新型「BMW Z4」がデビューし話題となっています。オープン2シーターで、ドライビングの楽しみを凝縮した新型「Z4」、一度はハンドルを握ってみたいと思う人は多いでしょう。一方で、オープン2シーターということで実用性などを理由に選択肢から外してしまう方も少なくありません。しかし新型「Z4」はドライビングの楽しさに加えて、ある程度の実用性も備えており、普段使いも十分こなす柔軟性も持ち合わせています。今回は新型「Z4」を題材に2シーターのオープンカーのあるライフスタイルについて解説していきます。
オープンカーは走りがゆるい、という固定概念を覆す新型「Z4」
オープン2シーターには運転の気持ち良さはあるけれど、ルーフが無い分ボディが緩く、性能や快適性ではクーペに敵わない、というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし新型「Z4」であればそういった心配は杞憂に終わるでしょう。
新型「Z4」のボディはオープンカーとは思えないほど剛性感が高く、多少ハードなコーナリングを行なってもボディの弱さに起因する揺れが発生する気配はみじんも感じられません。レーシーな走りにこだわる方は、クーペボディを選ぶ傾向がありますが、新型Z4であればそういったユーザーの期待にも十分こたえられるだけの実力を備えています。
先代の「Z4」はメタルトップのリトラクタブルルーフを採用していましたが、新型は初代Z4と同じソフトトップタイプのルーフに戻りました。クーペと変わらない対候性を持つことを理由にリトラクタブルルーフだった先代のZ4を購入された方であれば、ルーフを閉じたときの静粛性や対候性を心配される方もいらっしゃるかもしれません。
新型「Z4」ではクローズドにした状態で高速走行をしてもソフトトップにありがちなルーフのばたつきは皆無でノイズも少なく、お気に入りの音楽を聴きながらのドライブも心ゆくまで楽しめるでしょう。さらにオプションとしてハーマンカードンサラウンドサウンドシステム(54,000円)も用意されており、こちらを装着するのもおすすめです。最大出力408Wのハイパワーワンプに12個のスピーカーによる7チャンネルサラウンド仕様という基本スペックの高さもさることながら、車速などに応じて音質のチューニングを自動的に行うなど、まさにオープン2シーターのために設計されたハイエンド・オーディオとなっています。オープンにした時に気になる風切り音やエンジン音なども相殺する仕組みになっているので、走行中に音が聞こえづらくなってボリュームを上げてしまい、信号で停車した時にあわててボリュームを下げる、といったありがちなケースも避けられるでしょう。
新型「Z4」には気配りの効いた小ワザがたくさん
クルマづくりに関してはストイックなイメージのあるBMW、しかもオープン2シーターとくれば身構えてしまうのも仕方がないところですが、実は意外にユーザーフレンドリーな設計になっています。
オープンカーでルーフを開けた時、一番困るのはリアから回り込んでくる風です。オープン2シーターをロングヘアーの女性がドライビングしているのはとても絵になる光景ですが、実際にはスピードを上げるとリアからの風の巻き込みでせっかくのスタイリングが台無しになってしまいます。
新型「Z4」は風の流れについて、それまでの蓄積と研究により対策を行っているのでオープン2シーターとしては風の巻き込みをしっかりとコントロールしています。それでも気になるようであればヘッドレストの間にウインドディフレクターを立てることで風の巻き込みをシャットアウトすることができます。
オープン2シーターなら実用性は二の次、とばかりに小物入れの数が少なかったり、また使いにくかったりするクルマも少なくありません。しかし新型「Z4」については豊富とまではいえないものの必要な収納は装備されています。
センターコンソール下のカバーを開くと12Vの電源ソケットと、ちょうどその横にスマホを置くことができるスペースが出現します。アームレストの内部には二人分のカップホルダーが内蔵されていますし、左右ドアにはシートポケットが設けられています。
またシートの背後には狭いながらブリーフケースや、畳んだジャケットやコートなどを置ける程度のスペースがあり、メッシュタイプのポケットも装備されているのですぐに取り出したい手荷物などはここに置いておくと便利です。
欲を言えばオープンカードライブの必需品、サングラスが運転中にさっと取り出せるような収納場所が欲しかったところですが、こちらは社外品のアクセサリーなどでカバーできるでしょう。
新型「Z4」ならゴルフやサーフィンにも行ける?
1人、あるいは2人で乗ることがほとんどなので2シーターでも大丈夫だけれど、オープンカーだと荷物が乗せられないのでは?と思う方もいらっしゃるでしょう。とくに新型「Z4」はロングノーズ、ショートデッキという古典的なスポーツカースタイルなので、そう思われても無理はありません。
確かにトランクの開口部は大きくはないですが、奥行きは810㎜、幅も950㎜~1,150㎜と床面積はかなり広く、スーツケースもすっぽり飲み込むほどです。スペアタイヤを積まないことから、荷室の深さも最大430㎜を確保していますし、荷室内の形状も整理されて使いやすいものになっています。
また、開口部は大きくないものの、スルーローディングシステム(トランクスルー機構)が装備されているので長尺物も搭載可能です(「スタンダード」グレードを除く)。荷室容量は281ℓで、これは「BMW MINI(5ドア)」とほぼ同じ容量となっています。これなら2人で長距離ドライブ旅行に出かけても、ちゅうちょせずにたくさんのお土産を購入できるでしょう。
ゴルフが趣味、という方にも朗報で、新型「Z4」にはゴルフバッグが2つ搭載可能です。ただし、ゴルフバッグの大きさ、形状によってはそのまま搭載できず、ウッドなどの長いクラブを出してやる必要はあるので、試乗の際に愛用のクラブを持ち込んで実際に試してみることをおすすめします。
実は、先代「Z4」でも何とかトランクにゴルフバッグを搭載できたようですが、リトラクタブルハードトップを採用していたことからルーフを閉じた場合に限られていました。新型「Z4」ではソフトトップが採用されたことから、ルーフを開けても荷室容量には影響がないので、ゴルフ場まで爽快なオープンエアドライブを楽しむことができるのはうれしいですね。
そして、実は1人であればサーフィンにも出かけられます。これは私が実際に見かけたケースなのですが、先代の「Z4」のルーフを開け、助手席にサーフボードをそのまま乗せてサーフィンに来ている方がいました。もちろんロングボードだと厳しいでしょうが、ショートボードであればシートベルトをうまく使って固定すれば新型「Z4」でも搭載可能です。さらに新型「Z4」なら、オープンにしてもトランクがまるまる使えるので、ウェットスーツや水タンクといったサーフィン用のグッズもしっかり収納できます。ちょっとアメリカ西海岸のサーファーのようなスタイルで、注目を集めることは間違いなしです。
オープンカーのベストシーズンは?
夏の海辺をオープンカーでドライブ、というシーンをドラマやCMなどで見て、憧れている方もいらっしゃるでしょう。
しかし外国のリゾート地であればともかく、最近の日本の夏の暑さは半端ではありませんし、しっかりと紫外線対策をしないと後で大変なことになるので、実際にはあまりおすすめできません。幸いにも新型「Z4」はルーフを閉めていれば、クーペと変わらない耐候性を備えており、真夏でもエアコンはよく効きます。
一般的には春か秋がベストシーズンになりますが、最近は花粉症の方も増えているので春先はルーフどころか窓も開けられない、という方もいらっしゃるので、実は春よりもむしろ冬のほうがオープンドライブには向いていると言われています。
冬にルーフを開けるなんてストイック過ぎるのでは?と思われるかもしれませんが、ヒーターが強力なことに加え、空力を徹底したデザインのおかげで走行中は風が頭上をなでていくだけ、いわば頭寒足熱な状態で快適な運転が楽しめるのです。冬は晴れた日も多く、空気もドライで澄んでいるので新型「Z4」を購入したらお洒落なウェアを用意して、真冬のオープンドライブを試してみてはいかがでしょうか。
流通量増加中!手頃な価格の認定中古車にも注目
新型「Z4」の価格は566万円(sDrive20iスタンダード)からとなっており、最新型のスポーツカーで内容を考えれば十分リーズナブルなものですが、やはり高額な商品であることには違いありません。そこで注目したいのが先代「Z4」の中古車です。
BMWではそういった方のために認定中古車制度を用意しています。納車前にエンジン、サスペンションから車載コンピューターまで100項目のポイントを点検し、基準に該当する場合には整備、部品交換を行います。
またクルマの年式、走行距離に応じてBMW Premium Selection、BMW Approved Car、BMW Used Carという3つの選択肢が用意されており、6ヵ月から最長2年の保証も付けられます。
BMW Premium Selection、BMW Approved Carであれば据置価格で設定できるバリューローンが利用可能なのもありがたいですね。参考までにBMW認定中古車のサイトをチェックしたところ、2010年式 走行距離30,000kmのZ4 sDrive 23iグレードで2,088,000 円と、リーズナブルなクルマも見つかりました。
新型「Z4」のデビューにより、今後は先代からの乗り換えが進むことで流通量が増え、中古車の選択肢も増えてくることが予想されます。先代「Z4」の購入を考えている方は認定中古車のサイトをまめにチェックすることをおすすめします。