待望のツーリングも登場!ベストなBMW 3シリーズはどのクルマ?

BMWの屋台骨を支える基幹車種と言っても良い3シリーズだけあってバリエーションが豊富です。エンジンもデビュー以来、ディーゼルやハイパフォーマンスバージョンなどラインナップが増え、さらに待望のステーションワゴンモデル、ツーリングも登場しました。どのモデルも魅力的で何を選べば良いのか悩ましい3シリーズについてそれぞれを比較するとともに、意外なライバルになるかもしれない?BMW 2グランクーペとの比較も行います。

「The BMW」 3シリーズ

画像引用:https://www.bmw.co.jp

クルマにあまり詳しくない方でもBMWと聞けばまずイメージするのが3シリーズではないでしょうか。バブル期の1975年に登場した初代、輸入車としては異例ともいえる大ヒットを記録し、「六本木カローラ」と呼ばれるほど日本市場に浸透した二代目を経て2019年にデビューした最新型まで、常に3シリーズはスポーティなセダンのお手本となってきました。フォーマルでありながらスタイリッシュなデザインにスポーティな操縦性と快適な居住性を高次元でバランスしたパッケージングは誰にでもおすすめできる一台です。

現行型3シリーズも日本カー・オブ・ザ・イヤー2019-2020においてインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど車選びのプロフェッショナルからも高い評価得ているのはご承知のとおりです。しかし、いざ車種を選ぶ段階になって迷ってしまうのはラインナップが豊富だからでしょう。

現行型3シリーズは2019年1月にデビューした当初、直列4気筒ターボの「320i」とそのハイチューニングバージョン「330i」の2機種のみの展開でした。その後、本国ドイツでの展開に合わせてディーゼルターボの「320d」ハイブリッドの「330e」とバリエーションがほぼ出そろいました。さらに待望のステーションワゴンの「ツーリング」も追加され、幅広いラインナップが完成しました。

ザ・スタンダード「320i」

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3シリーズのベーシックモデルは「320i SE」です。461万円(税抜)からという価格は魅力的ですが、一部装備が簡略化される上、受注生産となってしまうことから実質的なスタンダードモデルは320iになるでしょう。エンジンは2Lの直列四気筒ツインパワーターボエンジンで184psを発揮します。ボディサイズは大型化しましたがその一方で軽量化を推し進めた結果、車重は55㎏ものダイエットに成功しています。

上限まで気持ち良く回るエンジン、FRならではのナチュラルな操舵フィーリング、引き締まった快適な乗り心地と、スポーツセダンのお手本のような仕上がりとなっています。

最新のコネクテッドサービスを備えたインテリアも決して華美ではないものの機能的でクールにまとまっています。

3シリーズのシャシーはさらにハイパワーなエンジンに対応できるだけの余裕があるので、もしかすると「320i」だとちょっと物足らない、と感じる方もいらっしゃるかもしれません。そういった方のためには同じ2Lの直列四気筒ツインパワーターボエンジンながらチューニング違いで258psを発揮する330i Mスポーツも用意されています。

このように3シリーズを選ぶのであればまずスタンダードの320iを基準にして考えていくと良いでしょう。

エコ・コンシャスなエゴイスト「330e」

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330eはプラグインハイブリッド(PHV)です。ハイブリッドといえば燃費が良くてエコだけれど、走りは今一つ…というイメージを持っている方が3シリーズのプラグインハイブリッド、330eに乗ると良い意味で予想を裏切られるでしょう。「330e」は184psを発揮する2L直列4気筒エンジンと最大出力113psを発揮するモーターの組み合わせでシステム最大出力252psのパワーと、42.8kgmのトルクを絞り出します。

さらに「330e」にはエキストラブーストモードが装備されています。これはモーターの出力を一時的に引き上げることでシステム全体の出力を40psも引き上げるもので、このモードを使うと01-100km/h加速5.9秒、最高速は230km/hに達するというハイパフォーマンスを発揮します。

ハイブリッドシステムの要となるリチウム電池の進歩は日進月歩ですが、先代3シリーズのPHVハイブリッドに比べて蓄電容量は80%もアップしたことからEVのみでの走行距離も37㎞から66㎞にまで拡大しています。

つまり通勤程度であれば帰宅後に毎日充電することで普段は完全なEVとして使用することもできるということです。このため発表されている燃費はWLTCモードで13.1km/Lとなっていますが、こういった使い方をすれば実燃費はさらに伸びてガソリンスタンドに行く機会はほとんどなくなるかもしれません。

通常の3シリーズに比べて車重が200㎏近く増えますが、動力性能面でハンデを感じることは全くなく、むしろ車重が増えたことによって乗り心地はより落ち着いた印象になっています。

ただし、自宅に充電設備が必要になることや大型のバッテリーを搭載することでトランク容量が減少(480L→375L)という点は考慮する必要はあります。

低燃費でエコ・コンシャスなだけでなく走りへの欲望も満たす、ハイパフォーマンスと低燃費を両立した330eは注目のグレードです。

実は主力車種?はディーゼルの「320d」

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BMWといえば伝統のシルキーシックス、直列6気筒のガソリンエンジンを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし近年はそんな状況が少々変化しているようです。実は先代の3シリーズでは、なんと国内販売の半分をディーゼルエンジンが占めていたそうです。良好な燃費と安価な軽油使用という経済面のメリットもありますが、それよりも走りの良さを購入理由に挙げるユーザーの方が多いようです。

「320d」に搭載された2L直列四気筒のディーゼルターボエンジンは40.8kgmのトルクを1,750rpmという低い回転域から絞り出します。エンジン形式は先代と同じB47型で、2016年に日本国内に導入されたばかりです。このため、先代のエンジンからキャリーオーバーされたものと思われがちですが、実は大幅にアップデートされています。

もっとも大きいのはこれまでシングル仕様だったターボがシーケンシャルツインターボになった点でしょう。最高出力及び最大トルクの数値自体に変化はありませんが、より低い回転域からターボが働き始めることでより運転しやすくなった印象があります。BMWのガソリンエンジンほどではないものの高回転域でもディーゼルとは思えないスポーティさでふけ上がり、最高出力を発揮する4,000回転超えまでスムーズに回ります。

今回の3シリーズからディーゼルエンジンを搭載した「320d」はセダンもツーリングもすべて4WD仕様となりました。ディーゼルの強力なトルクをより効率的に路面に伝えるという意味では非常にクレバーな選択と言えるでしょう。

ディーゼルを選ぶなら、エンジンの特性や4WDということを考え合わせると、より荷物を多く搭載できるツーリングをおすすめしたくなります。

とくにアウトドアなどアクティブな趣味をお持ちの方であれば広く多様なアレンジが可能な荷室を備えたツーリングは良き相棒となってくれるでしょう。

もちろん安い軽油を使用しているので長距離走行しても燃料費がリーズナブルなことは言うまでもありません。

ちょっと気になる?2シリーズグランクーペ

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先代の3シリーズのユーザーにとって2シリーズグランクーペはちょっと気になる存在かもしれません。というのもボディサイズが全長×全幅×全高=4,526mm×1,800mm×1,420mmとサイズアップした3シリーズより一回りコンパクトなサイズに収まっているからです。実はこの2シリーズグランクーペのサイズですが先々代の3シリーズ(E90)とほぼ同じ(4,525mm×1,815mm×1,425㎜)なのです。

とくにこれまでの3シリーズは日本向けには専用のドアハンドルを装備するなどして全幅を抑えてきたのでなおさらこのサイズがうらやましい、と感じる方もいらっしゃるでしょう。

FF(前輪駆動)を採用することでスタイリッシュな4ドアクーペながら身長180㎝の男性でも余裕で座れる広い後席も用意しています。さらにラゲッジルームも430Lと3シリーズの480Lには及ばないものの十分な容量を確保しています。それでいて価格はエントリーモデルが369万円からとバリューのある価格設定となっています。

ただし乗り比べてみるとハンドリングの洗練度という点では操舵と駆動を分離できる後輪駆動の3シリーズのほうがまだまだ上手と言えるでしょう。BMWでもその点は理解しているようで、登場が待ち望まれるサーキット走行も可能な2シリーズのハイパフォーマンスバージョンM2ですが、こちらはFFではなく現行どおりFRを踏襲するようです。

全体の高級感やフォーマルなたたずまい、そして後輪駆動ならではのスムーズな乗り味という点では3シリーズの優位性は揺らがないものの駐車スペースの関係で買い替えを悩まれていた方には2シリーズグランクーペの登場は朗報と言えるでしょう。

それにしてもなんとも悩ましくも魅力的な対抗馬を、よりによって「身内」にラインナップするとはBMWもなかなか罪づくりなメーカーですね。

3シリーズは永遠の定番

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「定番」と言われる商品があります。もともとは安定したニーズがあり、台帳に記載する商品番号が固定されていることから転じて現在では流行に左右されない代表的な商品のことを指します。BMWの3シリーズはまさにこのクラスのクルマの定番商品と言えるでしょう。

しかし定番とはいつまでも代わり映えしないという意味ではありません。例えばボタンダウンのシャツであればボタンの位置やシェイプといったディティールを時代に合わせ少しずつチューニングしているので古びることなくいつも新鮮なのです。

3シリーズも同様に伝統のキドニーグリルを備えた3ボックスのセダンとツーリングという基本スタイルは変わりませんが、ハンズオフやPHVハイブリッドなど時代に先駆けた新しい機能を常に取り入れ続けています。3シリーズはこれからも永遠の定番として存在し続けるのでしょう。

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