【SUZUKI】ハスラーと聞くと、なぜか昔の映画やオートバイの名前を思い出すのは私だけ?

ビリヤード

SUZUKIの“ハスラー(Hustler)”は、2014年に新発売。SUVと軽トールワゴンとの一体化を試みた、まったく新しい発想の「軽クロスオーバーSUV」として誕生!! 「遊べる軽」というキャッチフレーズのごとく、走るステージを選ばない大径タイヤと高い車高、使いやすく広い室内空間と相まって、アウトドアでの様々な遊びを満喫できる“新ジャンル軽”としての人気を誇っています。今も尚、ユーザーから高い満足度で支持されているのはもうご存じですね。

と、ここまで聞いて『ポール・ニューマンとトム・クルーズが出演した、ハスラー2という映画があったよねぇ』とか、『あれっ? ハスラーって名前は、以前はオートバイではなかったっけ?!』と思った方は、相当のハスラー通。たぶん今頃はシニア世代、若い頃はバリバリのオートバイ乗りだったのではないでしょうか(笑)。SUZUKIはかつて、1960年から80年代にかけて2サイクルのオフロード車“TSシリーズ”を製造しており、そのブランド名が“ハスラー”でした。

1969年の“ハスラー250”の発売を皮切りに、50・80・90・125・185・200・250・400ccのラインアップが勢揃い。そのすべてを“ハスラー”という愛称(ペットネーム)で呼んでいましたね。二輪車のハスラーは生産終了になりましたが、前述のようになんと四輪車で復活です。オートバイのハスラーは、ラフロードを軽やかにキビキビと走るイメージ。片や、SUVの“新ジャンル軽”として開発されたこのクルマのコンセプトに、ハスラーという愛称がピッタリと合っていたということでしょうか。

車とバイクのハスラー

左がハスラー50、右がハスラーFリミテッド
画像引用:https://www.goobike.com/catalog/SUZUKI/HUSTLER50/index.html
http://www.suzuki.co.jp/car/hustler_f_limited2/detail/

ハスラーの愛称は、英語の“ハッスル”が由来

そもそもハスラーの名前は、Hustle(ハッスル)が由来。英語のHustleは「せき立てる」「乱暴に押しのける」など。印象があまり良くない意味の単語ですが、日本でのカタカナ語は、本来の意味を拡大解釈して「張り切る」「一生懸命に頑張る」などの意味。転じて、すべてにアクティブでパワフルに取り組み、私生活をハッスルに行動する人達に向けて、SUZUKIの二輪&四輪ハスラーに乗ってもらいたいという願いが込められているのでしょう。

ハスラー以外にもあった、二輪車名が四輪車名に

実は、このハスラー以外にも、もう1台あったのです。二輪と四輪、名前を共有している車種が…。その名も、“バンディット(Bandit)”。こちらも初期はオートバイの名前で出ていました。“山賊”という異名ですが、その排気量は250〜1250ccの中・大型車種までをラインアップしていました。一方クルマに名付けた「ソリオ バンディット」は、1300ccのコンパクトミニバン。スタイリッシュな見た目に加えて、スリムなボディとビッグキャビンを両立させながらも、軽自動車並みの扱いやすさを実現したクルマに仕上がっています。

車とバイクのバンディット

左がバンディット1250F、右がソリオバンディット
画像引用:http://www1.suzuki.co.jp/motor/product/gsx1250fal5/top
http://www.suzuki.co.jp/car/bandit/detail/

最近はネーミングを付けるのも一苦労の状態

オートバイとクルマの両方を製造しているメーカーが、時代を超えて同じネーミングを共有する。そんなケースは多々あります。オートバイとクルマの両方を販売している代表的な国内メーカーは、HondaとSUZUKIですね。特にHondaはSUZUKIよりもこの事例が多く、インテグラ、ジェイド、ストリーム、スパーダ、トゥデイ、ビートなどなど。数えるだけで、こんなにも存在します。

製品にネーミングを付ける際には、商標登録出願の問題がありますが、大概はすでに登録されていて、もう付けられる名前の枠はほとんどありません。いい名前があっても他社が登録している、もしくは造語を考えてもいいネーミングが思い浮かばない。ならば自社がすでに商標登録していたもので、イメージやコンセプトが近い名前に再登場してもらおう、というのがその大きな理由だそうです。

こんな手もある、商標登録しないという次の一手

新しく製品を発売するとネーミングを登録したくなるのが、企業の常。類似の製品が出てこないための手段なのですが、その度にネーミングで困窮するという訳です。でもそれって商標登録にこだわるのが原因なんですね。例えば、普通名詞、素材・原材料や製法・加工法、産地などは、商標登録できません。であれば、これを逆手にとって登録しない、という意外な手法もあったりします。

例えば、ビール名のスーパードライや一番搾りなどは、上記の理由で発売当初は商標登録できませんでした。コンセプトを重視し、造語に頼ることなく、登録せずにそのまま商品化した例です。しかし長い間、継続して使用したことで、登録ができたケースです。この他のネーミング手法として、外国車メーカーに多いのですが、BMWのように数字とアルファベットで車種のコンセプトやキャラクターを一目で理解させる手法もありますね。

いずれにしろ、商標登録にこだわった結果、カタカナ表記の造語や、数字や記号・アルファベットの組み合わせが氾濫している日本のネーミング。今後、印象深い車名はなかなか出てこない可能性もありますが、たまにはヒットしそうな名前を付けて欲しいもの…。こうしてネーミングの事例を見てみると、製品を売るためには、その名前がいかに大切であるかを改めて認識させられたのでした。

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