BMW「駆けぬける歓び」の価値を提供するその技術とは?

1.概要

出典 : BMW – wikipedia

BMWのキャッチフレーズ「駆け抜ける歓び」はじつは世界共通ではありません。言語によって表現が異なるのです。「えっ!初耳だよ」「国によって走行性能が違うの?」という疑念を感じられましたか?いえいえ、そうではありません。BMWの走りのクオリティは万国共通です。そこでこの記事では、フレーズが訴えようとしていることを噛み砕いてご説明させていただくことから始めます。そして、その走りの良質さの理由を自動車の構造と技術面でもご紹介させていただきます。ぜひご一読ください。

2.「駆け抜ける歓び」 の真実

  • ドイツ語 ~Freude Am Fahren~ (フロイデ アム ファーレン)
  • 英語1 ~Sheer Driving Pleasure~ (シア ドライビング プレジャー)
  • 英語2 ~The Ultimate Driving Machine~ (ジ アルティメット ドライビングマシン)

BMWのキャッチフレーズを違う言語で3つ並べてみました。
ドイツ語のFreudeは歓喜を表す言葉で、あのベートーヴェンの交響曲第9番「歓喜の歌」の中でも歌われている歌詞です。

そうです、 ~駆け抜ける歓び~ は当然のことながら日本語への和訳なのです。名訳、まさに言い得て妙ですね。そして「よろこび」の漢字が「喜・き」、「慶・けい」、「悦・えつ」のどれでもなく「歓・かん」であることにも理由があります。ここでは、それぞれの漢字を使った場合の表現による、人の感情の違いをご紹介します。
まず最初は、「き」の喜びです。これは、「うれしい気持ちを表情や言葉に出す」場合に使います。外に向かって表す感情のことで、他人様から何らかの物や行為を与えられて喜ぶという前提条件があります。
次に、「けい」の慶びです。慶の文字はお祝いの品物を持っていくときの明朗な気持ちを表し、感情の種類としては理性的です。
ですから、この字を使う場合はお祝い事に限られます。
3つめの「えつ」の悦びは、恍惚としている感情を表し、心の中から湧き出る悦びの感情です。小さいときや学生時代の、訳もなく楽しい感情が当てはまります。
そして最後に登場の「かん」の歓びです。歓の文字は、願いがかなったときの溢れ出る歓びの感情を表しているのです。つまり歓を使う場合には、前提として「願望」が存在するのです。そして願望が達成したときに、歓声を上げて歓ぶのです。
では、ドライバーの願望とは何か?
それが、「駆け抜ける」ことなのです。
BMWがドライバーの夢をかなえてくれるのです。ワインディングでBMWを操り、俊敏なライントレース性が実感できたときに、歓びも実感できることでしょう。

出典 : BMW – wikipedia

「駆け抜ける歓び」 のフレーズはBMWが世の中に提供する技術力という価値であり、人々を魅了し続けています。BMWの優れた性能を的確に表現しているだけでなく、人の心の琴線に触れる言葉としての魅力も詰まっています。この言葉は人間が主体となって、BMWを運転しているときの自分自身を操ることの歓びを感じることができるのです。自分もBMWのように、人生を駆けぬけて、突きぬけて、生きぬきたいと想いを馳せるのは私だけでしょうか。

3.駆け抜けるための技術

ではこの抽象的なイメージの実体はどんな技術を指しているのでしょうか?FRの駆動方式 (フロントエンジン・リヤドライブ) は、BMWが特別の思い入れを持って、とことん追求してきた技術の結晶の中の一つです。その理由は、FRを継続することで前後重量配分50:50の理想を曲げずに保ち続け、切れ味鋭く軽快なハンドリングを導き、BMWのスポーティなイメージを醸し出すことにあります。
駆け抜けるとは、高性能エンジンのことを指すと思いがちですが、むしろ主役はこちら、そうです、ハンドリングこそBMW最大の魅力に挙げることができるのです。現在生産されているクルマに備えられているステアリング制御には、車両安定制御装置が装備されています。
自動車は、走る(加速)、曲がる(旋回)、止まる(減速)などの車両の運転状態が運動性能の限界付近にあるときには、車両の動きが不安定になり危険な状態を招きます。そして、急ブレーキや急ハンドルなどの緊急回避のための操作をおこなったときや、濡れたアスファルトの路面や氷雪路などの摩擦係数の低い路面を走行しているときなどには、車両の運転状態が限界を超えて操縦が困難になります。こういった状況に至ることを防止するために複数の制御を統合して電子制御、つまりコンピュータからの信号によりブレーキ制御をおこない、車両挙動を安定化しています。もちろんBMWもこの電子制御による車両安定装置をダイナミック・スタビリティ・コントロール (DSC) の呼称で搭載しています。
しかし、BMWのFR車は前後重量配分50:50を基盤として、俊敏で躍動的な走行性能を発揮することを骨格の部分からやり遂げているので、DSCを付加することで、より上質な乗り心地と精彩なドライバビリティを実現しているのです。そう、レベルが違うのです。

前後重量配分50:50の狙いは「マスの集中化」にあります。これは主にバイクの操縦性を語る上で使われる用語で、マスとは英語の表記がMASSであり重量、質量のことです。
重いものは車体の重心付近に集中して配置することで、運動性能は向上します。それは余分な慣性力、つまり止まっている物体に力を加えなければそのまま止まり続け、動き続けている物体に力を加えなければそのまま動き続ける習性を削減することで加速感さえ向上するのです。
たとえば、野球のバットを振るとき、あるいはハンマー (金づち) を扱うとき、手の握りを長めに持つより、短く持ったほうがコントロールしやすいのと同じ理論で
す。BMWは車体の中で最も重いエンジンの重心位置を最適化することで、操縦性に貢献しドライバーの運転を支援しているのです。
それではもう一度歓声を上げましょう。

4.エンジン屋としての気概

出典 : BMW – wikipedia

BMWのアイデンティティは、ドイツの頑固なエンジン屋と呼ばせることに、こだわり続けるところにあります。BMWの現在のエンジンバリエーションは、2気筒から12気筒までが手の内にあるエンジンのデパートです。100%電気自動車として開発されたEV・i3の発電専用エンジン搭載モデルであるレンジ・エクステンダーには、647CCの直列2気筒エンジンを用いています。
時代背景は変化し、ヨーロッパ各国では近い将来、ガソリンエンジン車の販売を禁止する取り組みが始まっています。この大英断の理由の一つは、厳しい数値目標であるパリ協定の存在、それは「2030年までに温室効果ガスの排出を2013年比で26%削減する」 を遵守することです。タイムリミットはあと僅か11年なのです。
そして、ドイツ連邦議会は2030年までにガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車の販売を禁止する決議案をすでに採択しています。決議案とは法律ができるまでのプロセスで、内閣に対する要望であり、法律ではないので法的な拘束力はありません。しかしこの決議案はドイツ議会において超党派の支持を得て成立しており、政府の意思決定に大きな影響を与えることが推察できます。そして政府が法案として議会に提出し可決されれば、近未来のドイツで販売し購入できる自動車は電気自動車、水素自動車、燃料電池車の選択肢に限定されます。水素自動車は既存のガソリンエンジンやディーゼルエンジンを改良して、水素をエネルギーとして直接燃焼をおこなうものです。ですから、1886年にゴットリーブ・ダイムラーがガソリンエンジンの四輪自動車を初めて実用として製作して以来、連綿と続いてきたこの内燃機関が終焉を迎えるわけではありません。
驚くべき、恐るべき事実がここにあります。BMWには760Liをベースにした世界初の量産型水素自動車ハイドロジェン7を、2006年末に100台限定生産した実績がすでにあるのです。時代の要請に積極的に応えながらも歴史を裏切らない、「エンジン屋」としての姿勢は今もこれからも健在です。

5.「駆け抜ける歓び」の未来

出典 : BMW – wikipedia

これまで綴ってきたように、世界の自動車産業界のビジネス・モデルは激変し、電動化へとひた走ろうとしています。BMWは電動化の時代にも「駆け抜ける歓び」を与えてくれるのでしょうか。
心配ご無用です。大丈夫です。持続可能な社会の実現に取り組み、環境性能の追求はもとより、モータ走行ならではの力強い加速感で「駆け抜ける歓び」の価値を犠牲にすることなく、環境問題に貢献する歓びまでもドライバーに自己実現してくれる電動化モデルに仕上がっています。
BMW i3では伝統の前後重量配分50対50と後輪駆動を採用しています。リチウムイオン高電圧バッテリや高電圧回路のパワーユニットは、アルミ合金製シャシーの車両中央フロア下部にレイアウトされており、その上のボディシェルの材質はカーボン・強化樹脂 (CFRP) ファイバーです。
このようにゼロから開発したボディ構造が、エコの実現だけでなく、小気味よい走りを宿らせています。社会と自動車の外部環境の変化をしっかりと見据えて、スピーディに対応し進化しているBMWというクルマをこれからも目にすることには心トキメキます。私たちもモビリティの未来図をしっかりと見据えていきましょう。

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