BMWといえばセダンやクーペタイプが王道とされてきており、名車とされているモデルの多くもセダンやクーペです。なぜBMWはセダンやクーペなのか?という問いに対しては、今とは異なる高級志向があったからと答えることができるでしょう。つまり、高級車というのは運転手を雇い、自らの座る居住スペースは広く取ることのできるセダンやクーペタイプが主流であり、 一番良いというイメージがクルマの黎明期にあったのです。そして、BMWもそのような時代からクルマをつくり続けていたために、BMWといえばセダンやクーペの高級車というイメージが強いのです。もちろん、今でも高級車をつくるメーカーとしての矜持は持ちつつも、より多様に変化し続けているライフスタイルの中でSUVやコンパクトカーといったものにも高級化が求められ、BMWもそれに応えるようなラインナップ展開を見せています。 さらに、若い人でもBMWのファンになってもらうべく、価格帯に幅を持たせるという販売戦略も展開するなど、一昔前のBMWとは異なる新たなBMWというのが確立されている道中にあると言えます。その中でセダンやクーペモデルに次いで人気が高いのが、いわゆるSUVと呼ばれているセグメントです。
実は、厳密に言うとBMWにおいてSUVというジャンルのクルマは存在しません。SUVという呼称ではなく、SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)やSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)という呼び方を公式に採用しているのです。なぜSUVを使わないか?と思われるかもしれませんが、高級車をつくり続けているメーカーとしてのこだわりが随所に詰め込まれているから。だからこそ、SACやSAVと呼んでいるのです。そして、SAVやSACと呼ばれるセグメントで最も成功しているのが、Xシリーズです。
不動の人気を誇るXシリーズ
BMWといえばセダンやクーペという、固定概念を捨てる時代に差し掛かっているのかもしれません。初代X5が発売されて以来、Xシリーズのナンバリングは増え続けており、いまやX1〜X7までつくられています。もはや、セダンやクーペといった伝統的なモデルと並び、BMWの経営を支えていると言っても過言ではありません。その背景には、2020年の今も続いている世界的なSUVブームがあります。
例えば、スポーツカーの殿堂とも言えるポルシェは「カイエン」、ランボルギーニは「ウルス」を発売。ライバルメーカーと目されている、アウディ「Q8」やメルセデスベンツ「GLS」なども堅調な売れ行きを示しています。また、国産車においてもトヨタ「ハリアー」や日産「JUKE」、スバル「XV」が人気を博すなど、多くのメーカーで人気の高いSUVをつくることが必須ともいえる状況になっているのです。そのような状況下でBMWのXシリーズが好調な売れ行きを見せているのは、冒頭で述べたSACやSAVといった独自呼称に込められた高級路線と技術力の高さが秘められているからなのです。
Xシリーズ最大の特徴は、なんといっても高級車をつくり続けてきたノウハウが活かされた上質な居住空間。そこに、サーキットで培ってきた走りの良さやBMWが研究開発を続けている安全機能性が加わります。つまり、単に車体が大きいだけがSUVではなく、上質さや走行性能、安全性能が十分に注ぎ込まれたクルマ。それこそが、SUVを超えたBMWのSACやSAVなのです。
バリエーションの多さに悩む
それだけこだわっているのならとXシリーズのラインナップを見ると、その数の多さに驚くことでしょう。X1~X7というスタンダードモデルに加えて、X2 M35i、X3 M40i、X3 M40d、X3 M、X4 M40i、X4 M、X5 M50i、X5 xDrive45e、X5 M、X6 M50i、X6 M、X7 M50iと19種類にもなります。さらに、各モデルの中で数種類のグレードが用意されているため、正直どれを選んでいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
BMWのラインナップの中でもXシリーズはとくに複雑と言えますが、それだけ選択肢が多いということでもあります。とくに、ディーゼル仕様車やMシリーズも選択できるというのは、他のラインにはない選ぶ楽しさも存在します。では、そのオススメの選び方を見ていきましょう。
まず、BMWのカタログを見る上で共通していることは、ナンバリングの数字が小さいほど価格が安くなるということです。加えて、Xシリーズではナンバリングが小さいほど、車体の大きさも小さいという特徴があります。そのため、Xシリーズが欲しい人は車体の大きさと予算から、買うべくモデルを見定めていく必要があるのです。また、Mシリーズやディーゼル仕様車が欲しいという人は、設定されているモデルが限られていることを留意しておきましょう。
まず、X1とX5を検討してみる
X1はコンパクトで、本格的
Xシリーズを選ぶ上でオススメしたいのが、X1とX5を検討してみるということ。価格帯の一番低いX1を見ることで、自分が理想とするクルマとの差を確認して足りない機能を知ることができます。
また、X5はXシリーズの中で原点ともいえるモデル。それだけに、Xシリーズのな中で最も改良が施されており、X1と比べてみると質の高さを感じることができるでしょう。まず、注目したいのが価格差です。X1が440万円から購入できるのに対し、X5は938万円からと設定されており、その差は約500万円にもなります。何が価格差を生んでいるの?と思われるかもしれませんが、その理由の一つはボディサイズです。X1は全長4,455mm×全幅1,820mm×全高1,600〜1,610mmに対して、X5は全長4,935mm×全幅2,005~2,015mm×全高1,770mmとひと回りもふた回りも大きいことになります。
X5は質実剛健なスタイル
さらに、搭載しているエンジンが異なっている点も価格差の違いとして大きく反映されています。X1では、1.5L直列3気筒・2.0L直列4気筒・2.0L直列4気筒ディーゼルエンジンの3つから選ぶことができ、0-100km/hは6.5〜9.2秒というタイムをマークしています。一方で、X5は3.0L直列6気筒、3.0L直列6気筒ディーゼル、4.4L直列8気筒エンジンから選ぶことができ、0-100km/hは3.8〜6.2秒とX1の最高タイムを大きく上回っているのです。
つまり、価格も手頃なプレミアムコンパクトSUVという意味でX1は必要十分ですが、コンパクトではないプレミアムSUVを求めるのならX5と同等以上のモデルを選ぶと満足のいく愛車選びができるでしょう。
安全性能と価格のバランスが良いX3
前述したスペックを読んで、X1では物足りないという人にオススメしたいのがX3です。車体の大きさは、全長 4,720mm×全幅 1,890mm ×全高 1,675 mmとX1よりも大きく、価格も675万円から購入可能とX5と比べてコストパフォーマンスが高いことが特徴です。加えて安全性能では、Euro NCAP(ユーロNCAP)の衝突安全試験にて、最高評価の総合5つ星を獲得するなど、家族で交代して乗ることの多いファミリーカーとしても安心できます。
X5で満足できない人にはX7という選択肢も
最高級のSUVを手に入れる
X1では物足りないのでX5を検討したけどいまいち満足いかない、という人は最上位モデルのX7を検討してみてはいかがでしょうか。車体は、全長 5,165 mm × 全幅 2,000 mm × 全高 1,835 mmと大きく、価格も1,099万円からと、まさに最上位モデルに相応しいプレミアムハイエンドSUVというべき仕上がりになっています。なんといっても、BMWのXシリーズ初となる3列シートが特徴で、3,105mmという長いホイールベースによって余裕のあるシートピッチを実現しています。また、デフォルト装備でも十分なクオリティで、最新の安全装備もほぼすべて搭載しています。X5は悪くはないけど、もう少し大きなボディサイズが良いという人や、家族が多いから3列シートが欲しいという人。何より、もっと上質なSUVに乗りたいという人にとっても、X7はピッタリな一台となることでしょう。
まとめ
今回はXシリーズをみてきました。たくさんのモデルがラインナップされていますが、X1とX5の2モデルを見ることで自分に必要な機能や装備を確認しましょう。もし、X1で物足りないならX3を、X5で満足できないならX7を見てみると良いでしょう。SUVブームの中で各社が凌ぎを削るセグメントですが、BMWはプレミアムという点を意識したクルマづくりがなされています。
もし、SUVが欲しいと感じているのなら、オンラインで検討するのはもちろんのこと、一度店頭でBMWのXシリーズを見てみることをオススメします。ぜひ、あなたにぴったりの一台を見つけてみてくださいね。