新型のBMW M3とM4を発表 既存モデルとは一線を画すスペックを解説

BMWの中でも一線を画す存在が「BMW M」の名前を冠したモデル。その性能は、公道を走る一般車ながらも、サーキットを駆け抜けるBMWのDNAを受け継いでいることが分かるハイスペックなものとなっています。そして、2020年9月に世界初公開となったのが「M3セダン」と「M4クーペ」の2モデルです。従来のMシリーズとは、全く異なるデザイン性とスペックの高さを兼ね備えた、まさに新時代の「BMW M」を担うことになるであろう「M3セダン」と「M4クーペ」。今回は、そんな2モデルを見ていきたいと思います。


「BMW M3」のティザー映像

よりスポーティーに、よりラグジュアリーに

画像引用:https://www.bmw.co.jp

BMWの本拠地でもあるドイツで世界初公開となった「M3セダン」と「M4クーペ」を見た多くの人が、その圧倒的な存在感に驚いたことが容易に予想できるほどに大きくデザインが変更された2モデル。なんといっても、その強い存在感をつくり出しているのは、フロントマスクではないでしょうか。

BMWの代名詞とも言えるのが「キドニーグリル」と呼ばれている、フロントグリルです。1933年に生産されていた「303」というモデルから採用されており、80年以上の歴史の中で幾度もの進化を経てきました。そして、今回のニューモデルは従来よりも大型化しており、新しい世代へとバトンタッチしたことを印象づけるかのように意匠の変更が施されています。

大型化したグリル部分と2つのエンブレム
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とくにエンブレムがあるボンネット前部からバンパーの下端まで縦方向にも大きくなっており、よりスポーティーさが増した印象を受けます。また、ボディ全体の流れを受け止めるような部分でもあり、新しいデザインの根幹にある“フレームレス”なデザインを活かしきるための役割も担っているようです。

また、大型化したのはフロントのキドニーグリルだけではありません。反対側のリア部分に注目して見てみると、ディフューザー部分も大型化していることが分かると思います。特に注目したいのは、従来よりもディフューザー部分が単独化しておらず、一体感が増していること。そのため、ディフューザーが付いているけれどもスポーティーさだけが主張されるのではなく、ラグジュアリーさを感じるふくよかなシルエットを醸し出してくれています。

大型化しつつも一体化したデザインでラグジュアリーに
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さらに、フロントとリアをつなげるサイドボディ部分は、サーフラインがより深くなっています。キドニーグリルとディフューザーが大型化している分だけ、サイドや細かな部分で彫を深くすることで全体的に締まったデザインを実現させているのです。

インテリアはMらしいデザインに

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「M3セダン」と「M4クーペ」ともに従来のMシリーズを踏襲した、スポーティーかつ高級感のあるデザインに仕上がっています。シートやドア部分は革張りになっており、シート座面はメッシュのファブリック仕立てという、いわゆる従来のMシリーズと同様のバゲットシートが採用されています。ただし、「M3セダン」「M4クーペ」ともに再設計された専用のものとなっているため、詳細は販売時の発表を待つ形となります。

Mのエンブレムはシートにも
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また、Mシリーズ特有のインテリアといえば、随所に散りばめられたMのロゴではないでしょうか。両モデルともに、ステアリングホイールには赤色のMボタンがあり、センターコンソールにも赤色のスタート・ストップボタンが施されています。他にも、セレクターレバーなど細かな部分にMらしい意匠が散りばめられているのがファンには嬉しいポイントとなっています。

大出力のV8エンジンでサーキット気分に

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「M」を冠するモデルで最も気になるのは、エンジンといっても過言ではないでしょう。BMWがサーキットで培ってきた技術が詰め込まれていることもあり、今回の「M3セダン」「M4クーペ」には通常のノーマルバージョンに加えて、高出力にチューンされたコンペティションバージョンが用意されています。

「M3セダン」のパワートレインには、3.0L直列6気筒ツインターボエンジンが採用されており、最高出力は493PS。最高速度は、250km/hで0-100km/h加速は4.2秒をマークしています。そして、コンペティションでは同型のエンジンを搭載しながらも、最高出力は510PSまでチューンアップされているのです。

特別なチューンアップが施されているMの証
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一方で、「M4クーペ」でも同じパワートレインが採用されており、最高出力や速度に大きな差はありません。しかし、「M3コンペティション」は1,730kg、「M4クーペ」は1,725kgと約5kgの車重差が存在するため、「M3コンペティション」のパワーウェイトレシオが303PS、「M4コンペティション」は304 PSとボディデザインによって若干のパワー差が生まれることは頭の片隅に置いておきましょう。

ちなみに、Mシリーズの特徴でもあるのが、エンジン・レスポンスやステアリング、サスペンション特性までをドライバーが任意の設定に変更できる機能。今回からは、これらに加えてブレーキ・システム設定も変更できるようになっています。さらに、センターコンソールに「M MODE」ボタンが追加されたことにより、メーター・パネルやヘッドアップ・ディスプレイの表示形式を変えたり、運転支援システムの介入レベルを「ROAD」「SPORT」に変更したりといったことが従来よりも簡単にできるようになりました。

また、エンジンと関連した新しい機能追加として、コンペティションにはFRと4WDの2種類が用意されるとアナウンスされています。(2021年夏導入予定)

この4WDモデルは「M xDrive」と呼ばれる無段階変速システムが採用されており、標準の「xDrive」と比較すると「アクティブ M ディファレンシャル」という機能が追加されていることから、リヤ・ホイール間のトルクを最適化して振り分けることが可能です。これにより、舗装された路面でのスポーツ走行から雨や雪、未舗装といった悪路でもトラクションを最適化することで、安定性が向上する効果が見込めます。

進化してきたM3とM4

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「M3セダン」と「M4クーペ」の両モデルとも標準装備のグレードが高いことも特徴で、「アクティブ・クルーズ・コントロール」や「レーン・チェンジ・ウォーニング」、「ステアリング&レーン・コントロール・アシスト」、「サイド・コリジョン・プロテクション」など多くの安全装備がデフォルトとして設定されています。

しかし、その歴史を振り返ってみると1992年のE36や2000年のE46など、快適さや居住性というよりもパフォーマンスが重視されてきたことが思い出されます。直列6気筒ターボエンジンを採用しM3に原点回帰されたと言われたF80は、排ガス規制が厳しくなったあおりを受けて生産が終了しているように、環境に配慮するという視点を持たないクルマづくりは行えない時代に突入しているのです。

今回新しく追加された「M3セダン」と「M4クーペ」の機能詳細を振り返ってみると、エンジンは高出力化しながらも環境基準を満たしたものとなっています。さらに、安全装備を拡充させながらインテリアデザインもこだわるなど、早く走るパフォーマンスが追求されている一方で、快適性や居住性もしっかりと考えられたモデルに生まれ変わっていることが分かります。

「M4 クーペ」のティザー映像

両モデルとも日本販売は2021年の春を予定しており詳細なスペック要件が公開されていませんが、公式サイトにある「圧倒的なスポーティネスと過剰なほどのダイナミクス、そして鍛えぬかれたパワフルなプロポーション。新たなるインスピレーションとともに、純粋なるMのサラブレッドが目を覚ます」という一文を見た多くの人が「M3セダン」と「M4クーペ」の販売を待ちきれないほどワクワクしていることでしょう。(2020年10月現在)

この2モデルは、間違いなく新時代のBMWを切り開いてくれるものとなります。今は、その姿が私たちの目の前に披露される日を楽しみにしながら待つこととしましょう。

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