誰ですか!! BMWのフロントグリルが豚の鼻に似ているだなんて言っている人は?

豚の鼻

BMWのことをあまりよく知らない人でも、青と白の丸いエンブレムを見て「あ〜これは、ドイツのクルマBMW車でしょ?」とすぐ答えられる人は多いかと思います。でも実はフロント部分にも、特徴的な意匠がもう1つ施されています。ご存じでしたか? そのデザインとは、「フロントグリル」のこと。左右ヘッドライトの間に設えられ、空気を取り込むスリットが入った機能パーツの1つです。BMWのフロントグリルは、左右2つに分割したデザインで構成されており、その独特の形状から、まるで豚の鼻を連想させるので「ブタ鼻グリル」と揶揄(やゆ)されることもしばしば…。なんとも失礼な話ですね! ブーっ!

その個性的なフロントグリルの名称は、キドニーグリル

もちろんBMW愛好家の間では、ちゃんとした名前で呼ばれています。その名も「キドニーグリル」。(※ドイツ語ではニーレングリル)。キドニー(kidney)とは、英語で「腎臓(じんぞう)」という意味。左右2つ並んだフロントグリルの形状が、「そら豆型の腎臓」のような形に見えることから、キドニーグリルの名称が付けられました。海外では“Twin kidney grille”と呼ばれていますが、それにしても、人間の臓器に例えるだなんて、やはりドイツならではお国柄。かなりシュールなネーミングです。BMWのシリーズごとに車体デザインが変わっても、フロントのキドニーグリルを見ればすぐに「BMWの顔」だと認知できる伝統のデザインになっているという訳ですね。

BMWのフロントグリル
画像引用:BMW公式サイト

フロントグリル、そもそもの役目や機能とは?

そもそもフロントグリルがクルマのボディに採用されたのは、この部分から外気を取り込み、エンジンを冷却させるためでした。水冷エンジンが主流になった昨今でも、ラジエーターへ走行風を取り込んでボンネット内を冷却したり、中の熱気を逃がしたりする機能パーツとして活躍しています。しかし現在では、メーカーのブランドイメージとしての意味づけを施す意匠の比重が大きくなり、一種のデザインアイコンとしての重要な役割を果たしています。

例えば、フルモデルチェンジ毎にフロントデザインのイメージが変わってしまう日本車とは大きく異なり(※最近では日本車もフロントグリルを統一する車種が出てきましたが…)、外国車ではブランドイメージを継承的に残し、クルマの顔となるフロントグリルにメーカーの誇りや血統を、ステイタスシンボル(紋章)としてしっかりと刻印する姿勢が貫かれています。
その一例として…。
●アルファ ロメオの盾型ハニカムグリル
●アウディの2分割グリル
●フォルクスワーゲンのVWワッペングリル
●メルセデス・ベンツのスリーポインテッドスターグリル
●レクサスのスピンドルグリル(国内メーカー)
まさにクルマの顔とも言えるフロント部分は、真っ先に目に飛び込んで来る場所。各メーカーはこぞって特徴的なフロントグリルの意匠を考え、自社のブランドアイデンティティーを印象づける創意工夫をしています。

キドニーグリルが最初に採用されたのは1930年代

BMWは航空機用エンジンの製作に端を発し、その後はオートバイ用エンジンの製造に着手、1932年に自社開発の四輪車生産を開始しました。その後も連綿として、高級車メーカーとして世界中で確固たる地位を獲得しているBMWですが、伝統の「キドニーグリル」がいきなり採用されたのは、なんと翌年の1933年に登場したオリジナルモデル“303”という車種でした。

BMW303BMW 303
画像引用:Wikipedia

今から思うと当時のクラシックカーは、フロント部分に自社のロゴマークを小さく付けているだけで、フロントグリルの意匠を統一しデザイン化しようとする発想すらありませんでした。BMWは、今更ながらすごい先見の明の持ち主なのかもしれません。それから85年もの間、フロントグリルのデザインは時流を取り入れたりしながら少しずつは変化しましたが、BMW車としてリリースするクルマには必ず、伝統の「キドニーグリル」が絶えることなくデザインアイコンとして使用されています。そう、最新技術を随所に取り込んだBMWの最新モデルのフロントグリルにも、85年前の着想が今でも脈々と受け継がれているのです。

そう言えば、豚(pig)の単語を使った、こんな英語表現を見つけました…。
pigheaded Person (頑固者)。BMWは、直列6気筒エンジンにこだわり、FR (後輪駆動)レイアウトに
こだわり、独自性にこだわる。そのすべてを「駈けぬける歓び」のために。

つくづく、頑固者のクルマメーカーですね。


※キドニーグリルのデザインの変遷がわかる動画

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