ジムニーだけじゃない! スズキの本格派SUV「SX4 S-CROSS」

世界中で続いている“SUVブーム”に影響され、日本でも各社がSUVのラインナップに力を入れています。そのなかでも、2018年に発売された新型のスズキ「ジムニー」は日本中で異例の大ヒットを飛ばすほどの話題車となりました。もともと軽自動車に強いイメージのあるスズキですが、現在では“軽SUV”という独自路線を開拓し多くのファンを獲得しています。そのためか、スズキの4WDというと「ジムニー」や「ハスラー」などの軽SUVが真っ先に思い浮かぶという人も多いのではないでしょうか。

しかし、スズキにも本格派のSUV「SX4 S-CROSS」がラインナップされていることを忘れてはいけません。実はこの「SX4 S-CROSS」、日本のみならず各国でスペックやデザイン性が高く評価されている車種であり、特筆すべき点が尽きない一台なのです。今回は「SX4 S-CROSS」の知られざる魅力とスペックを紹介していきたいと思います。

欧州のエッセンスを取り入れたSUV

現在発売されている「SX4 S-CROSS」は二代目にあたり、初代モデル「SX4」は2006年に発売されています。実はこの初代「SX4」は、イタリアの名門であるフィアット社との共同開発車として発売されたのです。姉妹車の名前は「フィアット・セディチ」、イタリア語で数字の16を意味しており、4WDを表す“4×4( = 16)”をかけるなどイタリア車らしいセンスを感じる一台に仕上がっています。

しかし、その設計や生産の大半部分はスズキが請け負っており、当時のスズキ「スイフト」に使われていたエンジンを流用するなどスズキが前面に出る形の共同開発車と言えます。その中でフィアットのこだわりを感じるのが、ジウジアーロ率いる「イタルデザイン」が手掛けた車体デザインです。2006年の当時では珍しく“スポーティーなSUV”を目指したデザインコンセプト、「X-OVER REVOLUTION(クロスオーバー レボリューション)」を掲げており、現在のSUVブームをけん引する「クロスオーバーSUV」の先駆けとも言えるデザインが高い評価を受けます。

そんな初代「SX4」は欧州仕様車が先行販売され、日本仕様車は遅れて販売されるも2014年の製造終了までの約8年の間に多くのマイナーチェンジを繰り返すなど根強い支持を集めていました。

コンセプトカーから市販車へ

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

初代「SX4」がカタログラインナップから消えるまでの間に、日本にもSUVブームの波が押し寄せていました。2006年に初代「SX4」を発売したときには顕著なブームこそありませんでしたが、2010年前後には各社が様々なSUVタイプのクルマを発売するなど開発競争が激化していきました。クロスオーバーSUVの先駆け的存在の「SX4」でしたが、他社から最新モデルが発表されていくと、より競争力のある新型車の開発が求められるようになりました。そこで、満を持して発表したのが「S-Cross」というコンセプトカーでした。

これは2012年のパリモーターショーで発表されたもので、初代以上にクロスオーバーSUVという面を重視しデザインしたモデルと言えます。もちろん、コンセプトカーへの反響は大きく、この「S-Cross」を基にした市販車モデルこそ「SX4」の二代目にあたる「SX4 S-CROSS」なのです。初代モデルと比較しても、車体寸法とホイールベースの両方が大きくなっており、フルBセグメントからCセグメントへとクラスアップしています。
もちろん、ただ車体が大きくなっただけではなく、スペックも大幅に向上している点が特徴となっています。

大幅な性能向上と最新技術

そもそも、「SX4 S-CROSS」はコンセプトカーである「S-Cross」をベースとしており、「エスクード」と共用のプラットフォームで開発がなされたという経緯があります。そのため、初代「SX4」のイタルデザインを踏襲するというよりは、完全に新たなSUVとして開発を行ったと言っても過言ではありません。プラットフォームを共有する「エスクード」と比較しても、同等のサイズとなっており“スズキ最大のSUV”とも言える設計となっています。

この「SX4 S-CROSS」も販売されてから幾度のマイナーチェンジを経ており、2019年には最新技術を取り入れたモデルとなって販売され続けています。最新のマイナーチェンジでは安全装備の拡充が図られており、「ミリ波レーダー方式衝突被害軽減ブレーキ、サイドエアバッグ、アクティブクルーズコントロール」などが標準装備化されています。そのため、日本で販売が開始された2015年から約4年が経過する今でも、他社の最新SUVと同等以上のスペックを備えています。

逆輸入車という個性

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初代「SX4」がフィアットとの共同開発であったように、二代目「SX4 S-CROSS」も海外で生まれたクルマという特徴があります。生産もハンガリーに拠点を置く“マジャールスズキ”が担っており、欧州各国へと輸出されていきました。このとき、「SX4 S-CROSS」は安全性能を評価する“ユーロNCAP”で最高評価、ハンガリー国内でも賞を受賞するなど高い評価を受けています。

このこともあり、高い性能を備えたクルマとして2015年の日本販売以降、インドや中国などアジア圏でも積極的な展開がなされてきました。多くの国で広く受け入れられた理由として、安全性能はもちろんのことSUVとしての堅牢性や走破性、そしてデザイン性の高さが挙げられます。

「SX4 S-CROSS」を見て真っ先に目に入るのが、特徴的なデザインのフロントグリルではないでしょうか。日本的なデザインとは一線を画したフロントグリルは、ドイツ車を彷彿とさせるような欧州的なデザインとなっています。ヘッドランプやボンネットの形状が変更されていることで、カタログスペックよりも大きな車体に感じることのできるボディデザインで、コンパクトなクロスオーバーSUVという枠を超えたような外観に仕上がっています。肝心の動力部分も抜け目なく、最高出力は117PSと初代モデルと大きな差はないものの、6速ATのギア比を低く設定することで加速性能の向上を実現しています。

たとえば、高速道路などを走行する際にSUVのような比較的大型のボディを持つクルマは、車体重量がネックとなります。車線変更や合流など、アクセルペダルを踏んでも思ったように加速できないため運転に難しさを感じたことのある人も多いのではないでしょうか。「SX4 S-CROSS」なら、そのような場面でもスムーズな加速が可能になっているため、ドライバーに高速走行時の煩わしさを感じさせないのです。一方で、アウトドアフィールドでも活躍する性能が欲しいと考えている人にとっても、「SX4 S-CROSS」は最適と言えます。

モータースポーツで活躍できる一台を日常に

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極限の性能を試されるレースとして、WRC(FIA 世界ラリー選手権)が挙げられます。このWRCは予測不可能な路面コンディションを、クルマの性能を最大限に発揮しながら走破するという過酷なレースの代名詞とも言えるものです。そのようなレースに、「SX4 S-CROSS」は2008年に参戦しています。その車体設計のレベルの高さからスズキ史上最高の5位入賞を成し遂げるなど、車体の持つポテンシャルを十分に見せつける結果となりました。WRCで活躍できる車体設計を日常でも体感できるのが「SX4 S-CROSS」に乗る楽しみの1つといっても良いでしょう。

欧州の雰囲気を漂わせた都会的なデザインに加えて、WRCで活躍できるほどの車体設計を持っている「SX4 S-CROSS」。SUVブームの中でデザインだけに特化したものや、ラグジュアリーな装備を売りとしているものも多く販売されています。その中でも、高いデザイン性はもちろん、本格的な性能を兼ね備えた一台に乗りたいと考えている人に「SX4 S-CROSS」は最適と言えます。本格派のSUVに乗るという体験を、ぜひ一度あなたも味わってみてはいかがでしょうか。

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