世界中の冒険者を魅了!元祖アドベンチャーバイクBMW GSシリーズの魅力に迫る?

世界的に大人気のアドベンチャーバイクですが、その元祖でありカテゴリートップを走るのがR1200GSを始めとしたBMW GSシリーズです。世界中の冒険家やアドベンチャーライダーから愛されるGSシリーズの魅力について解説していきます。

アドベンチャーバイクの先駆け、BMW R80G/S

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GSシリーズの歴史を紐解いていくと1980年に登場したR80G/Sにたどり着きます。BMWが参戦していたドイツのオフロード選手権で1979年に優勝したマシンのレプリカモデルです。オフロード走行用のタイヤにロングストローク化した前後のサスペンション、高い位置にあるフェンダーなど、当初は一風変わった大型のオフロードモデルとして見られていました。市販化にあたり、BWMは徹底的に市場調査を実施した結果、ユーザーがハードなオフロードを走行する割合は2%程度とごくわずかであったことが分かりました。

そこでオフロードだけでなくオンロード性能も重視したコンセプトのもとにR80G/Sが誕生したのです。R80G/Sの初年度販売台数は6631台で、これはBMWが当初計画していた販売台数の2倍にあたります。車両重量は186㎏と現在の目で見ると驚くほど軽量で街中でも運転しやすいだけでなく、高速道路でのクルージングも余裕でこなし、さらに気が向けばオフロード走行までOKというR80G/Sは、まさに新しいカテゴリーを創り出した画期的なバイクでした。R80G/Sの大ヒットは、日本のバイクメーカーの進出により最大の輸出国アメリカで競争力を失いつつあった1970年代末当時のBMWが息を吹き返す原動力となりました。ところでこのGSというネーミングですが、ゲレンデ・シュポルト(ドイツ語でオフロード・スポーツといった意味)だと思っている方はいないでしょうか?実はBMWではGSを「ゲレンデ・シュトラッセ」であるとコメントしています。ドイツ語ではオフロード・オンロードといった意味で、いわゆるデュアルパーパスバイクといった位置づけになります。

誕生から40年近くが経過した2017年になってR nineTのバリエーションモデルとしてR80G/Sの雰囲気を再現したアーバンG/Sと名付けられた派生モデルが登場しました。今や一大ブームとなったアドベンチャーというカテゴリーを生み出したR80G/SへのBMWの思い入れを感じずにはいられません。

GSシリーズは来年で40周年!

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GSシリーズは1980年登場のR80G/Sから数えて来年には40周年を迎えるロングセラーシリーズとなりました。ここではそのヒストリーを振り返ってみましょう。

R80G/Sは1987年末まで販売され、1988年に初めてモデルチェンジを行います。この時に同時に登場したのが排気量を拡大したR100GSです。このR100GSでGSシリーズは長足の進歩を遂げます。アクセルを開けるとリアが持ち上がるというシャフトドライブ特有のクセを解消するパラレバー、スポークホイールながらチューブレスタイヤの装着を可能にしたクロススポークホイールといった、現在のGSシリーズにも用いられている技術が採用されました。

1994年には前年に登場したR1100RSに採用された完全新設計のボクサーツインを搭載したR1100GSが登場します。その当時、R80G/Sが成功したことを受けてホンダからはアフリカツイン、ヤマハからはスーパーテネレといった強力なライバル車を国産メーカーもがデビューさせていました。さすがのR80G/Sも性能面では見劣りがするようになり、強力な新型車の登場が待ち望まれていたのです。

R1100GSは4バルブ化され80PSを発揮するボクサーツインエンジン、トリプルディスクブレーキに加え、ABSも他車に先駆けて装備、さらにテレレバー式フロントサスペンションも採用されるなど、オンロードでの快適性も一気に向上しました。フロントカウルを装備したフォルムも含めて現在のGSシリーズの基礎がここに完成したといっても良いでしょう。R1100GSは6年間で販売台数4万台を記録し、BMWの基幹車種へと成長しました。

この成功を受け、1999年にはモデルチェンジを行い、排気量を1129㏄に拡大したR1150GSへと進化しました。

2002年にはこのR1150GSに「アドベンチャー」と名付けられた派生モデルが追加されます。タンク容量を22Lから30Lに拡大し、前後のサスペンションストロークを延長、エンジンガードも装備されたタフなルックスで人気を博しました。

さらに2004年にはなんと車両重量をR1150GSから22㎏も減量した新型のR1200GSが登場、2006年にはアドベンチャーもモデルチェンジされ、2機種合わせて10万台を販売する大ヒットモデルとなりました。2013年にはエンジンもいよいよ水冷化されて現在まで続くベストセラーとなっているのは皆さまご存知のとおりでしょう。

2000年からはよりコンパクトなサイズでGSシリーズのDNAを受け継いだF650GSが登場しました。こちらも独自のポジションを築いていき、2017年にはF800GSに待望の「アドベンチャー」も登場しGSファミリーのポジションを盤石化しています。

世界一過酷なダカールラリーで6度の優勝!

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もともと、R80G/SがクロスカントリーレースISDTで優勝したバイクのレプリカであったことが示すように、レースシーンでもGSシリーズは輝かしい戦績を残しています。とくに印象深いのがダカールラリーでの活躍でしょう。

かつてはパリがスタート地点でパリダカールラリーと呼ばれたこのレースは、CMや映画などで取り上げられるなど、日本でも「パリダカ」の愛称で親しまれていました。1979年に始まったこの大会はセネガルのダカールをゴール地点として灼熱の砂漠を駆け抜ける世界で最も過酷なレースとして有名です(2009年以降はコースを南米に変更)。

BMWはダカールラリーの初期から参加、1981年にはR80G/Sで、1983年から1985年にかけてはR100GSで優勝し、とくに1984年にBMWが1位、2位を独占する大活躍を見せます。その後、1986年にBMWはダカールラリーへのメーカーとしての参戦を休止しますが、1990年代末に復活し1999年と2000年にF650RRで再び優勝しています。

このパリダカでの活躍を記念して、1989年にはR100GSをベースとした、その名も「パリダカール」というモデルも登場しました。特徴はなんといっても大型化された燃料タンクで、34Lと小型乗用車並みの容量を誇ります。ウインドプロテクションに優れたフロントカウルやガードパイプが装備されたヘッドライトやエンジンなど、まさにパリダカに出場したマシンのイメージそのものでした。現在のGSからは考えられないことですが、R100GSパリダカールの日本への初年度輸入台数はわずか70台でした。

当時としてはあまりの巨大さに日本では受け入れられないだろうと考えてのことだったのかもしれませんが、今でも高い人気を誇り、中古車はプレミアム化しています。30年前の中古車であっても程度が良ければ当時の新車価格を上回る160万円以上のプライスタグがついていることも珍しくありません。

あの「スター・ウォーズ」俳優も冒険旅行の相棒にGSを選んだ

これまでに多くのライダーから支持されてきたGSですが、「スター・ウォーズ」や「トレインスポッティング」などへの出演で有名なイギリスの俳優、ユアン・マクレガーもGSの魅力に取りつかれた一人です。

2004年、映画の撮影を終えたユアン・マクレガーは、親友で幼なじみの俳優、チャーリー・ブアマンとかねてから計画していたバイクでの冒険旅行に出発します。無類のバイク好きとして知られる二人が旅のパートナーとして選んだのがGSシリーズでした。2004年の旅ではR1150GSアドベンチャーに乗り、ロンドンを出発、ユーラシア大陸を横断しアメリカニューヨークまで115日間で12カ国、総走行距離は3万㎞以上にも及ぶという壮大な冒険旅行になりました。

さらに2007年には、R1200GSアドベンチャーを駆り、彼らの出身地であるスコットランドをスタートしてアフリカ大陸を横断し、南アフリカケープタウンに至る旅を見事に成し遂げました。この冒険旅行にはイギリスBBCのクルーも随行しており、ドキュメント番組「大陸横断~バイクの旅」として放送され大きな反響を呼びました。

番組では全世界で放送され、また「Long Way Round」と「Long Way Down」という2作品のDVDにまとめられたことから多くの人の目に触れることになりました。この作品の中でGSは二人の名優以上の存在感を示し、むしろ主役はGSなのでは?と思わせるほどの活躍を見せています。

土煙を上げて砂漠を駆け、時には橋のない川を渡って超えていくGSのタフな姿に魅了され、「乗ってみたい!」とGSの購入を決めた方も多いと聞きます。もはやGS乗りのバイブルといっても良いこの作品、機会があればぜひチェックしてみてください。

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