6月29日は「ビートルズ記念日」。ザ・ビートルズが初来日した1966年6月29日にちなんでいます。そぅ、羽田に着陸した飛行機から、4人がそろって日本航空(JAL)のハッピを着用して姿を現した、52年前のあの日です。日本公演は東京の日本武道館で、翌日の6月30日から7月2日にかけて開催。7月3日には離日というハードスケジュールでした。
そして特筆すべきは、ザ・ビートルズのメンバー4人はみなMINIの熱烈なファンだったということです。自在に改造したり、ボディにペイントしたりしてカスタマイズしていました。今回のコラムは、そのザ・ビートルズとMINIの深いかかわりについてご紹介したいと思います。
メンバー全員が愛好家
クラシックMINIはかつて、デヴィッド・ボウイやエリック・クラプトンなどのミュージシャンから、ポール・スミスなどのデザイナー、英王室ではエリザベス女王まで、数多くの有名人、セレブに愛されたことで有名です。
しかしその筆頭は、何といってもザ・ビートルズのメンバーでしょう。一時期はジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターのメンバー全員がMINIを所有していました。レコーディングの際にはMINIをアビーロードスタジオに乗りつけていたそうです。4人のMINIがアビーロードスタジオに並んでいたと考えると、ワクワクしますね。
リンゴのドラムセット仕様MINI
リンゴ・スターが乗っていたうちの1台が、2017年12月2日にオークションに出品され、話題になりました。リンゴ・スターが所有していたのは1966年型オースチン「ミニクーパーS」。このMINIは、ドラマーだったリンゴ・スターらしい改造が施されています。なんと車内にドラムセットを積み込みやすくするために、車体後部をハッチバック方式に改造してあるのです。なお後部座席も倒すことが可能になっています。
それ以外にもボディがロールス・ロイスの純正色で2トーンに塗り分けられ、フロントフェンダーの継ぎ目が消されている。フロントグリルにフォグランプを内蔵している。サイドウィンドウに三角窓を追加している、などのカスタマイズが施されているこのMINI。手数料込みで10万2300ポンド(約1600万円)で落札されました。落札者は元スパイス・ガールズのジンジャー・スパイスだそうです。
ジョージのサイケデリックMINI
4人のMINIの中で最も有名なのが、ジョージ・ハリスンのMINI、いわゆる「サイケデリックMINI」ではないでしょうか。当時は楽器などにサイケデリックなデザインのペイントを施すことが流行していたのですが、ジョージ・ハリスンはなんと自身のMINIにサイケデリックなペイントを施していました。当時ジョージが傾倒していたチベット仏教にちなむ文字や絵柄がペイントされたMINI(オースチン・クーパーS)は、映画『マジカル・ミステリー・ツアー』にも登場しており、意味なくバスとレースを繰り広げています。
ジョージのサイケデリックMINIはたちまち話題になりました。サイケデリックMINIを忠実に再現したミニカーが発売されたほどです。
そして時は流れ2009年5月、BMWグループはMINIのジョージ・ハリスン仕様を製作しました。この世界に1台だけのMINIは1966年式クーパーSがモチーフになっており、赤いボディに仏教独特の図像ヤントラやサンスクリット文字が描かれています。
カルチャーのイコン(聖なるもの)となったMINI
時代時代のカルチャーのイコンとなってきたMINI。ザ・ビートルズという時代の風雲児も、ポール・スミスという希代のファッション・デザイナーも、みなMINIに魅了されました。きっとそれは、MINIが単なるラグジュアリーの象徴ではなく、オーナーの個性を象徴するクルマだからでしょう。
ラグジュアリーだけでは楽しくない。
自分だけのこだわりを表現したい。
所有しているだけで愛でたくなる。
運転しているだけでいとおしくなる。
そんなクルマがMINIではないでしょうか。
アイキャッチ画像引用:ハフィンポスト