BMWは後輪駆動だけではない!四輪駆動でも前輪駆動でも駆け抜ける歓び!

BMWといえば加速性と乗り味の良さ、高速走行時の安定性、安全性の高さ、車内の静粛性などのイメージがあるかと思いますが、それらは「駆け抜ける歓び」というフレーズに象徴されるものでしょう。このイメージはBMWが戦中に航空機会社であった時代からの技術力に裏打ちされているものでしょうし、確固たる信念に基づいた車作りによって熟成されたものです。ただし、時代の流れに伴って一部を変えていかなければいけないのも事実です。元々あった良さを台無しにせず、その変化をうまくこなせているのが今のBMWなのではないかと感じます。

BMWの代表的なクルマ作りのポリシーであった3つの要素、後輪駆動(FR)、直列6気筒エンジン(シルキーシックス)、50:50の前後ウェイト配分について、21世紀のBMWはどのように変化をこなしてきたのでしょうか。1つずつ見ていきたいと思います。

BMWは後輪駆動だけではない

まず象徴的な変化として、後輪駆動以外の駆動系を適用し始めたことは大きなトライだったと思われます。もちろんノウハウを確保しての4輪駆動(xDrive)を搭載したSAVは間違いなく成功するものと予想はされましたが、後輪駆動のBMWというイメージからの脱却であり、その英断はX5モデルの大成功という結果を収めました。

それなりに長くxDriveの車に乗っていたことがありますが、後輪駆動のBMWの「駆け抜ける歓び」はxDriveでも台無しにされることなく残っていたことに感銘を受けたものでした。本国ドイツとは異なるタイプの深い雪が積もる日本ではとくにxDriveは歓喜と共に迎えられた印象がありましたが、それは安全性だけではなく走りのテイストが残っていたからこそだと思います。

その後、X3モデルにX1モデル、そして偶数番号のクーペタイプのXシリーズが発売され次々に成功を収めました。ただ、モデルチェンジのたびにサイズが少しずつ大きくなってきたXシリーズは日本の都市生活者にはやや手の出しづらいものになってきたのも事実だったかと思われます(機械式駐車場に納まらないというデメリットが大きかった印象です)。そこにモデルチェンジしたX1モデルが登場したのですから人気を集めないわけがないといったところだったという印象がありました。

X1モデルはおおもとのシャーシから変更してサイズと外観のバランスを一新しました。具体的にはカモノハシのように細長く突出していたフロント部分がモデルチェンジで短くなってバランスよく見栄えが良くなりました。後輪駆動や50:50の前後重量バランスを犠牲にしているので意見はわかれるのかもしれませんが、これはやはり英断というべきもので、見た目の収まりの良さは格段に改善されたと思います。同時に、駆動方式がxDriveだけではなく前輪駆動がラインナップされたのも大きな変化だったはずです。前輪駆動のBMWとかどんな乗り心地なのかと思う方もいるでしょうけれども、乗ってみると若干の違いはもちろん感じますが、際立った違和感はなく仕上がっています。そう、「駆け抜ける歓び」が感じられるのです。前輪駆動でも「駆け抜ける歓び」を体感できて、機械式駐車場にも難なく納まり、取り回しも楽とくれば都市生活者にぴったりとはまるBMWとしか言いようがなく、今の人気は納得です。石を投げればX1にあたる。これは没個性なのではなく多くのニーズの一致なのだと考えるべきでしょう。

シルキーシックスのゆくえ

直列6気筒のBMWにお乗りになった方なら誰でも、本当に絹の肌触りのような静粛かつエレガントな挙動のエンジンに魅せられたのではないでしょうか。シルキーシックスと愛称をつけられた直列6気筒エンジンは今もBMWのラインナップに残っていますが、どうしても燃費・排ガスの問題から高級グレードのものにしか残っていません。

代わりに4気筒や3気筒などがベーシックラインでは搭載されているわけですが、ではこれらの乗り心地はどうなのでしょうか?3気筒のX1にしばらく乗った経験からすると、「気になるほどではない」という印象です。もちろんシルキーシックスの静粛性とは異なるわけなのですが。

3気筒は構造上バタバタ振動して音もするはず(実際昔の3気筒エンジンというのは相当うるさいものでした)なのですが、ボディをきちんとつくり込んでいるためか、3気筒でもうるさいと感じることはないと言っても過言ではありません。高速走行時でも繊細なクラシック音楽を聴くことができるほどです。シルキーシックスから乗り換えた当初はトルク不足を感じることもありましたが、慣れてしまえば高速走行もストレスなくこなすことができます。

燃費と排ガスの問題をエンジンのダウンサイジングで図るのは時代の要請だったので(とくにEU圏において、ですが)この問題をさほどの問題なくクリアできたのは喜ばしいことだと感じます。ただ、願わくは、あの絹の肌触りのシルキーシックスを上位車種だけでもいいので継承していってほしいというのはBMWファンなら誰でも持っている強い希望ではないでしょうか。

50:50の前後ウェイト配分の今後

走りの滑らかさを追求する局面において、50:50の前後ウェイト配分は外せない要素だったと考えられます。それは今でももちろん変わらず、走りの滑らかさを追求する車種においては頑固に貫かれています。ハンドリングとクルマとの一体感は50:50のウェイト配分がもたらす効果が大きいように思われます。

ただ、そのためにエンジンルームや後方ラゲッジスペースを無駄にするのは効率(空間利用効率を含めて)を求める今の時代ではなかなか難しい問題であったはずです。BMWのユーザーにもファミリー向けに(家族を説得するために?)後方のスペースが広いクルマがほしいという潜在的なニーズはあったわけで、そこを深耕した結果50:50のウェイト配分が失われてしまうのは、空間利用効率とのトレードオフの関係にあると思います。

結局、「FRでなければならん、シルキーシックスこそがBMWだ、50:50じゃなきゃ走りの快感なんてないじゃない」とおっしゃる方々には、「今のBMWに乗ってみてください!そこには駆け抜ける歓びが生きてますよ!」と言うしかないのかなとも思います。

これからのBMWはどうなっていくのか

iシリーズやEシリーズなど電気自動車の方向にEU圏の自動車産業の潮流が向かっているのは確かなのだろうと思います。そこでどれだけBMWが存在感を発揮できるのか、というのが実はひそかな楽しみでもあります。iシリーズでも今後も可能な限り「駆け抜ける歓び」を維持してほしいと思っています。

確かに「駆け抜ける歓び」と「低燃費・低排ガス」は相反するものです。駆け抜ける歓びをあまり語らなくなったBMWの姿勢もよく分かります。やはり環境保護は大事でしょう。

BMWには世紀を超えて技術を継承していく役割を担い、20世紀前半にBf109Eという名戦闘機を作った会社が20世紀後半に320iという名車を作り、21世紀にはどのような名車を作ってくれるのだろうかと期待せずにはいられません。

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