予約も開始 新型「S1000RR」の魅力に迫る

バイクの楽しみ方は人それぞれで、ツーリングが好きな人もいればカスタマイズのほうが楽しいという人もいると思います。しかし、バイクに乗る人たちの共通認識として“速く走りたい”や“速いバイクはカッコいい”というものがあり、サーキットなどで行われる大会には多くの人がプロの走りを一目見ようと押しかけています。プロが乗っているようなバイクは特注と言っていいほど手が入れてあり、この世に一台だけしかないモデルばかりです。そんな中で多くの人が購入することのできる市販車のバイクを見てみると様々なモデルが発売されており、その用途も幅広くラインナップされています。中でも多くの人が憧れるジャンルの1つとして「スーパースポーツ」と呼ばれているものがあります。一般的に公道を走行できるものが市販車として売られていますが、その中でも高性能なレーサータイプのバイクを総称して「スーパースポーツ」と呼んでいます。

バイクブームと“SS”

別名“SS”と略されることもある「スーパースポーツ」ですが、その人気の火つけ役として忘れてはならないのが日本中を席捲した“バイクブーム”です。日本がバブル景気に沸いていた1980年代にバイクブームが到来しました。映画「汚れた英雄」や漫画「ふたり鷹」「バリバリ伝説」などが人気を呼ぶと、業界問わずにマスコミがバイクを取り上げ始めたこともあり、バイクに興味がない人までも巻き込む一大ブームへと成長していったのです。
バブル景気に沸いていた勢いもあり、高額な“レーサーレプリカ”と呼ばれるバイクが飛ぶように売れ、サーキットで行われるレースへの申し込みも定員オーバーということも珍しくはありませんでした。そもそも、当時人気のあった“レーサーレプリカ”は現在のスーパースポーツとは異なるもので、レースカーに似せて作られたものであれば性能を問わずに”レーサーレプリカ”と呼ばれていました。もちろん、メーカーも競技モデルに似せて作りますが、灯火類やバイクスタンドなど法規に抵触しないような装備があり、公道でも扱いやすいようにデチューンされているものが大半でした。しかし、そんなレーサーレプリカもバブルの崩壊や日常的に扱いやすいネイキッドバイクの人気が出てくると、一気に衰退の一途をたどることになりました。

超高性能バイクの進化と「S1000RR」の登場

画像引用:https://www.bmwmotorcycles.com/en/models/sport/s1000rr-new.html

レーサーレプリカが衰退する一方で、バイクメーカー各社は速さを追求するために研究を重ねており、バイクブームが衰退した1990年には300km/hを超えるバイク造りに注目が集まっていました。そんな中、ホンダが開発した「CBR900RR」を皮切りに、ドゥカティ「888SPS」やスズキ「GSX-R1100」などの名車と呼ばれるモデルが次々と誕生していきます。
その後も熾烈な争いは続く中で、2002年にロードレース世界選手権が「MotoGP」と名称を変更、レギュレーションも変わったことから各社が開発してきた「スーパースポーツ」の主戦場となってきました。

そして、わずか2年後の2004年に「WSB(スーパーバイク世界選手権)」のレギュレーションが1000ccと変更されたことからスーパースポーツがベース車となり、現在のバイク人気をけん引する存在にもなりました。各社が新しいモデルを発売する中、エンジンの名門であるBMWを親に持つ“BMW motorrad”が2009年に満を持して発売したモデルが「S1000RR」です。

BMWモトラッドの傑作

WSBへ参加をするということは、技術力と資本力の両方を試される重要な決断でもありました。そのWSBへ参加するためにBMWが開発したものが「S1000RR」です。このS1000RRが登場したときに多くのバイク好きは、その見た目はもちろん設計思想に驚いたのではないでしょうか。

S1000RRが登場する以前のBMWというのは、安全で幅広い人がバイクを楽しめるという設計思想が見て取れるモデルが多く、決してレースの世界で覇権を争うためのバイクというものを開発してきませんでした。しかし、WSBのレギュレーション変更から一転して、“速く走るためのバイク”という設計思想の下に、これまでのBMWらしさをそぎ落としたS1000RRが誕生したのです。

まず、チタン製のバルブやトラクションコントロールという軽量かつ剛性を保つための素材選びがなされており、パワー全開時には190PSをマークするなど当時人気のあった日本製のスーパースポーツモデルの性能を凌駕するスペックです。日本では2010年から市販車としても発売されており、その性能から根強い人気があるモデルです。

新型S1000RRの登場

画像引用:https://www.bmwmotorcycles.com/en/models/sport/s1000rr-new.html

S1000RRが発売されてから着実に注目度は高まっており、その新モデルを待ち望む声も多くありました。そんな中「東京モーターサイクルショー2019」にて、新型のS1000RRが発表されました。

何と言っても驚くのは”207PS”という“モンスター級”のスペックです。現代のスーパースポーツにおいて、マシンコントロール下での馬力向上が難しい中で、逆回転クランクのエンジンに可変バルブ機構を搭載し、車体重量も前モデルから11㎏もそぎ落とすことで207PSを達成しています。とくに注目度が高いのは新設計の999cc並列4気筒エンジンで、207PSで最高回転数は13,500rpmという数値で前モデルと変わりませんが、新技術によって回転数以外の増強がなされています。

例えば、新たなシフトカムテクノロジーの採用により、リフト量を可変することができるため低速域でのパフォーマンス向上につながっています。5,500~14,600rpmで100Nmという幅広いトルクバンドを持っているため、低速から中高速に向けての立ち上がりと伸びの良さが特徴です。また、シフトアシストプロを搭載しているため、クラッチ操作を必要としない高速のシフトアップ・ダウンを可能にしています。

さらにメインフレームも“フレックスフレーム”と呼ばれる新形状のものを採用しており、軽量化と人間工学に力をいれた造りになっています。サスペンション機構やスイングアームまで、より横幅もスリム化された設計へと見直されています。もちろん、電子制御のサスペンションであるDDCもオプションで装着することは可能になっています。

一方で、トラクションコントロールやエンジンブレーキ、ABSなどでは電子制御も一新されており、ライディングモードも“レイン・ロード・ダイナミック・レース”の4つ標準装備されており、オプションで“プロモード”を3種類用意しています。メーターも6.5インチのフルカラーTFT液晶を搭載しており、スーパースポーツならではのサーキット用メーターと切り替えることも可能です。このように、外装から内装までを新設計としたS1000RRは、まさにスーパースポーツの代名詞とも言える一台に進化しています。

挑戦者からリーダーへ

2009年にS1000RRが誕生すると、BMWはスーパースポーツで挑戦者となりました。安全にバイクを走らせる楽しさを感じさせる設計思想から、スーパースポーツで速さを追い求める設計思想へと転換させて挑んだWSB。その完成度の高さから次々と戦績を残していき、いまやBMWはスーパースポーツの挑戦者から速さをけん引する存在になりました。そんなBMWのサーキットマシンを走らせる歓びを味わえるとともに、その高性能さに裏づけされた安全性能も兼ね備えています。まさに、BMWの最高傑作とも言える一台がS1000RRであり、その新型の販売を多くの人が待ち望んでいます。みなさんも新型S1000RRで走るときを楽しみに待ちながら、レースで活躍するBMWを観戦してみてはいかがでしょうか。

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