青空に白い雲、どこまでも続くような水平線を見ながらハンドルを握り、海岸線を走り抜ける。ドライブが趣味の人ならば、一度は思い描いたことのある光景ではないでしょうか。とくに人気のあるドライビングスポットに足を運ぶと様々なタイプのクルマが並んでいますが、昔から根強い人気を誇っているのが“オープンカー”と呼ばれているタイプのクルマです。その名の通り、クルマの屋根にあたる部分を開閉することができるクルマのことを総称したものですが、屋根をオープンにすることで「派手で人目が気にならない?若い人向けのクルマじゃない?」など色々な疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。
実は、そういったイメージを持った人にこそ乗ってもらいたいクルマが「MINI Convertible(※以下「MINI コンバーチブル」)」なのです。オープンカーながらも“大人の気品と遊び心”が溢れるクルマに仕上がっており、幅広い人が走りを楽しむことができるよう仕上がっています。今回は、そんな大人にこそオススメしたい「MINI コンバーチブル」の魅力に迫っていきたいと思います。
正しいのは、“コンバーチブル”? ”カブリオレ”?
「MINI コンバーチブル」という名前を聞いて、いわゆる“オープンカー”タイプの車種と違いはあるの?と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。それもそのはずで、世界中で販売されている車種の呼び分け方はメーカーや国によって異なっており、それらが統一されずに現在でも使用されているからなのです。日本において一般的である“オープンカー”という呼び方は和製英語であり、アメリカやヨーロッパでは通じないとされています。
イギリスであれば“Roadster(ロードスター)”、フランスやドイツでは“Cabriolet(カブリオレ)”、そしてアメリカでは“Convertible(コンバーチブル)”という呼び方が一般的です。もちろん、メーカー固有の商標を取っている呼び方があり、差別化のために新たな造語が使われることもありますが、基本的には国やメーカーによって大別されています。したがって、「MINI コンバーチブル」もヨーロッパでは「MINI カブリオレ」として販売されているなど、メーカーや国による販売戦略や事情によって日本では「MINI コンバーチブル」という名前になったのです。
ローバー社「MINI カブリオレ」が残した伝統のスタイル
BMWに買収されて以降、大きくデザイン性や機能性が変化してきたMINIシリーズですが、今回紹介している「MINI コンバーチブル」には少々複雑な歴史が存在します。実は、BMWに買収される前はローバー社から「MINI カブリオレ」としてオープンカータイプのものが販売されていました。このローバー社は“ランドローバー”などのクルマを販売していたことで有名なメーカーでしたが、1994年にBMWが買収しローバー社のノウハウを蓄積することに成功しました。そのため、BMWが再びローバー社を売却すると、世界中の企業を転々とすることとなり2005年にローバー社という名前がなくなってしまいました。もちろん、ローバー社のノウハウ自体はBMWに受け継がれており、「BMW X5」などにも技術が活かされています。
そして、そのローバー社によって販売されていたのが「MINI カブリオレ」と呼ばれているオープンカータイプのMINIでした。オフロード車のノウハウに富んでいたローバー社らしく、BMWが買収する以前のMINIシリーズの中ではボディサイズやデザインも大きくどっしりとした雰囲気になっています。
その反面、手動で開閉できるソフトトップによって窮屈にならない、開放的かつ魅力的なデザインを持ち合わせたクルマとして多くの人から根強い支持を集めました。その人気からBMWは買収後、2004年に「MNI コンバーチブル(R52)」を販売することとなりました。
そのデザインと機能性はローバー社「MINI カブリオレ」を継承しながらも、BMWのエッセンスが効いたモデルとなっています。
進化してきた「MINI コンバーチブル」
2004年に発売された初代「MINI コンバーチブル」は、現行モデルと比較してもローバー社「MINI カブリオレ」のテイストを残したデザインが強く残ったモデルとなっています。BMWから販売された初の「MINI コンバーチブル」ということで、若者はもちろんファミリー層にも人気があったことが特徴です。オープンカーと言うと、どうしても若者世代に向けた2シーターのモデルを想像してしまいますが、「MINI コンバーチブル」はリアシートとラゲッジスペースが確保されていたため、小さな子どもがいるファミリー層でもオープンカーに乗りたいというニーズを満たすものでした。
初代「MINI コンバーチブル」は、“Always Open”という開発思想のもとに、雨以外なら開けたくなるような造りにしようと、ルーフ部分は非常にこだわりのある設計になっています。現行モデルでも人気のある、ルーフ部分をサンルーフのように半分開閉できる機能も初代モデルから搭載されていました。また、“Always Open”を実現するために素早いルーフの開閉を実現するなど、日常的に使いやすいオープンカーとして高い評価を受け2009年までの約5年間にもわたって販売される人気モデルとなりました。
そんな初代に続いて販売されたのが、二代目「MINI コンバーチブル」です。初代モデルのデザインは踏襲しながらも、より現行モデルに近いボディデザインになっています。また、内装のデザインもエッジが効いた円形のモチーフが強調されるなど、より“MINIらしく”なったモデルと言えるでしょう。この二代目「MINI コンバーチブル」には、“Always Open Timer”という開閉時間がわかるメーターが搭載されるなど”Always Open”の楽しさをドライバーにも伝える、“MINIらしい”遊び心溢れる造りになっています。
大人が遊べる”MINI”
そして、2016年から販売されているのが現行の三代目「MINI コンバーチブル」です。基本的な造りは先代モデルを継承しており、電動のソフトトップ幌に4シーターを備えています。中でも目を惹くのが、居住性と走行性能の進化。これらに関しては先代モデルと比べても、高く評価できる部分と言えます。
全長と全幅が大きくなった三代目「MINI コンバーチブル」では、リアシートにも余裕が生まれるだけでなく、ラゲッジスペースも先代モデルより25%も広くなっています。そのため、スーツケースやゴルフバッグなど、遠出の旅行やアクティビティなども楽しみやすく使い勝手が良い造りになっています。
全体的なサイズアップにあわせて、ホイールも17インチへとインチアップをしました。
これにより、従来よりも安定した走行が可能となっており、スリップしやすい雨天や海岸沿いなどのコンディションの悪い路面も余裕を持ったドライビングを楽しむことができます。
「MINI コンバーチブル」で夏を満喫
ラゲッジスペースも広くなり、安定した走行性能を発揮してくれる「MINI コンバーチブル」なら暑い夏も快適に楽しむことができます。オープンカーで気になるのが、友人や大切な人を助手席に乗せたときに感じる“巻き込み風”だと思います。とくに、風のない日でもスピードを上げていくと風を巻き込んでしまい、ヘアスタイルが崩れ騒音に悩まされたことのある人も多いのではないでしょうか。しかし、「MINI コンバーチブル」なら他社メーカーのオープンカーよりも、フロントウィンドウの角度が垂直方向に近づけられたデザインになっています。このため、風の巻き込みを感じることも少なく、助手席との会話を楽しみながら快適に運転することができます。
また、30km/h 以下の速度ならば電動でルーフを開閉することもできるため、不安定な夏の天気にも臨機応変に対応可能となっています。つまり、早く走るためだけでもなく、オープンカーで風を楽しむだけのクルマでもない。新たなオープンカーの楽しさを味わえるクルマが「MINI コンバーチブル」なのです。そんな特別な「MINI コンバーチブル」で、暑い夏も大人の余裕をもった楽しみ方を体験されてみてはいかがでしょうか。