MINIブランド初となるEVのチーフデザイナー「オリバー・ヘイルマー氏」の人物像に迫る

今回は視点を変えて、「クルマ」ではなく「人」についてのお話です。MINIブランドとして初の量産EV(電気自動車)として注目されるMINI クーパー S E。このモデルのチーフデザイナーを担当した、オリバー・ヘイルマー氏の人物像に迫ってみたいと思います。

2017年からMINIのチーフデザイナーを務め、カーデザインの最前線で活躍するオリバー氏。本国ドイツでは公式WEBサイトにて、彼へのインタビューを公開しました。世界中のファンを虜にするデザイナーとは一体どんな人物なのでしょうか。

カーデザイナーを志した理由


オリバー・ヘイルマー氏(Oliver Heilmer)はチーフデザイナーだけでなく、ミュンヘン、カリフォルニア、上海にスタジオを持つBMWグループの子会社「デザインワークス社」(Designworks)の社長も務めています。BMWグループのデザインには17年に渡って携わっており、2016年まではBMWのインテリアデザインを担当していました。まずは、彼がなぜ「カーデザイナーを志したのか」について迫ってみましょう。

なぜカーデザイナーを志したのか

オリバー氏はこの問に対して、「物心ついた頃からクルマに魅了されていました。将来はカーデザイナー以外ありえないと思ったんです」と、このように答えました。

ミュンヘン出身のオリバー氏にとって、クルマはとても身近な存在でした。幼少期から雑誌を飾る数々のクルマに心を踊らされ、繰り返しオリジナルのクルマをスケッチしていたそうです。この頃から漠然とカーデザイナーに興味を持っており、大学に入る前には確固たるものへと変わっていたとのこと。

そのきっかけは、中学校の卒業試験を終えたあとに経験したインターンシップだそう。シュトゥットガルトの自動車メーカーで業務を体験し、カーデザイナーへの憧れを強くしたオリバー氏は、「今後の人生を車に捧げたい」と決意したそうです。

インスピレーションはどこから湧くのか

インスピレーションの元について問うと、「身の回りのものすべてが『良い刺激』です」と彼は答えました。とりわけ、ジャズやヒップホップといった音楽は、豊かな刺激を与えてくれるそう。オリバー氏にとっては、音のインスピレーションさえも視覚的な美に活きるのです。

また、芸術的なものだけでなく、技術的な観点もデザインには欠かせないと指摘しています。例えば、祖父母の農場にあったコンバインや、1950年代のエスプレッソマシンなど、「幼い頃からエンジニアリングの生む美観に関心がありました」と振り返っています。研ぎ澄まされた感性がハイセンスなデザインを可能にしているのでしょう。

MINIのデザインについて

「優れたデザイン」とは

優れたデザインについてオリバー氏は、「機能性が感じとれるもの」と考えているそうです。製品の機能はデザインに反映されており、デザインが優れているほど機能性を分かりやすく表しているのだそう。

例えば、優れた航空機は美しい流線形に、優れた電子機器は無駄のない直線的なデザインに設計されています。機能性が高いものほどデザインが美しく、なおかつ一目見て用途を感じとることができるのです。芸術に関心がある一方、エンジニアリングにも明るいオリバー氏ならではの感性と言えるでしょう。

MINIのデザイン責任者として主張したいこと

オリバー氏の考えるMINIのデザインコンセプトは、「ドライバーの個性を表現できるクルマ」です。プレミアム感よりもレトロチックでコンパクトなデザインを意識し、ドライバー自身がそれぞれの個性を楽しめるように設計しているとのこと。

クルマそのものの魅力もそうですが、オリバー氏は人とクルマが生む親密な関係を大切にしています。ステータスのあるクルマも魅力的ですが、MINIでは等身大の自分が楽しめるようなスタイリングを心掛け、近い距離感で付き合えるクルマを目指しているのです。

MINI クーパー S Eのデザインにあたって

画像引用:https://www.mini.jp/

MINIブランド初のEVをデザインするにあたり、「伝統的な様式を踏襲しつつ新たな技術をデザインに落とし込むことに、デザイナーとして『やりがい』を感じました」と魅力を語っています。

電気自動車とガソリン車では、メカニズムに大きな違いがあります。前述のとおり、オリバー氏は機能を想起させるデザインを重要視しており、EVの設計には「これまでとは違った、EVならではの新たなモチーフを与えました」と言葉をつけ加えました。

想像するに、フロントグリルやリアクオーターに配されたプラグのようなアイコンが、これに該当するのでしょう。また、ボディカラーもこれまでのMINIにはない、ハイトーンの「グレー × イエロー」という配色で、EVであることが一目瞭然です。ホイールのデザインも近未来を予期させる「4本スポークデザイン」を採用し、次世代カーであることを演出しています。

MINIの今後の展望について

次世代の牽引役として期待されるオリバー氏は、MINIの将来についてどのような想いを持っているのでしょうか。

将来の「MINIのデザイン」に期待できること

MINIのデザイン責任者として、「今日のMINIを支えるのは、伝統を踏襲しつつも時代に合ったニーズへ変革してきた姿勢だと考えています。ときに大胆さが求められますが、私は今後もこの姿勢を貫きたいです」とオリバー氏は語りました。絶え間なく変化する現代において、「クルマもまた多様であるべき」とのことです。

そして、もう1つMINIの将来について「クルマという枠を越えて、様々なジャンルと積極的にコラボレーションしていきたいです」と展望を語りました。ブランドとしてのMINIのアイコンは、クルマ以外のジャンルでも効果を発揮できると、彼は確信しているのです。

前述のように、オリバー氏は関連会社で社長としての顔も持ち、未来志向なデザインを提供する事業も行っています。具体的な取り組みとして、2019年2月にTHE NORTH FACEとのコラボレーションを発表しており、当サイトでも過去に記事として扱いました。詳細はそちらの記事をご覧ください。

「“BMW × THE NORTH FACE”のコラボレーション! CESで公開された布製の次世代キャンピングトレーラー」

「MINIのデザイン」の行く末とは

最後に、MINIのデザインの行く末についてオリバー氏は「未来の車のほとんどが『シンプルな長方形の箱』のような形になっても、MINIをMINIとして認識してもらいたいです」とユニークな回答を残しました。

現在のMINIのデザインは、丸型のヘッドランプ、コンパクトで丸みのあるシルエットなど、クラシックな雰囲気が魅力的です。しかし、こうしたデザインも、自動運転技術やエネルギー開発が進むにつれて薄まってゆくのかもしれません。それでもなお、「MINIらしさ」を感じさせるアイコン・デザインに仕上げることを彼は切望しているのです。

MINIの今後を担うトップデザイナー

画像引用:https://www.press.bmwgroup.com

MINIの今後を担うチーフデザイナー、オリバー・ヘイルマー氏の人物像について迫ってみました。幼い頃からクルマに魅了され、カーデザインの道へ進んだオリバー氏ですが、業界に入りたての頃は今のようなポジションに就くなんて想像もしていなかったとのこと。しかし、今ではBMWグループの重要人物の一人です。

これからMINIの新モデルを目にする際は、オリバー氏のこだわりを思い浮かべてみてください。つくり手の考えを想像すると、クルマの見え方も面白くなります。

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