“BMW × THE NORTH FACE”のコラボレーション! CESで公開された布製の次世代キャンピングトレーラー

米国開催のCES 2019にて、BMWのグループ会社であるDesignworksが「FUTURELIGHT Camper Concept」なるコンセプトモデルを合同発表しました。提携しているのは、人気アウトドアブランドとしてお馴染みのTHE NORTH FACE。新素材のPRとして提案された今作ですが、Designworksが設計を担当したことからも注目を集めています。今回はこのコンセプトモデルを例にとり、BMWグループの精力的な活動の一端をご紹介しましょう。

CES 2019で注目を集めたコンセプトモデル

全米家電協会が主催するCESは「Consumer Electronics Show」の略称で、すなわち電子機器・電化製品の展示をするイベントです。毎年開催される同イベントはアメリカ全土で会場が展開され、20万を超えるプロダクトが展示されています。中でもラスベガス会場は世界最大級の規模として知られており、日本からは住友電子やNISSAN、HONDAを始めとするトップ企業が多数出展しています。

FUTURELIGHT Camper ConceptはVRでの公開ということで、実物の展示ではありませんでした。しかしながら、「BMW×THE NORTH FACE」という有名ブランドの話題性、そして構造も非常に先進的なものであったことから、多くの観覧者がディスプレイに釘づけになりました。

防水性 × 通気性の「FUTURE LIGHTを採用」

画像引用:https://www.bmwgroupdesignworks.com

画像のとおり、FUTURELIGHT Camper Conceptは動力を持たず居住区のみのつくりとなっており、ちょうど馬車のイメージに近いものがあります。ゆえに初見では、「未来的なシルエットではあるが、結局ただのトレーラーなのでは?」と、多くの観覧者がこう感じたはず。しかし、VRのアナウンスが進むに従って、その印象は大きく変わるのです。

実は、このドーム状に包まれている部分は、「布」で構成されています。馬車ならともかく、キャンピングトレーラーの外装は金属や樹脂といった素材が一般的ですから、これは驚きです。仮に、一般的な布をトレーラーの屋根に採用した場合、雨風をしのぐことができず、満足に使用できません。

ところが、このコンセプトモデルに採用された素材「FUTURE LIGHT」は、繊維の間隔が水分子よりも小さいナノサイズであるため、水の侵入を防ぎつつ空気を通すという性質を持ちます。すなわち、防水性と通気性の両立という、相反する要素を備えているのです。

Designworksは、THE NORTH FACEが考案したこの新素材の先進性をアピールするために、「球体」を基調としたシルエットを取り入れてデザインしました。従来のゴツゴツしたトレーラーと比べ、スマートで洗練されたシルエットに仕上げられています。

BMWのグループ会社「Designworks」とは?

聞き慣れない方が多いかと思いますので、Designworksという会社について少しご説明させていただきます。BMWのグループ会社であるDesignworksは、未来志向なデザイン案を提供することで、世界中の企業へイノベーションやビジネスの成長を促すことを活動目的としています。すなわち、グローバルなクリエイティブ・コンサルティング会社なのです。

キャンピングトレーラーの合同発表も、このコンサルティング活動の一環と言えます。FUTURE LIGHTを使ったファッションアイテムが、2019年中にはTHE NORTH FACEから発表されるようですが、Designworksとのコラボレーション企画により強烈な印象を植え付けることができたので、いい助走が付けられたのではないでしょうか。

コンセプトカー以外にも、過去にジェット機や自転車、そしてヘッドフォンや時計にいたるまで、Designworksでは多岐に渡るデザイン案を提供しています。そして、外部顧客の目標達成を支援する傍ら、外部の視点からインスパイアされたノウハウを、BMWグループ全体に還元するのです。このようにして20年以上にわたり、BMWグループを始めとする、将来への野心的なビジョンを持つ企業を刺激してきました。

BMWはすでに布製コンセプトカーを発表していた

エクステリアに布地を採用するという非常に斬新な試みですが、実はこの発想、2008年に発表されたBMWのコンセプトカー「GINA Light Visionary Model」から着想を得ています。コンセプトカーとして、未来的で斬新なデザインを発表することはけっして珍しくありませんが、まさか「布製のクルマ」を発表するとは驚愕でした。

ボディ全体を覆うシルバーの布は「ライクラ®ファイバー」と呼ばれる素材で、伸縮性に富み、フィッティング性に優れています。表面にはポリウレタンをコーティングしているため、布とは思えない強度を持ち、防水性も備えているとのこと。温度変化に対する変形も起きにくく、そして布地だけあり軽量性も抜群です。

このGINAですが、動画をご覧いただくと分かる通り、形だけでなくエンジンもタイヤも実用的なものを装備しています。というのも、外装として布地を使っていますが、基本的な構造はベース車両となっているBMW「Z8」とほぼ同じなのです。4.4LのV8エンジンを搭載しているため、そのパワーは400PS – 500Nmにも達します。

BMWは毎年精力的に出展

BMWグループはCESへの出展に精力的です。毎年コンベンションセンター付近でプレゼンテーションを行うのが恒例とされ、CES 2019でも、FUTURELIGHT Camper Conceptのほかに2つのモデルが会場を賑わせていました。この機会をお借りして、コンセプトモデル「Vision iNEXT」と新型SUV「X7」の2例も簡単にご紹介しましょう。

2019年のメイン展示「Vision iNEXT」

画像引用:https://www.bmw.co.jp

2019年のBMWブースで目玉となっていたのは、上の画像にある「Vision iNEXT」です。これは次世代の自動運転クロスオーバーSUVのコンセプトモデルで、車体の展示はもちろん、特設ブースで自動運転の様子をVRモニターで体験することが可能となっていました。

興味深いのが、自動運転以外にも様々なポイントで先進技術が採用されているということ。例えば、車内のどこにいても空調やオーディオの操作ができます。これは「インテリジェント・マテリアル」というテクノロジーで、指で円を描いたりなど、手のジェスチャーによって車内のどこからでも車内エンターテインメントシステムの操作が可能になりました。乗員の誰もがドライブを楽しめるという、BMWならではの工夫です。

新型SUV「X7」のお披露目

画像引用:https://cdn.bmwblog.com

2019年のCESでは、もう1つ大きな発表がありました。それが、日本でも2019年夏に上陸すると言われる新型SUV「X7」のお披露目です。CESホールの外に特設された45度の急角度の昇降ステージを使って、4つの新しい走行モードや最大650Nmのトルクなど、その実力を披露していました。

常に先を見据えた、BMWの取り組み

さて、CESでの出展を例にとって、BMWの精力的な取り組みをいくつかご紹介させていただきました。自動車メーカーとしてのイメージが強いBMWグループですが、その活動は実に多岐に渡り、あらゆる分野で活躍しているのです。

ですが、もちろん基軸は自動車関連事業。前述のとおり、様々な分野からインスパイアされたノウハウを自動車へとフィードバックすることで、より良いものづくりを可能にしています。今後のBMWの動きからも、目が離せませんね。

 

関連記事

ページ上部へ戻る