BMWと、ソロタレントとして活躍中の香取慎吾氏との協業? 初のコラボレーション? スポーツ各紙やニュース番組で大々的に報じられて、何それ、どういうこと? と思った方も多いことでしょう…。さてさて、その真相や如何に?!
BMWはブランド姿勢としての発信をこれからも強化
広報のリリースによると(要約)…。『香取慎吾氏は、表現者としてタレント活動だけでなく、アートやデザインなど様々な分野において挑戦し続けており、その姿勢が新型BMW X2の掲げる「UNFOLLOW」(常識や周囲の評価起点ではなく、自分の道はいつも自分で切り開く)というコンセプトを体現していることから、目指す姿や世界観が一致し、今回のコラボレーションが実現しました。様々な活動を通して、BMWは、常識にとらわれず新しい技術やデザインへの挑戦を続け、ブランド姿勢の発信を強化します』と発表。
ブランド・フレンドとして香取慎吾さんに就任していただく
それを受け、BMWジャパンのペーター・クロンシュナーブル社長は(要約)…。『今回、香取慎吾さんにブランド・フレンドに就任して頂き大変嬉しく思っています。そのきっかけとなった新型BMW X2をはじめ、先進技術への取り組みなどBMWは常に新しい挑戦を続けています。自らに限界を設定すること無く常に新しいステージで挑戦を続ける香取さんは、まさにBMWブランドを完璧に象徴して頂けると思っています。今回のX2のスペシャル・コンセプトムービーや、ラッピング・カー制作のコラボレーションにより、BMWブランドの姿勢や取り組みを、香取さんらしい発想と方法で共に発信することで、より多くの方にBMWブランドの魅力を発見していただけるコミュニケーション活動が出来るものと確信しています』と語った。
大好きなアート作品を多くの方にみていただける機会を得た
そして肝心の香取慎吾氏は(要約)…『僕は昨年から様々なチャレンジをさせていただきました。役者や音楽活動以外に大好きなアート作品を多くの方にみていただく機会を頂いたり、初めてのチャレンジを沢山できました。これからもワクワクを忘れず、恐れず、役者や音楽、作家以外にも、自分の信じた道・まだ知らない世界に挑戦していきたいと思っています』とコメント。
つまり、BMWと香取慎吾氏は常に進化し、チャレンジし続ける姿勢、常識を覆すほどの好奇心の部分など…。両者が共感する部分はかなり多く、意外性というよりも合理性を重視した、時代に即したプロモーションということなのかもしれませんね。とここまで書いて、なにやら「新しいキーワード」が続々とでてきました。❶新型BMW X2 ❷ブランド・フレンド ❸ラッピング・カー、云々。
BMW X2は分かりますが、「ブランド・フレンド」とは何者なのか? 某珈琲メーカーが唱える「アンバサダー」のような者なのか? 全部を説明していると紙面が足りないので、以上三択になりますが、今回は「ラッピング・カー」に絞ったコラムで展開したいと思います。悪しからず(笑)!!
出典:You Tube BMW X2×香取慎吾 ラッピング・カー メイキングムービー
表現者・香取慎吾デザインのBMW X2ラッピング・カー
動画は、どうでしたか? 新型BMW X2をフィルムで覆い、さらに金色のマーカーでペイントしていく香取慎吾氏。BMW X2に込められた思いを自分なりにデザインした彼は、『今回は、“UNFOLLO”がテーマでしたが、X2というクルマはゴールドがコミュニケーションカラーなので、金色を所々に取り入れながら“UNFOLLOW”を表現しました』と語っています。
BMWのボディをカンバスにする、アート・カープロジェクト
実は、香取慎吾氏のラッピング・カーと良く似た企画に、ドイツのBMW本社で行われている長期計画があります。その名も「BMWアート・カープロジェクト」。1975年から、アレクサンダー・カルダー、アンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインなどなど、世界中の名だたる「近現代アーティスト」たちを招き、BMWのスタイリングをカンバスとして提供。彼らの絵筆でボディペイントを施したレーシングカーを制作し、走らせる壮大なプロジェクトを続けているのをご存じでしょうか? 日本人としては1990年、日本画家・版画家の加山又造氏が参加。截金(さいきん)と呼ばれる日本の伝統技法で見事に彩っています。
出典:BMW GROUP HP 歴代のBMWアート・カーたち
出典: BMW web TV BMW Art Car by Andy Warhol
BMWの文化事業はジャンルを超えてさらなる領域へ
芸術そのものが、世の中の重要な部分を占めるようになっています。現代生活の中で、クルマと道路交通についても、芸術との関わり合いをもっと重要視していかなければならない。BMWの文化事業として、最も重要な産業のひとつと、芸術との間に、好ましい結びつきをつくりあげよう、ということでしょうか。
2014年に代表取締役社長に就任したBMWジャパンのペーター・クロンシュナーブル氏は、あるマスコミの囲み取材で、「日本独自の開発部門やマーケティングを持つことで、お客様のご要望にもっと応えていきたい」。「この問題は日本だけではなく、グローバルとしての取り組みなのですが、いま未来を見据えて販売戦略の再構築がはじまっています」と語っています。
ドイツBMW本社の「アート・カープロジェクト」をヒントにしたのかは分かりませんが、香取慎吾氏をアーティストとして起用し、レーシングカーならぬ新型BMW X2にペイントをすることで、単なるクルマメーカーではなく、個性あふれる独自の企業路線を駆け抜けるBMWとして、新しいチャレンジを取り入れようとしたのではないでしょうか。
BMWアート・カーのすべてを網羅する初の書籍ついに発売
そしてBMWアート・カーの全容をもっと知りたいのならコチラ。この書籍は、1975年から登場したBMWの全アート・カーを、豊富な写真とコメントで解説。担当したアーティストたちの様々なポートレートとインタビューを掲載した、斬新な「アートブック」に仕上がっています。天才アーティストたちの創造の過程や、創作の一端を垣間見られることができる、まさにユニークで貴重な資料と言えましょう。全200ページ体裁、148枚の写真を掲載、価格は4200円(税別)。BMW×アートが成せる企業文化の集大成を、ぜひご覧ください。