どう違う?スズキの狙いは?待望の「新型ハスラー」を解説

46回目となった東京モーターショーが2019年10月24日から11月4日まで開催され、歴史的な動員数で大きな話題となりました。海外メーカーの参加が少なかったことが指摘されていますが、その一方で体験型の展示方式や日本メーカーによる実現可能性の高いコンセプトカーの展示は多くの人の関心を惹きました。中でも発表された瞬間から話題となったのが、スズキの新型ハスラーです。東京モーターショーの会場で発表されたときはコンセプトモデルとして展示されており、よりSUV風にカスタマイズされているものとノーマルモデルの両方が揃っていました。2020年1月20日より販売開始となり、新型ハスラーのことが気になっている人も多いことと思います。しかし、なぜこのタイミングで新型ハスラーの販売を決めたのでしょうか?

戦略がすごい新型ハスラーの発表とタイミング

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

初代ハスラーが初めて発表されたのは、2013年の東京モーターショーでした。そのときは未知のジャンルであったクロスオーバーモデルに挑戦するということもありましたが、アイドルの“ももいろクローバーZ”やアニメ“Dr.スランプ アラレちゃん”を起用するなどプロモーション戦略も話題を呼びました。

今回の東京モーターショーの発表でも“ももいろクローバーZ”を起用しており、実際に東京モーターショーの会場に来場してラジオの公開収録を行ったり、新型ハスラーなどを見学したりとファンサービスに溢れたイベントとなっていました。実はこのアイドルやアニメとのコラボレーションやイベントへの起用というのが、スズキのもつ経営戦略的な強みと言えるのです。

ハスラーというクルマはクロスオーバーモデルという独創的な位置づけにあり、軽トールワゴンとSUVの融合を実現するためのデザインと性能のバランスが重要視されています。なぜなら、クロスカントリー4WDのジムニーという人気モデルが存在しているため、SUVに振りすぎるとジムニーと競合してしまうだけでなく軽トールワゴンのメリットをなくしてしまいます。

そこで、SUVの要素は性能やデザイン性によって実現し、居住空間や取り回しの良さは軽トールワゴンの要素を強めるという方法が採用されました。例えば、15インチホイールを装着しサスペンションストロークを高く変更することで、SUVらしい見た目と地上高を実現しました。

一方で、丸目のヘッドランプやカラフルなバリエーションなど、軽トールワゴンらしく乗る人を選ばないデザイン性も話題となりました。こういった要素を若年層を中心とした多くの人にアピールするために採用したのが、“ももいろクローバーZ”や“Dr.スランプ アラレちゃん”なのです。

そして、このプロモーション戦略の成功はグッドデザイン賞やオートカラーアウォード賞受賞という経歴に裏づけされており、そこにスズキの巧みな経営戦略を見て取ることができるでしょう。2019年東京モーターショーでの発表は初代ハスラーを発表した場所でもあり、前述したようにプロモーション活動も行いやすい場所でもあります。そのため、このタイミングで新型ハスラーを発表したのはスズキにとって意味のある最適なタイミングだったのです。

どこが変わった?新型ハスラーの性能

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発表された新型ハスラーですが、デザイン面では初代モデルとの違いが分かりにくいという人もいるかもしれません。たしかに、基本的なデザインコンセプトは初代モデルを踏襲していますが、実は細部にわたってグレードアップしています。

初代モデルと全く変わりなく見えるヘッドランプ部分もしっかりと改良されており、周縁部のデザインも異なっています。もちろん、ボンネットやフロントグリル、バンパーなどの大型パーツはデザインを変更しており、より堅牢な雰囲気が伝わってくるようなデザインへと変更。そして何よりも目立つのは、サイドボディのデザインです。サイドウィンドウが四角形に近い形状へと変更されており、初代モデルにはないリアクォーターウィンドウ(ラゲッジスペース横の小窓のこと)が追加されているのです。それに合わせるようにリアランプ類も角ばった印象へと生まれ変わっています。

前述したように、ハスラーという車種はSUVと軽トールワゴンの良さを掛け合わせたところが売りであり、一番の人気ポイントでもあります。初代モデルはSUVの良さも取り入れつつ、軽トールワゴンの利便性や多くの購買層を狙ったデザインで人気を獲得しています。一方で、2代目となる新型ハスラーでは、よりSUVに近づけたデザイン要素を散りばめているのです。

初代モデルとは異なるデザインに
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インテリアでもそれを感じ取ることができるようなデザインになっており、3つのフレームが運転席から助手席にかけて配置されています。助手席側から、コンソールボックス、操作パネル、スピードメーターとなっており、運転席側のスピードメーターでは多くの情報を確認することも可能な機能が搭載されているのです。初代のハスラーも同じように配置されていますが、新型ハスラーではよりSUVの雰囲気を感じ取ることができるような大胆なデザインとなっています。加えてSUVのメリットを拡大したのがラゲッジスペースです。

積載量もアップ
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新型ハスラーでは、ラゲッジスペースから直接リアシートのスライド機構を動かすことができるようになっており、利便性が向上しています。これは、東京モーターショーの会場でも展示されていた特別カスタマイズ仕様車においてもセールスポイントとなっていました。この展示されていた特別仕様車は、初代モデルにラインナップされている「タフワイルド」や「ワンダラー」といった特別仕様車の代わりに「アーバンアウトドアスタイル」がラインナップされることが見込まれているため、アウトドアが好きな人にとっては「アーバンアウトドアスタイル」も魅力的です。

また、安全性能面も大きく進化しており、スズキ初のACC(アダプティブクルーズコントロール)が搭載されたクルマとして重要な役割を担っています。他にも、歩行者検知機能やブレーキサポートも搭載されるなど、デザインと性能の両方で進化していている車こそ新型ハスラーなのです。

予想される納車待ちと人気のハスラー

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これだけの変更があった上に、2代目モデルとして初の大幅改良がなされた新型ハスラーは今後も爆発的な人気で販売台数が伸びていくことが予想されています。初代モデルが発表された際は当初の予想を大幅に超えた注文により、納車ピークには約1年間の待ちが生まれていました。とくに、ジムニーの際にも長期の納車待ちができるなど、スズキの手掛ける“アウトドアフィールド”向けの車種が大ヒットをとばしただけに、SUVの要素を強めた今回の新型ハスラーも初代モデル以上の人気が予想されています。

また、販売が見込まれている特別仕様車「アーバンアウトドアスタイル」についても東京モーターショーで人気が集中していたため、同様に長期の納車待ちとなることが予想されます。そのため、購入を迷っていてスグにでも乗ってみたい人は、納車待ちにも気をつけておきましょう。

スズキの柱となるモデルへ

初代ハスラーがスズキのなかでも大ヒットをとばしたこともあり、新型ハスラーについても初代モデル以上の売れ行きが期待されています。それだけに、スズキにとってハスラーは将来的に長きにわたって育てていく大切なモデルであり、今後の柱となっていく商品でもあります。そして、そのようにスズキの将来の柱となっていく新型ハスラーのさらなる展開に期待したいと思います。

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