「BMW X3」初のPHEVモデル登場 ディーゼルとの共存なるか

エコという言葉が当たり前になった現在、クルマ選びにおいても環境性能が重視される傾向が強くなっています。世界の中でもヨーロッパはエコ先進国と呼ばれる国が多く存在していることで知られており、中でもドイツはクルマのみならず様々な分野において環境へ配慮した商品づくりが盛んに行われています。そんな環境先進国に本社を置くBMWがX3シリーズ初となるPHEVモデル「BMW X3 xDrive30e」を新しくラインナップに追加しました。日本では2020年4月9日に発売されており、BMWの中でも人気のあるSUVタイプの新モデルということもあり話題を呼んでいます。

環境性能を実現しつつ走りの良さも健在

画像引用:https://www.bmwusa.com

BMWが展開しているSUVタイプは“Xシリーズ”としてカテゴライズされており、ベース車として「X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7」。これに加えて“M”や”xDrive”といった派生モデルがラインナップされています。他のシリーズと比べてみてもラインナップされているモデル数が多いため一見すると違いが分かりにくいと思われるかもしれませんが、基本的にはXの後に続く数字が大きくなるほどグレードが高くなり車体も大きくなるよう命名されています。

そして、新たにPHEVモデルが追加される”X3”シリーズは現行モデルで3代目となるロングセラーモデルで、Xシリーズの中でも最多となる「xDrive20i、xDrive20d、M40d、M、M コンペティション」と(PHEV除く)5つのタイプが発売されている人気モデルです。
ミドルサイズSUVとして扱いやすいサイズ感のまま環境性能にも配慮したクルマへとモデルチェンジを図った「X3 xDrive30e」ですが、BMWは環境性能を高める一方で“走る楽しさ”が失われないように動力部分には力を入れて設計しています。

X3 xDrive30e X5 xDrive45e
エンジン(ガソリン) 直列4気筒(1,998cc) 直列6気筒(2,997cc)
モーター最大出力 80kW/3,140rpm 83kW/3,170rpm
0-100km加速 6.1s 5.6s
最高速度(ハイブリッド) 210km/h 235km/h
最高速度(EV) 140km/h 140km/h

(X3とX5のPHEVモデルで走行性能を比較)

心臓部ともいえるエンジンやモーター部分には先行して発売されていた「X5 xDrive45e」と同型モデルを再設計したものを採用。直列6気筒エンジンから直列4気筒エンジンへと排気量が下がっているのは、X3の性能を最大限発揮できる出力へと合わせたため。これにより、街中でも使い勝手の良い運転性能が得られるだけでなくガソリン使用時と電気使用時の体感差が少なくなっています。

気になる加速性能は、0-100kmで約6.1秒。最高速度は210km/hをマークしているだけでなく、電気のみで走行した時の最高速度は140km/hと「X5 xDrive45e」と同じ性能を保持しています。つまり、「X3 xDrive30e」はPHEVとしての性能は上位モデルである「X5 xDrive45e」と遜色ないだけでなく、街中で使いやすい走行性能というX3らしい魅力を失っていない一台に仕上がっているのです。

航続性能や燃費性能も向上

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基本的な走行性能が高いことが分かった一方で、気になるのは燃費性能と航続性能ではないでしょうか。とくにPHEVの場合は通常のガソリン車以上の燃費性能が期待されるだけでなく、モーターだけでの航続距離(走行可能距離)がどのくらいなのかというのも大事な要素となってきます。「X3 xDrive30e」はWLTCモード(国際的な燃費測定方法のこと)の結果、燃費が11.8km/Lと通常のガソリン車タイプとは僅差になっていますが各モードを見比べてみると燃費性能が確実に向上していることが分かります。「でも、これだけの違いでPHEVを選ぶメリットはあるの?」と思われるかもしれませんが、いわゆるハイブリッド車とPHEVの違いに着目することで改めて「X3 xDrive30e」の燃費性能が良いことが分かります。

外部から充電することが可能
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一般的なハイブリッド車は減速エネルギーを発電機に回収することで発進や加速などに使うことができるというもので、バッテリー容量は小さいためにEV走行(電気だけで走ること)に使用すると数kmしか走行できないため現実的にはEV走行は困難です。一方でPHEVは、バッテリー容量を大きくして外部からの充電を可能にすることで、近距離の移動はEV走行だけで賄うことができるという大きな違いがあるのです。

つまり、日々の通勤や買い物ならガソリンを消費することなく電気だけで走ることが可能なため長距離ドライブ以外では給油というものが必要なくなるのです。一般的には充電に使用する電気代のほうがガソリン代より安いため、燃費に置き換えて計算したとしてもリーズナブルに維持できます。

また、PHEVは大容量のモーターを積んでいる分だけ重くなるため燃費性能は悪くなる傾向にあるにも関わらず「X3 xDrive30e」の燃費は11.8km/Lという、ガソリン車モデル以上の数値を達成しています。したがって、トータルで考えたときに「X3 xDrive30e」は燃費が良いクルマと言えるのです。

X3にはディーゼルモデルも健在

Xシリーズのディーゼルモデルに搭載されているエンジン
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PHEVモデルの発売でXシリーズにも本格的なEV化の波が到来している中で、BMWはディーゼルモデルも販売し続けており、根強い人気に押されるように好調な売り上げを記録しています。とくにヨーロッパではディーゼルエンジンの人気が強かったこともありBMWも昔からディーゼルエンジンモデルを製造していますが、日本におけるディーゼルエンジンの需要は少なくなっています。その要因の一つとしてヨーロッパよりも早い段階で日本の規制が厳しくなったことやガソリンエンジンのメンテナンス性などが挙げられます。

ディーゼルエンジンは軽油を燃焼させていますが燃焼温度が低いために排気ガスが健康や環境に悪いとされた影響は大きく、現在でもディーゼルエンジンといえば騒音が出て排気ガスが汚いというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、BMWは日本の厳しい基準をクリアするだけでなく、ガソリンエンジンに劣らないディーゼルエンジンを作り出すということに挑戦し続けたことで日本でもディーゼルエンジンモデルの売り上げを伸ばすことに成功しているのです。

たとえば、ディーゼルエンジンの排気ガスは確実に処理できるような装備を搭載することで解決しており、ガソリンエンジンと遜色ない環境性能を達成しています。X3のようなSUVモデルにはディーゼルエンジンの特性でもある低域での強いトルク性能がマッチしており、ガソリンエンジンでは味わえない踏み出しの力強さが持ち味として活きているだけでなく、独自技術によって騒音も抑えられているため快適なドライビングが可能となっています。また、燃費性能も良いだけでなく軽油を使用するために燃料代も安く済むというメリットもあるなど、BMWのディーゼルエンジンは十分にガソリンエンジンに対抗することができるようになっているという事実を知っておく必要があります。

ではPHEVとディーゼルエンジンは棲み分けができずに、車両本体価格が高いPHEVモデルは負けてしまうのでしょうか?

日本人のスタイルにあったPHEV

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まず、ディーゼルエンジンにおけるデメリットとして、1週間に1度のペースで30分以上の長距離運転とアクセルを全開にして走行する必要があることが挙げられます。もしこれを怠ってしまうと煤がフィルターなどに詰まってしまい、メリットであったトルクの力強さや燃費性能の良さが失われてしまうだけでなく、最悪はエンジンそのものの故障につながってしまうのです。そのため、週末にチョイ乗りをするという需要が高い都市部ではもちろんのこと、アクセルを全開で踏める場面は高速道路くらいしかないために地方でもディーゼルエンジンの性能を最大限に活かしきることは難しいのです。ということは、通勤や買い物にクルマを使うという需要が高い日本ではPHEVモデルの恩恵のほうが大きいため、決してディーゼルエンジンと市場を食い合うということは起きないのです。

つまり、普段から長距離を走る人はディーゼルエンジンを、チョイ乗りが多い人はPHEVを選ぶといった選択肢が可能になったと考えるほうが良いでしょう。とくに近距離ならばEV走行が可能な「X3 xDrive30e」は、まさに日本人のライフスタイルにあったクルマと言えます。BMWも環境性能に配慮しながらも走る楽しさを忘れないクルマづくりを続けているため、「X3 xDrive30e」を皮切りにPHEVやEVが当たり前になる未来も遠くはないかもしれません。ぜひ、あなたも「X3 xDrive30e」に乗って地球に優しいドライブを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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