結局どれを選べばいい? キャンプに最適なスズキの軽

一昔前のキャンプといえば自然の中で火を起こして米を炊き、テントを設営するのも一苦労したという思い出を持っている方も多いのではないでしょうか。キャンプが市民権を得てレジャー化した後でも、登山などと同じようにアウトドアフィールドの遊びは素人にとって敷居が高いものでした。ところがここ数年の間で、キャンプといえば男女問わずに誰でも楽しめるおしゃれなレジャーというイメージが定着しつつあります。そのため、キャンプ用品も洗練されたデザインのものが多くつくられるようになり、中にはキャンプをしない人でもこだわりの道具を揃えて家の中で使うといったことも一般的になるほど、私たちにとってキャンプそのものが身近で人気のあるものになっているのです。

そして、キャンプブームに伴って注目を浴びているのがキャンピングカー。といっても、大型のものではなく生活の足として普段から使える軽自動車をキャンプに使う“軽キャンプ”が人気なのです。中でもスズキは、ジムニーやハスラーなどといった軽SUVを中心にラインナップしており、キャンプやアウトドアに強いクルマとして幅広い年代から関心を集めています。

キャンプに使えるスズキの軽SUV

オプション装備でさらに快適に
画像引用:https://www.suzuki.co.jp

スズキの軽SUVは、「ジムニー」「ハスラー」「スペーシア ギア」の全3モデルが展開されており、それぞれ異なった特色を持つユニークなクルマに仕上がっています。そのため軽SUVというジャンルながらも性能や居住性では大きな違いもあるため、キャンプで使う際には自身の使い方に合った性能を持つかどうかを考える必要があります。ファミリーでのキャンプはもちろん、最近では“ソロキャンプ”と呼ばれる一人でキャンプを楽しむ人も増えているため、クルマの性能だけでなく利用するシーンを具体的に思い浮かべながら考えるとミスマッチも減らすことができます。

今回はスズキの軽SUVの中でも本当にキャンプに適した一台はどれなのか?ということを、利用シーンはもちろん積載量や走破性、メンテナンスといった様々な視点から考えていきたいと思います。

ボディサイズを比べてみる

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クルマを選ぶ上で基本となってくるのがボディサイズ。多くの人がセダンタイプやSUVタイプのクルマはボディサイズが大きく堅牢だけれど、コンパクトカーのほうが小さいから運転がしやすいなどと考えながら検討していることでしょう。とはいえ、今回比較する3モデルはすべて同じ軽SUVだからボディサイズに大きな違いはないのでは?と思われるかもしれません。しかし、実際に3モデルを比較してみるとボディサイズにも違いがあり、その違いが細かなこだわりにつながっているのです。

ジムニー ハスラー スペーシアギア
全長(mm) 3,395 3,395 3,395
全幅(mm) 1,475 1,475 1,475
全高(mm) 1,725 1,680 1,800

3モデルのボディサイズを比較

実際に、公式カタログに記載されているボディサイズを比較してみると上表のようになります。これを見てみるとスズキの軽SUVは、全長と全幅はすべて同じサイズ規格ということに驚く人もいるかもしれません。この統一されたサイズ規格の秘密は、日本の軽自動車規格にあります。現在の軽自動車の規格は“全長3,400mm、全幅1,480mm、全高2,000mm”という決まりがあるため、居住空間を最大限確保するために規格値ギリギリである全長3,395mm、全幅1,475mmという車体設計になっているのです。

そして肝心の全高を比べてみると、なんと最大で120mmもの違いがあることに気づくでしょう。意外にも本格派4WDを謡っているジムニーよりも、スペーシアギアの全高が高いのです。そのため、キャンプの道中では舗装されていない路面を走行することを考慮するとスペーシアギアが有利といえます。

ただし、ここで注意したいのが車高と走破性が必ずしも比例関係にないということです。つまり、車高が低くても走破性が高いクルマは存在するため、一概に車高だけで判断することができないのです。

走破性まで考慮して判断する

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走破性を考える上で重要なのは、クルマの基礎となるフレーム部分が堅牢にできているかという点が挙げられます。実は3モデルとも異なるプラットフォームを採用しており、ジムニーは「専用ラダーフレーム」、スペーシアギアとハスラーは「HEARTECT」が採用されています。

ここで大切なのは基礎のプラットフォームが異なるということは、同じ軽SUVというジャンルでも設計思想が大きく異なっているということです。

HEARTECTは、いわばスズキの懐刀のような存在で、アルトやスイフトなど主要モデルの多くでも軽量剛性化を狙って使われています。それだけでなく、従来のプラットフォームよりも荷室と居住空間が大きく拡がったことで、車体デザインの自由度も向上させることに成功しています。

一方、ジムニーは専用の「ラダーフレーム」と呼ばれるものを採用しています。SUVの中でも本格的なオフロード4WDとして設計されているクルマに採用されるのが、ボディ部分とシャシー部分を分けているラダーフレーム構造をもったプラットフォームです。「HEARTECT」がすべてを一体化し総合的に堅牢な造りを目指しているとしたら、ラダーフレームはフレームだけで堅牢性を確保しているという点で設計思想そのものが異なるのです。

でも、それが走破性に影響するの?と疑問に思うかもしれません。実は、舗装された路面を走る上では両車には大きな違いはありませんが、未舗装のオフロード走行においてはラダーフレームが有利となるのです。前述したようにボディも含めて堅牢性を確保している「HEARTECT」は、ボディ部分にかかる負荷でフレームそのものに歪みが発生してしまいます。しかし、ラダーフレームはボディ部分とシャシー部分が別構造となっているため、オフロードのようなボディに負荷がかかる場面でもフレームには影響が及びにくいのです。

また、ラダーフレームではリジットアクスル式のサスペンション(左右の車輪が車軸でつながっている)を採用できるため、左右で高低差のある路面でも最低地上高を確保しながら走り抜けることができるのです。

したがって、走破性という面では総合的にみてジムニーが有利といえるでしょう。ただし、静粛性については、独立式サスペンションを持ったスペーシアギアやハスラーに軍配が上がってしまうことを忘れてはいけません。

居住性と積載量はどうか

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走破性という面ではジムニーが有利となる結果でしたが、静粛性で勝るハスラーやスペーシアギアは居住性もこだわりを持って設計されています。例えば、スペーシアギアはトールワゴンタイプのため居住空間が広く、ジムニーやハスラーと比較しても窮屈さを感じることはないでしょう。

親子3人でも余裕のあるスペース
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さらに、キャンプという観点では重要となる車中泊。大人1人ならジムニーでも十分ですが、小さなお子様もいる家庭ではハスラーやスペーシアギアの開口部は広く採られている分だけ快適に寝ることが可能です。

中でも、ハスラーは収納スペースを多く設けるだけでなく車中泊の際にも利便性が良いようにと、収納スペースの位置にまでこだわりをもって設計されているため、運転をしていてもしていなくても快適な居住性を提供してくれます。

また、積載量についても室内の空間を広く採っているスペーシアギアやハスラーが有利ですが、キャンプ道具を積む際には3モデルとも後部座席をフラットにしなければならない場面も多いです。とくに、テントやタープといった大型で長尺の道具は助手席までフラットにする必要があるため、実際には積載量そのものよりもシートアレンジや荷物の積みやすさを重視したほうが使い勝手の良さにつながってきます。

ジムニー ハスラー スペーシアギア
荷室開口地上高(mm) 760 690 510

オフロード走行を考えたジムニーは高めの設計に

例えば、地面から荷室部分までの高さを比べてみると上表のようになります。ハイトールワゴンとして設計されたスペーシアギアは、もっとも低い510mmに。これに対して、オフロード走行を主として考えられているジムニーは760mmと約250mmもの差があるという結果になりました。つまり、日常的な買い物に伴う荷物の出し入れでは、スペーシアギアが他2モデルと比べても便利に使えるということです。

3モデルともシートには撥水加工が施されている
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一方で雨の日に気になる乗り降りするときの雨水の侵入。これを防ぐドリップレールは、3モデルの中でジムニーのみ装備しているため、キャンプで雨に降られた場合でも車内に雨水が入ることなくスムーズな積み下ろしが可能です。

このように使い勝手1つをとってもモデルごとに異なるため、自身が利用するシーンでどのように役立つかを想像しながらカタログを眺めることをオススメします。

結局どれがキャンプに最適?

ここまで見てきた3モデルは、利用シーンによってそれぞれに長所があるためキャンプに最適な一台を決めることは難しいです。ただ、オフロードとオンロードの両方を走破する性能と車中泊もできる居住性を兼ね備えたジムニーは、キャンプにおいても活躍してくれることは間違いありません。また、オフロードの走破性は必要ないという人にとっては、キャンプ向けの純正アクセサリーが多いスペーシアギアをオススメします。さらに、キャンプには年に1~2回行ければいいと考えているならば、街乗りでも便利でオシャレなハスラーを選ぶと良いでしょう。

まずは、キャンプを利用するシーンを思い浮かべながら、今回紹介した性能を見比べてみることから始めてみましょう。そして、実際にスズキの軽SUVでキャンプを思う存分楽しんでみてはいかがでしょうか。

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