MINI JCWについてもっと知りたい!

MINIの頂点に立つモデルがJCW(John Cooper Works)です。卓越したパフォーマンスでMINIファンから熱狂的な支持を受けている「JCW」、そのヒストリーや名称の由来やラインナップ、そして登場が噂される「究極のJCW」までを解説していきます。

JCWのヒストリー1:チューニングキットからMINIのサブブランドへ

画像引用:https://www.mini.jp/

現在ではMINIのブランド名となっているJCWですが、当初はMINI用のチューニングキットとしてデビューしました。

内容は吸排気系のパーツやシリンダーヘッドといったJCWらしいパワーアップ用の後付けキットがメインでしたが、2005年からは生産ラインでの装着も可能となり、LSD(スリップを制御するデフ)やフロントブレーキキャリパーといった足回りのパーツも追加されました。

2006年にはJCWの名称が初めて使われたコンプリートカー、ミニクーパーS with JCW GP キットとして発売されています。ホイールや内外装はもちろん、エンジンもチューニングより8psのアップ、さらに徹底した軽量化が図られたスペシャルなモデルで販売台数は世界で2000台のスペシャルモデルでした。

そして2008年、二代目のMINIからは、JCWが正式にMINIのサブブランドとなりました。当初は3ドアのハッチバックのみで、エンジンは最高出力211psを誇る1.6Lターボが組み合わされ、6MTのみという硬派なモデルだったのです。実は、デビュー時のエアロパーツについてはJCWエアロダイナミック・パッケージとしてオプションとなっており、標準装備化されたのは2010年になってからです。

なお、MINI JCWがラインナップされた後もクーパーSに後づけできるJCWブランドのチューニングキットは継続して発売されていました。

JCWのヒストリー2:広がるラインナップ、でも基本はレーシー

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3ドアハッチバックのデビューから1年後2009年には早くもクラブマンとコンバーチブルのJCWが追加されました。さらに2011年にデビューしたクーペ、2012年にデビューしたロードスターには初めからJCWがラインナップされています。このクーペですが、市販化の一足先となる2011年のニュルブルクリンク24時間耐久レースにMINIのワークスチームとして出場しています。ワールドプレミアムの舞台がレースというのは、いかにもレースにゆかりのあるJCWらしい演出だったと言えるのではないでしょうか。

また2012年には待望の6ATモデルも全車種でラインナップされ、ユーザーのすそ野を広げることに成功します。

その一方で2012年5月には、ハイパフォーマンスモデルとしてMINI JCW GPがリリースされています。

最高出力は218psにまで高められ、専用の17インチホイール、レカロシートといった専用装備はもとより、軽量化のためになんとリアシートを取り払い2シーター化したという硬派なモデルとなっています。世界で2000台、日本では200台限定で発売されました。

2013年にはさらにクロスオーバーとベースマンにもJCWがラインナップされ、二代目MINIの全ボディバリエーションでJCWが選べるようになりました。

このようにバリエーションは豊富になりましたが、エンジン内部のパーツが強化され、レースを想定した吸排気系及びターボチャージャーも強化されている点はすべてのJWCに共通しています。ラインナップが広がり、選べる選択肢も増えましたがJWCのベースはやはりレースということなのでしょう。

実は「クーパー」も同じ生みの親

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JCWの名前の由来となっているジョン・クーパー氏(John Cooper)ですが、どのような人物だったのかご存知でしょうか。

ジョン・クーパー氏は1923年生まれの英国人です。50年代には、初期のF1において、現在主流となったミッドシップレイアウトを採用したレーシングカーを考案し、一世を風靡するレーシングチームとなりました。1960年代になって、当時としては革新的なパッケージングを持ったクラシック・ミニに着目し、その高いポテンシャルを見抜いて、レース活動を開始します。ラリーにもクラシック・ミニで参戦し、中でも伝統のモンテカルロラリーにおいて並み居る競合を押さえて3度もの優勝を果たしたことは驚きをもって迎えられました。この活躍を受けて、当時のFIA(国際自動車連盟)のレース車両規格を満たすために、クラシック・ミニに専用のチューニングを施したスペシャルモデルが用意されました。

それが「クーパー」、そして「クーパーS」です。クルマに詳しくない方がMINIを見て、「あ、ミニクーパーだ」、というほど、誰もが知るビッグネームとなったことはご存知のとおりです。

残念ながらジョン・クーパー氏は2000年に惜しまれながらこの世を去りましたが、JCWはMINIの母体となるBMWとライセンス契約を締結、現在もJWCの開発にはジョン氏の息子、マイク・クーパー氏が参加しています。

現在購入できるJCWは?

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現行モデルとなる三代目MINIにJCWが追加されたのはデビュー1年後となる2015年でした。
当初は3ドアハッチバックのみでしたが、コンバーチブルやクラブマン、クロスオーバーにも拡大していきます。5ドアハッチバックについては、残念ながら2019年3月の時点ではJCWは設定されていません。

エンジンはクーパーSと同じ2.0L直列4気筒ターボですが、最高出力は231ps、最大トルクは320Nmとハイパフォーマンス化が図られています。エクステリアにはもちろん専用のエアロキットが装着される上、足回りには17インチホイールとブレンボ社製ブレーキも採用されるなどJCWらしいレーシーな仕上がりとなっています。2018年5月には三代目MINIとしては初めてのマイナーチェンジを受けますが、JCWの3ドアハッチバック及びコンバーチブルについてもマイナーチェンジが行われています。

最も大きな違いは変速機で6MTは変わりませんが、ATについては従来の6ATから新開発の8ATが採用されています。

ところがベース車となるハッチバック及びコンバーチブルはマイナーチェンジで8ATではなく7DCTが採用されています。

DCTとはダブルクラッチトランスミッションの略で、奇数段のギアと偶数段のギア、それぞれにクラッチが連結されています。MT車のように一度クラッチを切ってからシフトチェンジし、またクラッチをつなぐのではなく、常にスタンバイしている次のギアに素早くつなげることが可能です。もちろんクラッチの切り替えは自動で行われる2ペダル仕様で、AT車限定免許でも運転できるとういものです。

今回、JCWにこのDCTではなく8ATが採用されたのは主として最大トルクが理由のようです。クーパーは220Nm、クーパーSでは280Nmだった最大トルクがJCWでは320Nmにまで高められています。これだけの大トルクを発揮するターボエンジンを受け止めるためにはトルクコンバーター式のAT車の方が最適と判断されたようです。もちろんあえてスポーツAT車とアナウンスされるほどなので8速化されたAT車はエンジンのマッチングも絶妙で街乗りからサーキットでのスポーツ走行まで対応可能なフレキシブルさを備えています。

2020年、究極のMINI JCWがデビューする?

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2017年のフランクフルトショーにはMINIファンの度肝を抜く、鮮烈な1台が出品されました。
その名は「JCW GP コンセプト」で、JCWのレーシングコンプリートマシンです。大型化されたフロントとリアのバンパーにサイドスカート、19インチタイヤを収めるためのオーバーフェンダーを装備、リアにはルーフスポイラーとすごみを感じさせるルックスが印象的です。

インテリアに目を移すと、フロントシートは5点式ハーネスつきレーシングバケットシートに交換、リアシートは取り払われ、内部にはロールケージが張り巡らされるなど、このままでレースに出場できるような状態です。残念ながらスペックは発表されませんでしたが、このルックスにふさわしい、強力なものとなることは間違いないでしょう。

そしてショーでの反響を受け、2020年にJCW GPコンセプトの市販化が決定されました。「史上最強のMINI」、JCW GPコンセプトの登場が今から待ち遠しいですね。

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