ついにフルモデルチェンジ スズキの新型ソリオを詳細解説

若者のクルマ離れが深刻視されている中でも、賑わいを見せているのが小型車です。1980年代を境に軽自動車にも多様化の波が来て、今や世界中のどこを見渡しても日本ほど独自の進化を遂げている小型車大国は他にないでしょう。そんな日本で、2020年も終わろうとしている年の瀬にヒートアップしているのが、トールワゴンと呼ばれているセグメントです。トヨタ「ルーミー」、スバル「ジャスティ」と相次いで、新型モデルが発表され多くのファンから注目されています。そして、そんな2社に応えるように発表されたのがスズキの新型「ソリオ/ソリオ バンディット」です。はたして、どのように生まれ変わったのか。そして、「ルーミー」と「ジャスティ」という新型トールワゴン競争の中で、勝ち抜くことができるのか。今回は、そんな新型「ソリオ/ソリオ バンディット」を見ていきたいと思います。

12月に発売の新型ソリオ

本校執筆時点(2020年11月15日)では、新型「ソリオ」の発表されている公式情報は数少ないのですが、2020年11月25日に公式アナウンスがされ、12月4日には発売されるとの情報が公表されています。

今回の新型モデルはマイナーチェンジではなく、フルモデルチェンジとなっており、新型「ソリオ」は全3グレード、新型「ソリオ バンディット」は1グレードという構成です。中でも最も安価なのが、新型「ソリオ」の「G」グレードと設定されているものです。気になるGグレードの主装備は、

  • 運転席・助手席SRSエアバッグ
  • フロントシートSRSサイドエアバッグ
  • SRSカーテンエアバッグ、フルオートエアコン
  • 電動格納式リモコンドアミラー
  • マルチインフォメーションディスプレイ
  • 14インチフルホイールキャップ

マルチインフォメーションディスプレイでは、多くの情報を一元管理できる
画像引用:https://www.suzuki.co.jp

また、オプションとして、後席左側ワンアクションパワースライドドアが用意されています。

並べてみると非常に多い印象を受ける装備ですが、その多くは現行ソリオにも搭載されているものとなっているため、フルモデルチェンジとはいえ基本的な設計思想は現行モデルを継承していると言えます。トヨタ「ルーミー」やスバル「ジャスティ」と比べても、ほぼ互角の装備内容となっており、必要な装備は揃えつつも価格は落とすという、多くの人が購入しやすいグレードと言えます。

この1つ上のグレードが、「HYBRID MX」というもので、Gグレードの装備は基本的に踏襲したものとなっています。これに加えて、

  • アダプティブ・クルーズコントロール(全車速追従機能付)
  • ロールサンシェード
  • 後席左側ワンアクションパワースライドドア
  • ステアリングオーディオスイッチ
  • 15インチアルミホイール

また、オプション装備品として、LEDヘッドランプ・LEDポジションランプ、全方位モニター付メモリーナビゲーション、全方位モニター用カメラパッケージが用意されています。

いわばメーカーとして推している機能が搭載されている、もしくはオプション装備品として用意されています。とくに安全装備として、アダプティブクルーズコントロールが標準装備となっている点は特徴的と言えます。これは、設定した速度で定速走行しながらも、先行車が減速または停止した場合にも、しっかりと減速・停止という動作を自動で行ってくれるという機能です。

また、窓ガラス上部に引っ掛けて使うロールサンシェード(スペーシア Xグレードなどに装備しているもの)やGグレードではオプション装備品だったものも標準装備となっています。中間グレードとして、最低限の装備だけでなく快適性や利便性を重視した装備が標準となっているため、現行ソリオと同様に一番の人気グレードとなるのではないかと予想されます。

ロールサンシェードは着替えなどの際にも便利に使える
画像引用:https://www.suzuki.co.jp

次に、上位グレード「HYBRID MZ」を見ていきましょう。今回の新型ソリオの中で最も充実した装備が売りのグレードとなっています。HYBRID MXグレードの装備に加えて、

  • LEDヘッド/ポジション/フロントフォグランプ
  • ヘッドアップディスプレイ
  • スリムサーキュレーター
  • 後席右側ワンアクションパワースライドドア
  • 本革巻ステアリングホイール
  • LEDサイドターンライプ付ドアミラー
  • プレミアムUV&IRカットガラス

夏場の厳しい日差しでも、日焼けリスクを低減
画像引用:https://www.suzuki.co.jp

オプション装備品として全方位モニター付メモリーナビゲーション、モニター用カメラパッケージとなっています。

ランプ類がすべてLEDとなっており後部座席も両側パワースライドドア、ステアリングホイールも本革巻きにアップグレードしています。また、ヘッドアップディスプレイやUV&IRカットガラスなど価格が高くなるオプション装備品もデフォルトでついてくる点も最上位グレードならではです。

新型「ソリオ バンディット」は独特のスタイルを維持

新型「ソリオ」が3グレードなのに対して、新型「ソリオ バンディット」は「HYBRID MV」の1グレードのみです。基本的には、新型「ソリオ」 HYBRID MZの装備品に加えて、本革巻シフトノブがデフォルト装備品となっています。

また、外観もその意匠が異なっています。新型ソリオは、水平を基調としたフロントグリルとメッシュグリルが採用され、大きく見えるようなフロントマスクに仕上がっています。さらに、インテークフレームによりヘッドライトも従来のモデルよりも上質さが醸し出されています。

一方で、新型「ソリオ バンディット」のフロントマスクは逆三角形になっており、グリル部分もメッシュ状になっています。ヘッドランプやフォグランプ周りも黒色のフレームで囲われており、より高級感が感じられるようになっています。また、従来のバンディットでも特徴的だったホイールはスパイラル形状に変更されており、新型の上質な車体デザインと調和しています。

ちなみに、新型「ソリオ」はモノトーン8色に対して、新型「ソリオ バンディット」は2トーンカラーを含む全11色のラインナップが用意されている点からも、スズキの一押しモデルということが感じられます。

見た目だけじゃなく広さと安全性も進化

新しく生まれ変わった「ソリオ」と「バンディット」ですが、外観だけでなく内装や安全性能も向上しています。

まず、従来のモデルと比べて全長が80mm(バンディットは70mm)、全幅も20mm広くなっています。これがどれくらいの効果をもたらすのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ラゲッジスペースにスーツケースを5個ほど積めるようになり、そのときに後部座席に座っても足元が詰まった感じがしないほどには広さが確保されています。

HYBRID MZ/MVに装備されているスリムサーキュレーターは、室内の温度を均一化するための装備となっています。これにより、運転席と後部座席どちらに座っても暑すぎることも寒すぎることもなくなるとされています。さらに、シートヒーターも標準装備となっているため、冬にエアコンを使いすぎて乾燥するといった悩みも解消されます。

スリムサーキュレーター稼働時のイメージ図
画像引用:https://www.suzuki.co.jp

また、先進装備としてアダプティブクルーズコントロール+全車速追従機能に加えて、ヘッドアップディスプレイが装備される点も従来のソリオにはない進化ポイントとなっています。

これらの内装や装備品に加えて、「SUZUKI Safety Support」という12種類の予防安全技術が標準となっています。

  • デュアルカメラブレーキサポート
  • 後退時ブレーキサポート
  • 誤発進抑制機能
  • 後方誤発進抑制機能
  • 車線逸脱警報機能
  • ふらつき警報機能
  • 標識認識機能
  • アダプティブクルーズコントロール
  • 先行車発進お知らせ機能
  • ハイビームアシスト
  • 全方位モニター用カメラ
  • ヘッドアップディスプレイ


アダプティブ・クルーズコントロールで、安全なドライブを実現

スズキの次期定番車となる一台

ここまで新型「ソリオ」/「ソリオ バンディット」の装備品や変更点などを確認してきました。デザインは大幅に変わるというよりは、よりカッコ良さや上質感を追求した意匠へと変更されています。

また、何よりも標準装備品のグレードが全体的に高くなっており、より快適性や安全性が重視されているなど、昨今のトールワゴンの流行をしっかりとキャッチアップした設計思想によってつくられているということが分かります。

このクオリティで約160万円から購入できることを考えると、スズキのトールワゴンとして新たな代表作となることでしょう。とくに、トヨタ「ルーミー」やスバル「ジャスティ」というライバル車と比較しても、装備品の上質さという点では優っていると言えます。ぜひ、みなさんも新しい「ソリオ」/「ソリオ バンディット」の進化をその目で確かめてみてはいかがでしょうか。

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