ジムニーよりも根強い人気? アウトドアの本命「エブリイワゴン」

一年を通して楽しむことのできる遊びは多くありますが、キャンプや釣り、登山といったアウトドアフィールドでのアクティビティは根強い人気を誇っています。近年ではアウトドアを意識した商品展開というものが幅広いジャンルで行われるほどに人気で、自動車メーカーにも大きな影響を与えているのです。とくにSUV人気も相まって、アウトドアフィールドでの使用を前提とした車種を多く販売し、各メーカーともに主戦力と言えるほど好調な売れ行きを見せています。

そんな中、とくに盛り上がりを見せたクルマと言えばスズキ「ハスラー」です。もちろん知名度が高かったこともありましたが、何よりも本格派の軽SUVというギャップと使いやすさ、性能の高さに納車待ちの人が続出しました。そんな独自の戦略として“軽SUV”を主力に掲げるスズキですが、実は商用車としても多くの人から支持され続けているという歴史もあります。それこそが、「エブリイ」や「エブリイワゴン」という名前で販売されているワンボックスカーです。

トップクラスのロングセラー車

この「エブリイ」や「エブリイワゴン」は現在で7代目にあたるモデルとなっており、何と軽自動車の中でも4番目に長いロングセラー車なのです。その歴史は1964年にまでさかのぼることができ、当時はスズキ「ライト キャリイバン」という名前で販売されていました。実は、「キャリイバン・エブリイ」という名前を冠するのは1982年になってのことでした。このとき販売されていた「キャリイバン」の上位グレードモデルを「エブリイ」という名前に変更して販売したのです。これにより、ワンボックスカータイプは「エブリイ」、軽トラックは「キャリイ」という名前を継承して現在も販売され続けています。

商用車から乗用車へ

画像引用:https://www.suzuki.co.jp

そのように高い信頼性から「エブリイ」の人気はすさまじく、商用車としてのニーズを超えて日常的に使用するクルマとして利用する人も増えていきました。もちろん、普段は商用車として使い休日は乗用車としても使用するような人も多かったのですが、その堅牢性と積載量からアウトドアフィールドでの利用も活発化していきました。とくに、3代目「エブリイ」からはサスペンションや居住スペースに対して積極的なマイナーチェンジが行われており、従来のシンプルな造りをベースに運転時の快適性を追求したこともあって多くの人が使いやすいクルマへと変化したのです。

また、「エブリイ」特有のシンプルな車体ベースをもとに、自分自身が使いやすいアウトドアフィールド車へと改装する人たちも増えていきました。すると、先見の明があったスズキは軽自動車への規制改正も受けて、初代「エブリイワゴン」という名前の乗用車モデルを発売したのです。これは4代目「エブリイ」にあたるモデルであり、1999年から2005年まで販売され続けロングセラーとなりました。当時では珍しく、350kgの積載量は変更しないままにパワーウィンドウやキーレスエントリー、カセットステレオなどの装備が追加されました。このとき、ABS(アンチロックブレーキシステム)も標準装備されるなど、安全面に関しても非常に意識の高いクルマとなっています。

また、同じ乗用車として「エブリイ ランディ(エブリイ プラス)」という名前の7人乗り仕様の普通車や、「エブリイ 電気自動車」としてエコカーの先駆け的モデルまでもラインナップに揃えていました。残念ながら2005年に販売が終わってしまいましたが、商用車ベースのクルマが乗用車として多くの派生モデルを伴って販売されていたことは非常に珍しいものです。それだけに、乗用車としての「エブリイ」を好きなファンが多く、現在もスズキの一角として販売されるほどの魅力をもっていたのです。

どこへでも行ける“軽ワンボックスカー”

初代「エブリイワゴン」から乗用車モデルを販売し始めたスズキは、その商用車ベースの性能と居住性を高めた軽自動車という独自路線に舵を切っていきます。とくに記憶に新しい車種で言えば、「ハスラー」などが“軽SUV”として爆発的な売り上げを達成しています。しかし、スズキの中では「ハスラー」などを“軽SUV”として販売していく中で、「エブリイワゴン」は他種モデルとは異なる“軽ワンボックスカー”という役割を与えられました。

そもそも、「エブリイ」という名前は英語の“every”に由来をもち、“どこへでも”といった意味を含んでいます。そのため、「ハスラー」ではなく「エブリイ」に新たな役割が与えられたのは、ある種の自然な流れとも言えます。実際に、2代目「エブリイワゴン」が2005年から約10年間にわたり販売されており、軽自動車では初の“電動スライドドア”を搭載するなどのフルモデルチェンジを経ています。この2代目「エブリイワゴン」は商用車をベースとしていましたが、福祉車両として使用されるなど「エブリイ」という名前を体現したような拡張性の高さを見せつけることに成功したモデルと言えます。

趣味も満喫できるクルマに

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そして、2015年から販売されているのが現行モデルである3代目「エブリイワゴン」です。2代目モデルと比較しても、ワンボックスカーの強みである大きさを感じる設計になっています。とくに、ラゲッジスペース部分が広くなるだけでなく、低重心化を実現するために車高が低く設定されています。

こうした変化により、積載量やカスタムの自由度が増したため、前モデルよりも趣味を楽しむことのできるクルマになっています。とくにアウトドアシーンでの利用に関する部分ではスズキも積極的に展開しており、アクセサリ部品なども充実のラインナップを揃えています。
例えば、キャンプでの使用に便利なタープやバックドアネットなどについては、アウトドア向けの車において純正アクセサリーとして用意されていることも多いですが、釣りに使用するロッドホルダーやロードバイクを楽しむためのラッシングベルトまでも用意されているなど、幅広いアウトドア趣味を持つ人をターゲットとしていることが特徴です。
また、アウトドア趣味を持っているわけではないけど、旅行の際に車中泊などを楽しみたいという人に向けて2段ベッドアクセサリーやルームライトなども用意されています。さらに、商用車としても設計されており、仕事での運搬などに特化したアクセサリーも豊富に用意されているため、普通のラインナップでは満足できないという人やプライベートと仕事の両方で使いたいという人にも最適な一台となっています。

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自分好みに使う「エブリイワゴン」

商用車から始まった「エブリイワゴン」は、いまや趣味を満喫するためのクルマにも使えるほど進化しました。その積載量やオリジナルアクセサリーが豊富に揃っているところから、アウトドアフィールドでの使用にも十分に耐えられる一台に仕上げることも可能になっています。商用車としても乗用車としても使うことのできる「エブリイワゴン」は、使い手によって多くの可能性を秘めたクルマとなっています。ぜひ、あなただけの使い方で「エブリイワゴン」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

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