BMWが、戦後最初につくった陸上用の乗りものは、オートバイでした。

BMWモトラッド

BMWといえばドイツの高級乗用車を思い浮かべる人も多いはず。でも実は、航空機用エンジンメーカーとして産声をあげた同社が、一番初めに発売した陸上用の乗りものはオートバイでした。BMWの創業は、1916年にドイツのバイエルンにてBFW社(Bayerische Flugzeug-Werke=バイエリッシェ・フルークツォイク・ヴェルケ)として、航空機用エンジンのメーカー (バイエルン航空機製造会社)の設立に端を発します。今の母体となる会社が誕生し、翌年に名前をBMW社に改め、現在に至っています。

敗戦国となってBMW社は活路をオートバイへ

1918年に終結した“第一次世界大戦”で、ドイツは敗戦国となり、軍需関連企業として航空機用エンジンを製造していたBMW社の業務は、厳しく制限されてしまいます。その活路を求めて、今まで培った航空機のエンジン生産をオートバイ用エンジンの生産に向けたのでした。そして1923年、今に続く“Rシリーズ”のモデルが登場し、BMWブランド初のオートバイ「R32」を発表。この時すでに、“水平対向2気筒エンジン”と“シャフトドライブ”の核となる新技術を採用していたのは注目に値します。

水平対向2気筒エンジンは、シリンダーが左右のステップの前に突き出し、走行風によってエンジンの冷却性が良く、ライダーの疲労の原因となっている振動も極めて少なく、メンテナンス性にも優れた低重心の画期的なエンジンでした。また、パワーを後輪に伝達するために、現代でもチェーンドライブが使われますが、乗用車で使われているシャフトドライブを採用。このシャフトドライブは、リアタイヤの脱着が簡単にでき、パンク修理なども簡単に行え、悪路が多かった当時の道路事情から、多くの支持を集めたといいます。チェーンドライブと比較して、使用時のメンテナンスも比較的楽に行えるという優れたメリットを持ちあわせていました。

水平対向エンジンと、シャフトドライブの採用は、今から90年以上も昔から変わらぬBMWモトラッドの基本設計となり、最初のモデルにしてBMWブランドのオートバイの仕様が決まってしまったといっても過言ではありません。

数々の新技術を導入しつつ世界中にファンを増やす

創業以来、この2つの技術の伝統を守り、オートバイを造り続ける一方で、航空機で培った数々の新テクノロジーをレーシングバイクに移植。過給機のターボを取り付けたり、市販車に2輪用ABSを世界で初めて搭載したりと、積極的に最新技術を惜しみなく導入しているのが、BMWモトラッドの大きな特徴とも言えます。このように、ひと味変わったコンセプトを持つBMWモトラッドには、世界中に熱狂的なファンを持っています。

言うなれば、ドイツ製乗用車のイメージと同様、壊れにくく、比較的日本車のイメージに近いオートバイだといえるかもしれませんね。数多くのスタイルの車種がBMWモトラッドにはラインナップとしてあるので、気に入ったモデルがあれば、ぜひ購入を検討してみるてはいかがでしょう。

BMWブランドのスクーターが日本にもうすぐ!?

そうこうしている間に、素敵なニュースが舞い込んできました。EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)にて、BMWモトラッドから350ccの「新型ミドルスクーター」が発表され、お披露目されたとか…。日本なら、普通2輪免許(400cc以下に乗れる中型バイク免許)で走れるモデルですね。BMWのオートバイは、大排気量のオフロードやツアラー、欧州で人気のストリートファイター系のラインアップが豊富ですが、これは朗報です!! 初めてのBMWでも選びやすくなり、女性ライダーがますます増えてきそうです。日本への導入時期や価格などは未定ですが、普通2輪免許で乗れるBMWモトラッドのスクーター、気になる人は多いはず。ということでこの続きは、次回へのお楽しみです。

画像引用:BMWモトラッド

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