

初代スイフト登場

画像引用:https://ja.wikipedia.org/

初代スイフトは日本市場で2000年1月24日に発表され2月9日に発売されました。この初代スイフトはワゴンRプラスのプラットフォームが用いられ、1300cc・直列4気筒DOHC16バルブVVT、M13A型ガソリンエンジンが搭載されSE・SG・SXの3グレードが用意されました。SGにはスズキ創立80周年を記念したエアロパーツが装着されています。2002年以降は一般的な軽自動車を下回る低価格を実現したことによって、事業所や公官庁向けの公用車やパトカーとして使用されていました。

「スイフト」が世界共通車名へ

2004年世界市場を視野に入れ全てを一から開発しなおし、2代目スイフトのフルモデルチェンジを行っています。「走る・曲がる・止まる」といったクルマの基本性能をしっかり作りこんだこともあって世界中から高い評価を得ました。なお、2代目から車名が世界共通となりました。エンジンは1300cc・M13A型4気筒DOHC16バルブVVT、1500cc・M15A型4気筒DOHC16バルブVVTの2種類を揃え、国内仕様では全グレードでイモビライザーが標準搭載されました。また、デザイン面では結城康和氏が企画の初期段階から一貫して担当し、この時期に発表されたグッドデザイン賞を受賞しました。

初のRJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

2代目スイフトは2005年11月9日に日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞Most Fun賞を受賞し、そのすぐ後の11月15日にはRJCカー・オブ・ザ・イヤーを立て続けに受賞しました。これらの受賞を記念して2006年4月までの期間限定車として1.3XG Limitedを発売しました。2007年にマイナーチェンジを行い、1200cc・K12B型4気筒DOHC16バルブVVTエンジン+CVT搭載のモデルが追加されています。CVTとは、Continuously Variable Transmissionの頭文字をとったもので、無段変速機などと言われています。また、外国ではあまり使われていない仕組みのため、ガラパゴス変速機と呼ばれることもあります。基本はAT(Automatic Transmission)に属しますが、CVTには歯車が存在しておらず、歯車以外の機構を用いる仕組みによってスムーズに加減速ができ、燃費の向上を可能にしています。このCVTを組み合わせることで、カタログ燃費20.5㎞/Lを実現しました。

スズキ小型車としては最短で100万台を達成!

2008年5月、スイフトの生産開始から3年8カ月で世界累計生産台数100万台を達成し、スズキ小型車としての最短記録を打ち立てました。日本以外では、ハンガリー・インドで生産台数を伸ばしています。2010年には電気自動車の「スイフト・レンジエクステンダー」を発表しました。これはスイフトの車体をベースとしたもので、一般販売はされず、公共機関などに貸し出されました。フル充電・43Lガソリンタンク満タン時の航続可能距離は、なんと1,115kmでした。

妥協を許さない飽くなきチャレンジ

3代目スイフトでも、2010年フルモデルチェンジを行い、2代目の良さを残しつつ新プラットフォームに移行し、ホイールベース、トレッドをともに拡大しました。居住性が向上し、ボディーサイズが大きくなったものの、高張力鋼板部位の拡大、新開発されたエンジンの搭載などにより軽量化を図り、車重は1トンを切っています。エンジンは軽量でコンパクトなK12B型に統一し、スズキ初となる排気側にもVVTを採用しました。吸排気VVTシステムは、エンジンの状態に応じて吸排気のタイミングを最適にし、燃費・出力・排ガス性能が向上しています。

3代目スイフトでもRJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞

画像引用:https://ja.wikipedia.org/

3代目のスイフトも2010年11月16日にRJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。操縦安定性と快適性、インテリアの質感、副変速機付きCVTの実用燃費性能、走行性の高さが評価されました。翌年には世界累計販売台数200万台を達成し、その勢いは止まらず、2013年には世界累計販売台数300万台を突破しました。この年の7月17日には新グレードを設定し、新たに開発したデュアルジェットエンジンを搭載しました。このエンジンでは、燃焼室形状を小型化し、1気筒あたり2本のインジェクターを設置するデュアルインジェクションシステムを採用し、熱効率を向上させるとともにノッキングの抑制を図りました。さらに、クールドEGR(排気再循環)システムを取り入れ、ノッキング抑制を行い、ピストン・シリンダー・クランクシャフトなどを改良し、フリクションの低減を徹底して行いました。そして、2014年には世界累計販売台数400万台を突破しました。

驚きの120kgの軽量化

2016年に累計販売台数500万台を達成するとともに、年末にフルモデルチェンジをした4代目スイフトを発表しました。4代目でもスズキの挑戦は続き、新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用しました。ボディー剛性を向上させつつ軽量化を図り、3代目と比較して、なんと120kgもの軽量化を実現させました。エンジンはデュアルジェットエンジンを改良し、軽量・コンパクト化されたK12C型を搭載することで燃費性能は一段と向上しました。さらに、K12C型にISG(モーター機能付き発電機)とリチウムイオン電池を組み合わせることによって、初のマイルドハイブリッド車を新設しています。それに加えて登場したのが、1.0L直列3気筒ガソリン直噴ターボエンジン「ブースタージェットエンジン」のK10C型です。直噴化と過給機の組み合わせによって1.0Lの小排気量ながら1.5LNAエンジンに相当する高出力・高トルクを実現しました。

常連となったRJCカー・オブ・ザ・イヤーを3代連続で受賞

2017年、グッドデザイン賞を受賞し、次いで、常連と言っても過言ではない、RJCカー・オブ・ザ・イヤーを3代連続で受賞しました。また、2018年ワールド・カー・アワーズのワールド・アーバン・カー部門TOP3にも入りました。ワールド・アーバン・カーとは、全長4M程度までのモデルを対象に世界で最も都市に似合うクルマを選ぶ賞です。スイフトは欧州市場でも評価が高く、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにもノミネートされています。

とどまらず、進化し続けるモノづくり

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

いかがでしたでしょうか。フルモデルチェンジを繰り返し、プラットフォームやエンジンなどのモノたちに、常に新しい発想やアイディアの息吹を注ぎ込み、より良いものを目指し作りあげてゆく。そんなモノづくりの精神が根底に流れているスズキだからこそ、数々の驚きの工夫や各賞の受賞があったのではないでしょうか。これからも、ワクワクするような驚きとともにスズキのモノづくりへの期待はとどまることを知りません。

関連記事

月別アーカイブ

ページ上部へ戻る