BMWがトップブランドになるまでの軌跡とその要因

BMWは、言わずと知れたドイツの自動車および自動二輪車、エンジンメーカーです。また、傘下にロールス・ロイスとMINIといった、こちらも人気を博しているカーブランドを所有しています。その人気はドイツにとどまらず、イギリスや日本でも多くの方に支持されています。そんな今となっては自動車業界でトップクラスに位置するBMWですが、創設当時は全くの無名でした。そのBMWがどういった過程を経て、今のブランドを勝ち取ったのか、今回の記事でご紹介します。

BMWの歴史

BMWの始まりは航空機のエンジンから!?

設立は1916年で、当時はバイエリッシュ・フルークツォイク・ヴェルケ株式会社(BFW AG)という名前でした。ご存知ではなかった方も多いのではないでしょうか。その後1917年に、現在のBMWに社名を改称し、航空機エンジン「タイプⅢa」を生産しました。BMWの始まりは、車ではなく、航空機のエンジンからでした。
BMWが初めて4輪車を作ったのは、1929年のことです。それまでは飛行機の生産を行っていたBMWですが、第一次世界大戦で敗戦国となったドイツは、飛行機の生産が禁止されました。そこでBMWは、飛行機製造で培ったノウハウを活かし、自動車業界の参入を試みました。戦争という思わぬ要因から、BMWの車は生まれたのですね。
車の名前は、BMW Dixiと言い、イギリスの大手自動車メーカー、オーチスン・セブンのライセンス生産権を引き継ぎ、生産していました。そのため、BMW初の自動車ではありますが、完全なオリジナルとは言えないものでした。

BMW Dixi 出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/BMW_Dixi

 

大きな決断と方向転換

しかし、1932年にオーチスン・セブンのライセンス契約が終了したのを皮切りに、自動車の自社生産に取り掛かりました。そして、完全オリジナルの3/20 AM-1が誕生し、これが本当の意味でのBMWオリジナル自動車となりました。その後も1934年まで、AM-1がモデルチェンジを繰り返し、AM-4まで生産されました。

3/20 AM-1

これから波に乗っていくかと思われましたが、生産していた自動車は小型車ばかりで利益が少なく、思うように経営は安定せず、経営者は頭を悩ませていました。とはいえ、経営転換するとしても、上手くいけばとてつもない利益を生み出しますが、失敗することのほうが多いと言われています。その瀬戸際でBMWは、思い切って1933年から小型車の生産を停止し、新しいモデルの開発に力を注ぐことにしました。この判断が後に大きな成果をもたらすことになります。

新モデルのBMW328は、エレガントさが売りのスポーツカーで、これまで作っていたものと路線が違うものでしたが、その目新しさが良かったのか、たくさんの方が購入し、新シリーズ全体で、62,864台も生産されました。思い切った方向転換が功を奏し、大成功の結果となりました。

倒産の危機からの立て直し

新たな方向に舵を切ったBMWは、自動車の生産と併行して、第二次世界大戦中に航空機やロケットの生産を行っていました。しかし、連合国がこのことを許さず、1945年から3年間の業務停止処分を受けてしまったのです。企業にとって長期間仕事ができないのは、かなりの痛手です。潰れてしまってもおかしくありません。また、波に乗っていただけに、社員はもどかしかったことでしょう。この出来事が原因で経営が傾き、売り上げの低下が続き、1959年には倒産の危機に陥りました。同じくドイツの大手自動車メーカー・ベンツとの吸収合併案も上がったほどです。ライバル会社に吸収されるのは、この上ない屈辱ですよね。ここまでかと社員・購入者は誰もが思いましたが、実業家・ヘルベルト・クヴァントの増資により、危機を回避しました。彼の登場がなければ、現在のBMW・ベンツ論争もなかったかもしれません。危機を回避できる力と運を、BMWは持っていたように感じます。
その後のBMWは、自動車生産一本に絞り、次々と新シリーズを生み出していきました。海外進出も同時に進めていき、1981年には日本法人「ビー・エム・ダブリュー株式会社」を、1992年には、イギリス・ロールス・ロイスと提携し、「BMW-ロールス・ロイス」を設立しました。まさにうなぎ登りの勢いで、事業規模を拡大させていったのです。そして押しも押されぬ大人気自動車メーカーへと昇り詰めました。今でさえ確立した唯一無二のブランドですが、第二次世界大戦が原因の業務停止など、過去には何度も壁にぶつかっていたのですね。

なぜBMWは人気車種になり得たのか

以上、大まかなBMWの歴史を見てきましたが、BMWの何が消費者を魅了させているのでしょうか。それは以下の3つ。

  • 圧倒的なブランド力
  • 性能・乗り心地の良さ
  • デザインの一貫性

圧倒的なブランド力

1つには、圧倒的なブランド力が考えられます。
現代において、車はステータスの一部とされています。そのため、BMWのような高級外車が支持される傾向にあります。しかしなかには、高級外車を敬遠する人がいるのも事実です。けれど、BMWを毛嫌いする人は多くありません。それは、BMWが圧倒的なブランド力を保持しているからです。壮絶な過去を乗り越えて作られた高品質かつ高性能な車が、現在のBMWというブランドを形成していると言っても過言ではないのでしょうか。

性能・乗り心地の良さ

2つめは、いくらブランド力のある車であっても、性能や乗り心地が悪ければ、すぐにそのブランドは衰退します。それはBMWも例外ではありません。支持され続けているのは、購入者に満足される車を作り続けているからです。
某大手比較サイトに載っているBMWのレビューや口コミを見てみると、どの車でも内装・外装のデザイン性、エンジン性能・乗り心地・走り心地が高評価を得ています。他社の車を見てみても、BMWほどの高評価を得ているものは少ないです。長年に渡りお客様のニーズに応えつづける技術力と探求心が他社よりも上回っていると感じます。
もしこれから購入しようと思っていた車種に不備が見つかったら、あなたはどうしますか。当然購入を踏みとどまり、別の車を選ぶでしょう。車に乗る上で気に掛ける重要な要素の一つに安全性があります。その安全性を実現している機能と、プラスαとして乗り心地が合わさったBMWの車であれば、心配なく運転を楽しむことができます。

デザインの一貫性

3つめは、車にデザイン性を求める方も多いのではないでしょうか。性能や乗り心地ももちろん大事ですが、周りから見られてかっこいい!と思われる車に乗りたいですよね。その面でBMWは、シンプルで洗礼されたデザインが売りで、男性だけでなく、女性からの評価も高く、多くの方から支持されています。BMWの車の特徴は、何と言ってもキドニーグリルです。キドニーグリルとは、フロントについている空気を外部から取り入れるための部品です。このデザインは長年変わることなく、どのシリーズにも見られます。BMW車の象徴とも言えるでしょう。その一貫性もファンを引き付ける要因の一つです。

まとめ

BMWの歴史から、なぜブランドとして確立することができたのかについて見てきました。みなさんが知らないBMWの過去を知ることができたのではないでしょうか。壮絶な過去を乗り越えたBMWは、今後もお客様に満足を与える車を提供してくれるでしょう。BMWの購入を考えていらっしゃる方は、今回の記事をご参考にしていただけると幸いです。

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