かわいらしい丸目のヘッドランプに流線型のボディ。誰もがオシャレと感じるブリティッシュな雰囲気をまとっているMINIですが、その種類はクラシックMINIの頃と比較すると多くなっています。
現在は大きく分類して7種類のモデル(3ドア、5ドア、コンバーチブル、クラブマン、クロスオーバー、PHEV、ジョン・クーパーワークス)に分けられており、それぞれが独特の色を出した個性的なクルマとして多くのファンから愛されています。
その中でも、昔から変わらないスタイルを踏襲し続けているのが3ドアと5ドアの2モデルです。パッと見た感じは同じモデルに感じてしまうかもしれませんが、実は異なる部分が多いのが3ドアと5ドアモデルの面白いところなのです。
今回は、MINIのラインナップの中でも似たもの同士な3ドアと5ドアモデル。その違いや魅力を紹介していきたいと思います。
見た目から大きく異なる2モデル
3ドアと5ドアは見た目こそスタンダードなMINIという印象ですが、実は異なる点が多いのも特徴です。
まず、名前にもなっている3ドアと5ドア。これは、単純にドアの枚数から由来しています。このように聞くと、3ドアって2枚しかドアがないけど?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ハッチバックドアも含めた枚数で数えているのです。
そのため、いわゆる計2枚のドアがついているモデルは3ドア、計4枚のドアがついているモデルが5ドアと命名されています。しかし、見た目で分かる違いはドアの枚数だけではありません。実は、3ドアと5ドアの大きな違いの1つにボディサイズが挙げられます。
3ドアと5ドアを実際に見比べると分かるのですが、3ドアモデルのボディサイズのまま、ドアの枚数を増やしたものが5ドアモデルではなく、ボディサイズが少しだけ大きくなっていることをご存じでしたか?
3ドアモデル(全幅1,725mm×全高1,430mm×全長3,835mm(ホイールベース2,495mm))に対して、5ドアモデル(全幅1,725mm×全高1,445mm×全長4,000mm(ホイールベース2,565mm))と全幅が5mm、全高が15mm、全長が165mmも大きくなっているのです。
つまり、見た目が似ているということから5ドアモデルのほうは居住空間が狭いのではと思われるかもしれませんが、しっかり全長とホイールベースを3ドアモデルよりも広く確保してあるので快適さに違いはないのです。
さらに、ボディサイズの違いはラゲッジスペースの広さにも直結しています。なんと、3ドアモデルのトランク容量が211Lなのに対して、5ドアモデルは278Lと、67Lも容量が増えているのです。
さらに、後部座席の背もたれを倒すことでスーツケースだけでなく、ゴルフバックも余裕で積むことができます。もし、キャンプなどのアウトドアを楽しみたいと思っていたり、普段から荷物を多く積むことが多かったりする人は5ドアモデルを選択するほうが良いでしょう。
同じエンジンでも燃費性能には多少の違いも
5ドアモデルの軽快な走り
見た目の違いを紹介したところで、気になるのは中身の違い。とくにMINIは走りにこだわりがあるメーカーだけに、エンジンやサスペンション機構などの違いは性能に直結してきます。
実は、3ドアモデルと5ドアモデルともに3気筒DOHCエンジンを積んでおり、総排気量1,498cc、最高出力102PS、最大トルク190Nmと同じ数値をマークしています。これは、MINIの中でもスタンダードと言えるエンジンで、日常生活や遠出の旅行においても十分なパフォーマンスを発揮してくれます。ちなみに、ミッション機構も7速DCTと同じものが採用されています。
そして、エンジンと関連して気になるのが燃費性能。3ドアモデルと5ドアモデルでは、ドア枚数の違いとボディサイズの違いで、車重が50kg分だけ5ドアモデルのほうが重たくなっています。
実は、グレード毎に燃費性能は異なっており、3ドアモデルのMINI ONEは17.8m/L、MINI クーパーは17.7km/L、MINI クーパーSは16.4km/Lとなっています。5ドアモデルはMNI ONEは17.5km/L、MINI クーパーは16.3km/L、MINI クーパーSは16.4km/Lとなっています。
ただし、5ドアモデルの場合は後部座席シートやラゲッジスペースの使う頻度が多くなる場合も想定されるため、3ドアモデルよりも実運用の面では燃費性能が落ちてしまうことも考慮しておくと良いでしょう。
3ドアモデルだけの設定グレードも
5ドアモデルにはないグレードとして、ジョン・クーパー・ワークスモデルが3ドアモデルには設定されています。走りを極めた最高峰のMINIとして君臨するジョン・クーパー・ワークスモデルは、ハンドリング性能とエンジン性能にこだわったものです。
走ることに特化したモデルということで、5ドアモデルではなく3ドアモデルのみの設定となっているため、ジョン・クーパー・ワークスモデルに乗りたい方は必然的に3ドアモデルを選ぶことになります。
また、これまで3ドアモデルだけにはマニュアル車が設定されていたのですが、2020年2月からは3ドアモデルでもマニュアル車が廃止されています。
さらにジョン・クーパー・ワークスでもマニュアル車の設定はなく、パドルシフトによる8速スポーツATが採用されているため、3ドアモデルのマニュアル車が欲しい方は2020年2月までに生産されたものを探すことになることを留意しておきましょう。
ボディサイズの違いはインテリアにも影響
クルマに乗る上で一番長い時間を過ごすことになる居住空間。両モデルともインテリアのデザインに大きな違いはなく、標準装備や用意されているオプション装備も同等です。
一方で、大きな違いが表れるのが後部座席。3ドアモデルは4人乗りなのに対して、5ドアモデルは5人乗りの設定となっています。そのため、後部座席も2人掛けから3人掛けになっていることが大きな特徴です。数cmの差ながらも、その広さは乗ってみるとスグに違いが分かるほどです。
ちなみに、3ドアモデルでも後部座席の真ん中に座れるのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、MINIの2人掛け後部座席にはセンター部分に座れないよう出っ張りが設けてあります。そのため、5人家族だから後部座席に3人座りたいと考えている人は、必然的に5ドアモデルを選択することになります。
気になる価格の違いは?
ここまで、3ドアモデルと5ドアモデルを比較してきましたが、想像していた以上に異なる点があったのではないでしょうか。どちらのモデルも一長一短あるかもしれませんが、やはり気になるのは価格でしょう。
結論から申し上げますと、5ドアモデルのほうが高い価格設定となっており、その差17万円。なんと、すべてのグレードにおいて17万円の価格差と統一されているのです。
この17万円という価格差を高いと感じるか低いと感じるかは人によるところが大きいですが、ちょっとしたオプション装備を追加できるくらいの価格差があるという認識でいれば大丈夫でしょう。
つまり、少しでも価格を落としたいと考えている人は3ドアモデルを選んだほうが良く、5ドアモデルにしかない積載量や5人乗りという特徴は譲れないという人は5ドアモデルということになります。
ただし、価格を考えるときに注意したいのがグレードの選び方です。実は、3ドアモデルと5ドアモデルのどちらでも、クーパーDまたはクーパーSDの自動車重量税が免税となります。これは、クリーンディーゼルを採用することで政府基準をクリアしているためです。もし、ディーゼルとガソリンで迷っているのなら、この点も考慮して考える必要があることを覚えておきましょう。
まとめ
今回は、3ドアモデルと5ドアモデルの違いについて見てきました。
端的にまとめると、5ドアモデルは収納量が増しており、5人乗りだというところが最大の特徴でした。ただし、価格差は17万円3ドアモデルのほうが安いというアドバンテージもあります。
ぜひ、みなさんも3ドアモデルと5ドアモデルを実際に乗り比べてみて、どちらが自分にピッタリの一台となるのかを確かめてみてくださいね。