栄光のハイパフォーマンスブランド、「BMW M」-過去、現在そして未来は?

BMWのハイパフォーマンスブランド、「BMW M」の「M」とはモータースポーツの意味です。1972年にBMWのレース部門として設立されたBMWモータースポーツをルーツにもつBMW M GmbH(以下、M社)が手掛ける特別仕立てのBMWはクルマ好きのハートをとらえて離さない魅力にあふれています。今回は、そんなBMW Mについて解説していきます。

始まりの「M1」-悲劇の名車と呼ばれたスーパースポーツカー

画像引用:https://bmw-m-heat.jp/

「BMW M」のルーツとなるのが1978年のパリサロンでデビューしたスーパースポーツカー、「M1」です。M1は当時、ツーリングカーレースで圧倒的な速さを誇っていたBMWが、スポーツカーレースへ進出するために開発されました。

ミッドシップ車にノウハウがなかったBMWがタッグを組んだのは、なんとあのランボルギーニ。シャシーの設計は、ランボルギーニ・ミウラやデ・トマソ・パンテーラを手掛けた名匠ジャンパオロ・ダラーラ、エクステリアデザインはジョルジェット・ジウジアーロのイタルデザインと万全の体制が敷かれました。

1977年にはプロトタイプが完成しますが、生産段階となって問題が生じます。

「BMW M1」が参戦を予定していたグループ5規定では24カ月以内に400台以上を生産する必要があったのですが、ランボルギーニ社での生産が大幅に遅れてしまったのです。

このため1978年にはランボルギーニ社との提携を解消して、ドイツでM社が生産を開始、80年末に規定の400台の生産を達成しますが、その直後にレースの車両規定が改訂され、グループ5に、規定自体が消滅してしまいました。結果として、M1のレースへの参戦は1981年のみで終了となってしまったのです。

このようにレーシングマシンとしては悲劇的な運命をたどったM1ですが、その高い動力性能やBMWらしい高いクオリティで現在では高い評価を受けています。

「M3」-Mの快進撃はここから始まった

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「BMW M」の中心的存在である「M3」のデビューは1985年で、当時始まって間もないグループA規定のツーリングカーレースに参戦するため、二代目3シリーズ(E30)をベースに誕生しました。それまでにもBMWでは「528i」や「635csi」、そして「323i」などを投入してきましたがレギュレーション面での不利さから思うような成績を挙げられていませんでした。

そんな中、ライバルであるメルセデスベンツがグループAウェポンとでも言うべき「190E 2.3-16」を開発し、85年にグループAになぐりこみをかけてきたことからBMWとしては指をくわえて見ているわけにはいかない状況が生まれたのです。とはいえグループAには連続した12か月で最低5000台以上を生産する必要があったので時間はありません。とくに問題となったのは開発に時間を要するエンジンでしたが、M社ではあっと驚く方法で解決してしまいます。なんと「M1」用に開発された3.5L直列6気筒DOHCエンジンから2気筒分を切り飛ばして2.3L直列4気筒にしてしまったのです。今や語り草となっていますが、当時M社を率いていたパウル・ロシェが自ら金鋸を使い、本当にシリンダーヘッドを2気筒分切り落として仕上げてから車体に載せ、わずか2週間という短期間で「M3」の試作車を完成させました。なんとも荒っぽいやり方ですが、レースという厳しい戦場をくぐりぬけてきたエンジニアによるすごみも感じさせるエピソードではないでしょうか。

こうして誕生した「M3」はグループAにおいて同一クラスのクルマはもとより、一クラス上のクルマとも互角以上の速さを見せつけるなど目覚ましい活躍を見せます。またBMW車としては珍しく、サーキットだけではなくラリーでも活躍し、基本設計の優秀さを証明しました。誕生から1991年末までに生産された台数は1万7970台と言われるなど、販売面でもM3は大成功を収めたモデルとなりました。またグループAの年ごとのレギュレーションに合わせた、いわゆるレボリューションモデルも登場し、その希少性やハイパフォーマンス、そして人目をひくエクステリアで人気を博しました。

現在のBMWでは3シリーズを始め、各モデルのほぼすべてに「BMW M」がラインナップされていますが、それはこの初代M3の大成功から始まったと言っても過言ではありません。

ラインナップはクーペからセダン、SUVまで

画像引用:https://bmw-m-heat.jp/

「BMW M」の日本国内でのラインナップは以下の通りとなっています。

  • M2…2シリーズベースのクーペ(FR)
  • M3…3シリーズベースの4ドアセダン
  • M4…4シリーズがベースのクーペ及びカブリオレ
  • M5…5シリーズがベースの4ドアセダン(4WD)
  • M6…6シリーズがベースの2ドア&4ドアクーペ及びカブリオレ(FR)
  • X5M…X5ベースの5ドアSUV(4WD)
  • X6M…X6ベースの5ドアSUV(4WD)

変速機は7速DCTもしくは8段ATが基本ですが、「M2」及び「M4クーペ」では6速MTも選択可能です。

価格は「M2(6MT)」の876万円から「M6グランクーペ」の1929万円までと高価格ですが、それをおぎなって余りあるハイパフォーマンスを実現しているので、むしろリーズナブルと言えるかもしれません。

また、「M2」、「M3」及び「M5」には「コンペティション」というモデルが用意されていますが、これはよりサーキットでのパフォーマンスをアップさせた、まさに公道を走るレーシングカーです。

極限までクルマの性能を上げる一方で、普段使いが可能なフレキシビリティを備えているのもBMW Mの特徴です。少し懐かしい表現かもしれませんが、「BMW M」はまさに「羊の皮をかぶった狼」と言えるでしょう。

二種類のM-「M」と「M PERFORMANCE」の違いは?

画像引用:https://www.bmw.co.jp

現在、BMWの各車には「M」と通常モデルの最上級グレードである「M SPORT」の他に「M PERFORMANCE」というモデルがラインナップされています。

「M」はモータースポーツでの使用にも耐えられるような専用のチューニングが施されていますが、「M PERFORMANCE」では公道で発揮できるハイパフォーマンスをメインにした内容となっています。もちろん高速道路での圧倒的な性能や、ワインディングロードでの痛快なハンドリングを身につけながらも街乗りでの快適性や実用性は損なわれていないという絶妙の味付けがなされているのが特徴です。国内では2012年にデビューした1シリーズベースの「M135i」を皮切りに、現在ではほとんどのモデルに用意されています。

セダン系の名称は、例えば2シリーズであれば、「M240i」といったように基本的には「M+各モデル名」という構成となっています。一方、SUV系では「X4 M40i」といった具合に、「各モデル名+M」という名称がつけられているのが見分けるポイントです。

なお、この春に国内デビューしたばかりの7代目となる新型3シリーズにも2019年夏にM PERFORMANCE仕様となるM340i xDriveが追加されることがすでに決定しています。3.0L直列6気筒のターボエンジンは実に最高出力374ps、最大トルク500Nmをたたき出すと言われており、今から登場を待ちわびている方も多いのではないでしょうか。

また、話題の「新型Z4」のファーストエディションにもM PERFORMANCEの「M40i」が用意されています。2シーターオープンのスタイリッシュなデザインに専用色のフローズングレーがシックな印象ですが、エンジン、足回りにもしっかり「M」の血統が活かされているようなのでワインディングロードでもひときわ目を引く存在になりそうです。

画像引用:https://www.bmw.co.jp

どうなる?新型M3

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現在、BMWの各車には「M」と通常モデルの最上級グレードである「M SPORT」の他に「M PERFORMANCE」というモデルがラインナップされています。

「M」はモータースポーツでの使用にも耐えられるような専用のチューニングが施されていますが、「M PERFORMANCE」では公道で発揮できるハイパフォーマンスをメインにした内容となっています。もちろん高速道路での圧倒的な性能や、ワインディングロードでの痛快なハンドリングを身につけながらも街乗りでの快適性や実用性は損なわれていないという絶妙の味付けがなされているのが特徴です。国内では2012年にデビューした1シリーズベースの「M135i」を皮切りに、現在ではほとんどのモデルに用意されています。

セダン系の名称は、例えば2シリーズであれば、「M240i」といったように基本的には「M+各モデル名」という構成となっています。一方、SUV系では「X4 M40i」といった具合に、「各モデル名+M」という名称がつけられているのが見分けるポイントです。

なお、この春に国内デビューしたばかりの7代目となる新型3シリーズにも2019年夏にM PERFORMANCE仕様となるM340i xDriveが追加されることがすでに決定しています。3.0L直列6気筒のターボエンジンは実に最高出力374ps、最大トルク500Nmをたたき出すと言われており、今から登場を待ちわびている方も多いのではないでしょうか。

また、話題の「新型Z4」のファーストエディションにもM PERFORMANCEの「M40i」が用意されています。2シーターオープンのスタイリッシュなデザインに専用色のフローズングレーがシックな印象ですが、エンジン、足回りにもしっかり「M」の血統が活かされているようなのでワインディングロードでもひときわ目を引く存在になりそうです。

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